第29話

お母さんが有無を言わさない口調で、全てをはねつけたから。


私はそれ以上何も言えなかったのだ。




「あんだけ昨日デートした時に 、楽しそうに笑ってたくせに嫌いになったなんて信じられるか。」




「それでも…っ 私達は別れなきゃいけないのっ」



泣きながら訴える。


するといきなり柊が私に聞く。




「…お前。16歳なんだよな?」



「そうだけど…」


なんで?今は別れ話してるのに。




「そういうこと、ね」


そうやってニヤリと笑う柊。




「分かったよ。」




「ごめんね…っありがとう。」




「でも、最後にひとつ。


俺は、何があってもお前を愛してるからな。それだけは覚えとけ。」



「私も、愛してる…よ。」



愛してるってなんて残酷な言葉なんだろう。


もう一緒にいられないのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る