第9話

「ちゃんと俺の顔見ろって。」




「…意地悪。」



それでも、至近距離で目を合わせることは出来なくて。


目を逸らしたままでいると。





「5…4…3…」



なんて、謎のカウントダウンが始まった。


意味が分からず、そのまま立ち尽くしていたら。



「2…1……0」




その瞬間、私の視界は手で覆われて。


そのまま唇を重ねられた。



長いキスが終わって涼翔の手が外されると、

まだ意外と近くにあった涼翔の顔は、悪戯に笑ってて。


またどきりと心臓が跳ねる。




「沙夜がこっち見ないから…お仕置き、な?」



甘く甘く耳元で囁いた、糖度が高すぎる言葉は私の顔をどうしようもないぐらいに染め上げた。


ちょっと飛ばしすぎじゃないですか、涼翔さん…。


私の心臓が追いつきません…。



この人は2人きりの時途端に甘くなるから、こっちは心臓がいくつあっても足りない。

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