第8話

そう。周りに私達のことを言ってないのは、私が恥ずかしいっていうのもあるけど。


涼翔が周りに言わないことを望んだからだ。


そんな私の考えてる事が分かったのか、涼翔は不機嫌そうに口を開いた。




「沙夜を誰かに取られるぐらいなら、人前で堂々と交際宣言した方がマシだっつーの。」




「…っ」




ずるい。


そんなこと言われたら、嬉しくて仕方がないじゃんか。


意図せずにも、顔に熱が集まっていく。




「俺、怒ってんだけど。」




そう言いながらぐっと顔を覗き込まれたせいで、余計に顔が赤くなる。



あぁもう心臓に悪い…。


自分の容姿ぐらい自覚して下さい…。


破壊力すごいんだから…。



私が更に顔が赤くなるのを見て、ニヤリと笑う。


その笑みを見て、確信した。


この人は、私がこうなることを分かってやってる、と。



恥ずかしくなって顔を反らすと、顎を掴まれて。


強制的に涼翔の方に向かされる。

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