第24話【料理対決配信1】

「みんな~、こんルナ~。月宮ルナです! 今日は二期生の皆で初めての料理対決をしようと思います!」


 料理対決の配信はブイラブ事務所のスタジオで行われることになった。

 俺は配信に出ることはないけれど、隣の部屋で配信を見ている。それに加え部屋にあるカメラで四人の動きも見える。

 二期生メンバー全員での配信という事で視聴者数は凄く多い。それに加え配信開始前の時点でネットのトレンド入りしている。

 

「ルナの得意料理は肉じゃがかな。じゃあ次!」

「はーい、得意料理はグラタンとパスタ! 猫葉アリスでーす」

「えーっと、得意な料理は……えーっと、うーん……好きな食べ物はお寿司です! ブイラブ清楚担当の雨宮雫です!」


:一人誤魔化したやついないか?

:とりあえず一人は勝負にならない事が分かった。

:ルナちゃんVSアリスちゃんの配信で大丈夫?

:雫ちゃんは今日食べる担当?


「ちょっと! 雫もちゃんと料理するから!」

「そして料理の味の審査をしてくれるのは――」

「はーい! 料理なら私におまかせください! 夢乃歩夢です!」


:歩夢ちゃんの審査なら間違いない!

:歩夢ちゃんの信用ポイント高すぎる。


「先輩たちの手料理が食べれると聞いて飛んできました!」


 歩夢ちゃんとはさっき挨拶を済ませた。

 凄く元気があって身長は低く、後輩感が凄く出ていた。

 そして歩夢ちゃんも凄く可愛い人だった。

 ブイラブ事務所は顔で採用でもしてるのかと疑いたくなるくらい皆美少女だ。


「雫の手料理がそんなに楽しみだったのかぁ~。可愛い後輩ちゃんだ~」

「えーっと雫先輩のはちょっと……」

「ん~? 後輩ちゃん私の手料理がどうかしたのかなぁ~?」

「あ、あの……一番楽しみにしてますよ!」

「うんうん……いたっ!」

「後輩に圧をかけるな雫」

「いやいや! 圧なんて書けてないもん」


:誰がどう見ても圧をかけてただろw

:歩夢ちゃんの気持ちはよく分かる。

:俺も雫ちゃんの手料理は勘弁してほしい。


「まぁまぁ二人とも仲良くね。じゃあ早速料理していこう! 今回お題の料理はオムライスです! それじゃあスタート!」


 その合図と同時に三人は一斉に料理を開始した。

 アリスちゃんは勿論の事、ルナちゃんも特訓の成果か見事な手捌きで鶏肉に玉葱を切り始めた。

 一方雫ちゃんはと言うと少し危なっかしくて心配になる……。


「アリス先輩は料理が上手なの知ってましたけどルナ先輩も手慣れてる感がありますね! あ、雫先輩包丁持ってない方は猫の手ですよ! ほら、こうしないと」


 そう言い猫の手をして教える歩夢ちゃん。

 

:もしかして雫ちゃん包丁持ったことない⁉

:まさかそこまでだったとは……。


「だって! 雫の家は専属の料理人が居るから料理なんてしなくて良かったんだもん!」


:そういえば雫ちゃんってお嬢様だったんだっけ。

:それキャラ設定とかじゃなくてマジなやつなの? 新参者だからわからなかった。

:アリスちゃんもルナちゃんも歩夢ちゃんも皆雫ちゃんは本当にお嬢様って言ってたしアリスちゃんが雫ちゃんの広い家の話してたから本当だと思う。

:お嬢様が何故VTuberに……。

:それなら少しは納得。


「そうですよね、雫先輩はお嬢様ですもんね。……おっとアリス先輩はもう卵を焼き始めました。ルナ先輩は卵を割るところまできました」

「え!? 二人とも早くない⁉」

「雫は話しながらやってるし慣れてないからでしょ。あ、だからって急いじゃダメだよ、怪我しちゃうかもしれないからね」

「ルナ先輩は一言も喋らないで凄く真剣な表情で作ってますね……」

「そりゃあれがかかってるからね」


:あれって何?

:もしかして一番美味しくできた人には何かあるとか?


「あー、言い忘れてたけれど一位の人には歩夢ちゃんから手料理が振舞われます!」


 勿論振舞うのは歩夢ちゃんではなく俺だ。

 けれど配信上は俺ではなく歩夢ちゃんという事にしている。

 

:歩夢ちゃんの手料理とか羨ましすぎる。

:俺も参加させてほしい。


「私は先輩たちの為ならいつでも手料理くらいなら振舞ってあげれるんですけど、今回は一位の先輩だけに振舞いたいと思います! ん? ルナ先輩卵に牛乳を入れてるんですか?」

「うん! 牛乳を入れた方がふわふわになるって聞いたんだ!」

「へ~、じゃあ雫も入れよっと……あ! 入れすぎちゃったかも!」

「ちょっと雫先輩それは流石に入れすぎですよ!」


:本当に騒がしいな雫ちゃんは……。

:でもそういう所も可愛いんだよな。

:頑張れって応援したくなるんだよな。


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