第17話【幼馴染のお願い】
「おはよう翔太」
「ああ、おはよう」
神星の配信を終えると直ぐに幼馴染の香澄から電話がかかって来た。
内容は次の土曜日に原宿に新しくできたスイーツバイキングに一緒に行こうというものだった。
土曜日は特に予定も無いしこの前お願いを聞くと約束したので二つ返事で了承した。
そして今日約束の日になり、待ち合わせ場所である例のスイーツバイキングの前で香澄と合流した。
「さーてお店のスイーツ全部食べつくすよー」
香澄はそう言って元気よくお店の中に入って行った。
できたばかりという事もあって内装も凄く綺麗で客も凄い居る。
客の殆どが女性という事もあって男の俺は目立ってしまう。
「見てみて翔太! どれから食べようか凄い迷っちゃう! カヌレにティラミス、モンブランもある! あ、こっちにはシャルロットも!」
「バイキングなんだから全部食べればいいだろ」
「そ、そうね。……あ、マカロンもある!」
香澄は次から次へとスイーツを取り始めた。
「さ、流石に取りすぎじゃないか?」
「なっ! しょ、翔太がが全部食べたらって言ったんじゃん!」
「そうだけど、一気に取らなくても」
「う、うるさいわね。食べたいんだから仕方ないじゃない!」
そう言って香澄はお皿にミルフィーユを乗せた。
香澄のお皿にはもうスイーツがいっぱいになりもう乗せれなくなっちゃった。
席に着くと香澄は直ぐにスマホを取り出し、お皿に並べたスイーツを写真に収めた。
「帰ったら友達にみせてあげよ~っと。」
「ねぇ、翔太。それはなんていうスイーツなの?」
俺の持ってきたお皿にあるガラスのコップのような物の中に苺とかき氷のようなものが入っているスイーツを見てそう聞いてきた。
「これか? 確かグラニテって書いてあったような気がする。ちゃんと見てないから合ってるかは分からないけど」
「へ~、ねぇ、一口頂戴」
「いや、取ってこればいいじゃん」
「良いじゃん、一口くらい」
「分かったよ、分かったから怒るな」
グラニテを渡すと香澄は美味しそうに頬張った。
「美味しいか?」
「え、ええ。美味しいわよ。なんかシャーベットみたいね」
「そうなんだ」
香澄はあっという間にお皿のスイーツを平らげて二度目のスイーツを取りに行った。
一方俺はまだ残っているので一人席に座ってスイーツを堪能する。
「あれ? 篠宮くん?」
後ろの方から名前を呼ばれたので振り返ってみると――
「え? と、東山さん!?」
そう。目の前に居たのはアリスちゃんの中の人である東山さんだった。
「奇遇だね~。まさかこんな所で会うとは。一人で来てるの?」
「いや――」
「あれ、翔太この人知り合い?」
香澄の事を言おうとした瞬間、丁度香澄が帰って来た。
「うん。知り合いかな」
「もしかして彼女さん? だとしたらごめんね、邪魔しちゃった」
「いえ、香澄は幼馴染で」
「初めまして翔太の幼馴染の七瀬香澄です」
「初めまして、篠宮くんの友達の東山綾乃です。へー篠宮くんこんな可愛い幼馴染居たんだ~。あ、私は利香ちゃんと由香と一緒に来たんだ。あそこにほら」
「そうなんですね」
「この前利香ちゃんにドッキリしかけちゃったお詫びに私の奢りで利香ちゃんを誘ったんだけどなんか一匹ついて来たんだよね。なんか篠宮くんからムカつくメッセージが来たからスイーツ食べて忘れるとかなんとか」
「あはは、速水さんらしいですね……あはは…………」
速水さんは「またね」と手を振って二人の元へ向かった。
「翔太ってあんな可愛い知り合い居たんだ。向こうの二人も凄く可愛いし。同じ大学?」
「いや、違う大学。ネットで知り合ったんだ」
「へー。あの人達も配信とかしてるの?」
「まぁそんな感じ」
「へー」
香澄は頬杖を付きながらじーっと俺を見つめてきた。
「なんだよ」
「いや? 翔太の好みそうな女の子だなぁって思って。特にあの右の席の子とか」
そう言って香澄が目を向けたのは花里さんの方だ。
利香さんは香澄みたいにお皿一杯にスイーツ取っており、美味しそうにスイーツを頬張っていた。
「私も髪の色栗色にしようかな……」
「ん? なんか言ったか?」
香澄は自身の髪を人差し指でくるくると巻きながら小声で何か呟いた。
「なんでもなーい。目の前に私みたいな可愛い子が居るのになぁって」
「自分で言うなよ……」
「うるさいー。これでも結構モテるんだからね。私と二人で出かけれてる時点で光栄だと思ってよね」
「お前がモテることは分かってるけどさ……」
「ふんっ! あ、そういえばブイラブ事務所はどうだったの?」
「そんな事ここで話せるわけないだろ! バレたらどうするんだよ」
「えー、だって気になっちゃったんだもん。ルナちゃん可愛かった?」
お前がたった今可愛いって言った子がルナちゃんだなんて言えるわけがない。
「まぁ可愛かったよ」
「へー」
香澄は再びじーっと俺を見つめてきた。
「なんだよ」
「なんでもなーい」
そう言って香澄はそっぽを向いてスイーツを口にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます