第16話【突発のコラボ】
「いや待って皆静かに。流石に完凸はしない。完凸はもっとゲームをプレイして推しのキャラを一番最初にしたいじゃん。だから一旦ね、一旦ユグドラシルは一凸まで」
:今まで神星の配信見てきたけど開始三十分も経ってないのに八万課金してる奴初めてみたwww
:金銭感覚終わってて草。
:でもユグドラシル一凸の効果を見たら無理ないよな。ビジュアルも神だし。
:これですり抜けたら彼方気絶するだろwww
「いやいや流石にもうすり抜けは無いでしょ、だって五十パーセントを二連続外してるんだよ?」
:因みに雫ちゃんはこの前六戦六敗してて発狂してたよ。
:雫ちゃん完凸してて草。
:六戦六敗ってどんな確立だよ……。
:最後の方とか意識ほぼなくなってただろ。
「それ聞いたら凄い怖くなってきたんだけど……え、俺今日課金額二桁いかないよね……」
:これすり抜けたらワンチャン二桁。
:全くストーリー進んでないのにこんなに課金するとか運営からしたら神だよな。
「いや俺はここで一発で引く! うえぇええええええ! マジで一発で虹色になったんだけど⁉」
:運が良いのか悪いのか分からないww
:これですり抜けたらら三戦三敗だな。
「頼む、マジで頼むからユグドラシル来てくれ…………うっしゃぁぁあああああああ! これ勝ちだろ! 十連でぇぇぇええええええええ! え? 二枚出たんだけど⁉」
:は?
:ありえん。
:失望した。
:登録解除祭りの会場ってここで合ってる?
「ちょ、ちょっと待って! こんなことあるの⁉ えーっと……ちょっと待ってねこれスクショして送信先は雨宮雫さんっと……【神星凄く楽しいです!】っと」
:やめろwww殺されるぞwwww
:クリティカルヒットで草。
:マジで命無くなるぞ彼方www
:雫ちゃん泣くぞwww
:ワンチャン活動休止あるぞwww
「ちょっと早速使ってみようよ。とりあえずそこら辺の敵に攻撃してみよう……あはははっ! ワンパンなんだけど」
:まだランクが低いから敵も弱いっていうのあるけどワンパンは草。
:これが金の力か……。
:しかもまだ全然育成もしてないし装備もちゃんとしてないのにワンパンwww
「ちょ、流石にユグドラシルさん一旦控室に居てもらって。絶対ダメでしょ、まず最初はある程度苦戦してこそのゲームなんだもん。ダメだよいきなりワンパンとか……ん? フレンド申請が来てる」
:左下にあるIDを入力すればフレンド申請できるんだよ。
:フレンドになるとその人の星に行けたり一緒にモンスター倒したり色々できる。
:クエストによってはフレンドのキャラ一体だけ借りれたりできるよ。
「へーそうなんだ。あ、月宮さんとアリスさんからフレンド申請来てる……って事はこの配信もしかして見てくれてたりするのかな」
:猫葉アリス✓ ちゃんと見てまーす。勿論ルナちゃんも。
:これアリスちゃんとかとマルチして色々教えてもらった方が良いんじゃね。
:そっちの方がコラボって事で嬉しい。
:猫葉アリス✓ じゃあお邪魔しちゃおうかな~。
「え? マジで電話かかって来たんだけど良いんですか?」
俺はアリスちゃんの通話が配信に入るように設定をしてアリスちゃんのアイコンを画面の左上に配置した。
「やっほー皆、急遽参戦の猫葉アリスだよ~」
:いきなりのコラボ相手が豪華すぎだろwww
:凄い勢いで彼方が有名に……寂しいような嬉しいような。
「いやーまさか彼方くんがいきなりユグドラシル一凸どころか二凸するなんて思わなかったよー」
「それは僕もです。まさかこんな課金するなんて……それでやっぱり最初は敵を倒して素材回収ですか?」
「そうだね、まずはチュートリアルの最終ボスの龍を倒そうか。じゃないとマップが広がらないし街も発展しないからね」
それからはアリスちゃんに操作などを教えてもらいつつ、チュートリアルの終盤まで進めた。
まだチュートリアルも終わってないが、このゲームが大人気の理由がなんとなく分かった。
操作のしやすさ、グラフィックの良さ、豪華声優さん達、キャラのビジュの良さ。何をとっても最高だ。
そしてついにチュートリアル最後のボスである龍が現れた。
「めちゃくちゃデカいじゃないですか!」
現れた龍は主人公の何百倍もの大きさだ。
この龍が長年街に災害をもたらし街の発展を妨げてきたという。
「ここは私は何も言わないから頑張って倒してみて」
「マジっすか」
教わった通り、スキルを上手く使い順調にボスの体力を削っていった。
だが――
「やばいやばい、こっち
勿論俺のプレイヤースキルなんてまだまだで何度も攻撃を喰らっている。
勿論ユグドラシルは使っていない。強すぎるので当分控え室だ。
そんな俺はあっさりと味方全員の体力が0になった。
「まぁこれはしょうがないね。何が敗因かわかる?」
「うーん。ユグドラシルを使わなかった事ですか?」
「彼方くんの場合は確かにそうだけど違うね」
「じゃあ凸が足りてないからですか?」
「うん、違うね」
:凸が足りてないは流石に草。
:一応これチュートリアルだからな?
「まず一つ。彼方くんはキャラクターのレベルはちゃんと上げてるけどスキルレベルはまだ全部一だから上げれるだけ上げた方がいいね」
「あー! すっかり忘れてた」
「そしてもう一つはチーム編成に問題があるね。サブアタッカーとアタッカー、シールドはちゃんと居るけどヒーラーが一人も居ないよね。上級者になってプレイスキルも高くなったらヒーラー無しでも大丈夫だけど初心者のうちはヒーラーは必須だよ」
「なるほどー。よし! これでもう一回行ってみましょう!」
アリスちゃんの助言をしっかりと聞いて改善してみると、さっきよりも格段に速く龍の体力を減らせているし味方の体力もほぼマックスの状態を保てている。
「うわーさっきと全然違う。簡単に倒せちゃった」
:¥5000 おめでとう。
:¥5000 ようこそ神星の世界へ。
「よーしこれでチュートリアルは終わり! 後は好きなように敵を倒して好きなように街を発展させていけば良いんだよ」
「ありがとうございますアリスさん!」
こうして俺の神星ライフはスタートした。
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