第13話【月宮ルナの初ホラゲ配信3】
「もー! お願いだからここに入っててぇーーやったぁ――!」
かれこれ三十分程地図を探し周り、その間に四回化け物に捕まりゲームオーバーになった。
開けた引き出しは二十個の内十七個。
中々についてない結果だった。
:おめでとう!
:まだスタートラインに立ったばかりだぞ。
:これからが本番。
「じゃあ次は脱出の扉の鍵を取りに行きましょう」
「えーっと……今居る場所ってどこなんですか」
「今は右上のここで、鍵のある場所は左下みたいですね」
「なんでそんな遠い場所にあるんですか!」
「そんな俺に言われてもランダムなんで」
:怒りの矛先がwww
:理不尽すぎるwww
:今日に限ってとことん運が付いてないね。
:この前のヒットアンドブローで運使い果たしたんやろ。
「もう場所は分かってるから走った方が良いですよね!」
そう言ってルナちゃんはダッシュで鍵の場所に向った。
「あ、ちょっと――」
『パリッ』
「さっきまで月宮さん歩いてたから大丈夫でしたけど走ると下に落ちてる硝子の音がでかくなって化け物が反応するんですよ」
「……だからそういうのは予め言ってくださいぃぃぃぃぃーーー」
:最初の方もダッシュして痛い目見たのにw
:学んでない定期。
「ほらそこにロッカーありますよ」
「本当だ! ロッカー! あーもうルナずっとロッカーの中にいますっ!」
「そうするとずっとゲームやめれないですよ?」
「ロッカーに入ったまま放置します」
「ではご褒美は無しという事で」
「ヤダヤダヤダ! クリアします!」
そう言ってルナちゃんはロッカーから出て鍵の方へ進み始めた。
「ゆっくり歩いて行けばいいんですよね」
「まぁそうですね。因みにダッシュ以外にもこのキーを押すと――」
『ピューーッ!』
「口笛で化け物をおびき出せるんですよ」
「ちょ、ちょっと彼方さん? え、彼方さん!? 何してるんですか⁉ バカバカバカぁぁぁぁぁああああ‼ 嫌い嫌い嫌い!」
「まだ説明する前に月宮さんが押したんじゃないですか。俺は悪くないですよ」
「いやいやいやいや、ルナが押す前に止めてくださいよ! もーーー彼方さんはルナの味方ですよね!」
:どちらかと言うと彼方は俺達の味方だな。
:彼方もルナちゃんの怖がる姿が見たいって事だ。
:残念だったねルナちゃん。
「まぁリスナーの言う通りですね」
「た、助けてアリスちゃん……」
「まぁ後は鍵を取って扉を開けるだけなんで直ぐ終わりますよ」
と言っても地図をゲットしてからは今までなんともなかった置物が倒れたり照明が急に消えたりと色々恐怖要素が増える。
「この扉開けないとダメですか……?」
「開けないと鍵の場所いけないですね」
「もーーー! いやだぁ……でも進まないと終われない……うわっ! 気持ち悪い!」
ドアを開けると化け物は居なかったが、床に数匹の虫が居た。
「待って……誰か居る……ハァハァ……」
「もしかしたら仲間かもしれないですよ」
「そんなわけないじゃないですかぁ……だって動かないですよ。え、やだやだマネキンとか絶対動くじゃないですか‼」
「いやいや所詮マネキンなんで動かないですよ」
「もー彼方さんの事信じません!」
そう言ってゆっくりマネキンを警戒しながら進んで行く。
けれど――
「あれ、なんともない……」
「だから動かないって言ったじゃないですか」
「だってぇ! 今までルナの事騙してきたじゃないですかぁ!」
「いやぁ流石に可愛そうかなって思いまして」
「きゃぁ! え、無理無理無理! やだやだ! 彼方さん!?」
次の瞬間、ゲーム画面ではなく俺達が配信している部屋自体が暗闇に包み込まれた。
:???
:どうした?
:何も起きてないのに急に叫び出したんだけど。
:まさか幻聴の次は幻覚まで?
「停電ですかね……」
「ねぇ! 本当に無理ヤダ! なんで停電⁉ もーバカバカ!」
そう言いながらルナちゃんは俺の腕を組んできた。
本人は気づいてないだろうけれど……。
「やぁだぁーーー! 彼方さんが電気消したんでしょ!」
「消してないですよ! ずっと隣に座ってたじゃないですか!」
:このタイミングで停電www
:やっぱりルナちゃんって何かもってるな。
:配信者としては百点なんだよな。
「あ、電気付きましたね」
「はぁ……はぁ……ルナもう無理です……」
「じゃじゃーん!」
「うわっ! もーびっくりしたーー雫ちゃんとアリスちゃんどうしたの」
後ろを振り返ると、ドアの所に二人が立っていた。
「実はさっき電気を消したのは雫でした~」
「雫ちゃんが急に良い事思いついたって言ってルナちゃんの元に言ったと思ったら静かに電気消すからびっくりしちゃった」
「はぁぁあああ! 雫ちゃん絶対に許さない! 彼方さん! 雫ちゃんにもっと怖いホラーゲームやらせてください!」
:外野にも敵は居たwww
:ナイス雫ちゃん。
「ちょ、本当にごめんなさいルナさん。それだけはマジで勘弁してください。ルナさんの好きな甘いもの沢山買ってくるので」
「ダーメ! 絶対に許さない!」
ルナちゃんは膨れっ面で雫ちゃんの胸をポカポカと叩いた。
「やーだー助けてアリスちゃん!」
「自業自得だね」
「彼方さん、とびっきり怖いホラーゲームお願いしますね」
ルナちゃんが笑顔……だけれどどこか狂気を孕んでいる笑みで俺にそう言ってきた。
「わ、分かりました……」
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