閑話 コリンの長風呂
コリンは湯船にお湯をいれたからと昼間からお風呂に入っている。
そしてタオルで海坊主を作ってはそれを手で押しつぶす。子供の頃に何度もやった遊びだ。改めてやってみると結構面白い。
ふと、どうして、一度濡らしてから海坊主を作るのか?最初にそうして遊んでくれたから・・・濡らさないと?濡らさないと海坊主にならない・・・
水があると膨らむ。あたりまえだ。それを見ている。何故?分からない。だが、濡れていれば膨らむ。それを維持できれば空へ上がれるのでは?
コリンの頭のなかでリリーが両手に坊主を持って空に上がって行った。そして「疲れた。サイテー」と言いながら降りてきた。
自分がやっても疲れそうだ・・・騎士団の強そうなやつは?そいつは「ガハハハ」と笑いながらどこかへ飛んで行った。
大きい海坊主に籠をつけて空を飛ぶまで、コリンは長風呂をした。
大きな布を調達するのは隊長に頼んだ。古くなったカーテンを貰って魔法士が全員で覚束無い手付きで縫い合わせているのを見た侍女の一人が王妃に耳打ちして、熟練の縫子が派遣されてきた。
そうやって出来上がった大きな布を丸く縫い縮めて貰って、充分に濡らした。鍋から熱いのをどんどん入れた。
水の残量に気を配っていたはずだが、空焚きになってしまったが、坊主は膨らむ・・・風呂でやったのだって鍋なしで膨らんでいる。火で温めればいいのだ。
コンロはどんどん海坊主を温めた。籠が上がった時は拍手と歓声があがった。
そして、布に火がついて燃えて下に落ちてきた。
布に水をかけて火を消した魔法士たちは、食堂で反省会を開いた。
「考え方は正しい」
「温めればいいと、いままで気がつかなったのを反省だ。焚き火が落ち葉を上に舞いあげる」
「そうだ。鍋はなくてもよかった」
「放置するのはよくない。誰かが乗って火の面倒を見たほうがいい」
この意見は全員が同意した。
「カーテンを濡らしながら、コンロの火の調整だな」と結論が出た。
古いカーテンはもうないので、各自、自室のカーテンを持ち寄る案がでた。
隊長が布をなんとかすると、告げた所で反省会が終わった。
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