50 いよいよ結婚

結婚式会場は王宮の広間だった。友人、家族に囲まれて婚姻届に署名をした。


式に招待されたリリーの祖母は、自分が伯爵を継ぐ時の父を思い出していた。



父はこう言った。


「プリシーさんの婚約者はブラックレイク家の嫡男だった。それで二人は結婚出来なかった。


彼は自分の年上の従姉妹と結婚した。ちょうど、夫と死に別れて戻って来た人だ。



お二人の間に、お嬢さんが生まれた。そのお嬢さんがお城に努めて縁があって側室になった。


その方が生んだ男児が王位に着いた。


王室が絡んでいるから、この話は爵位を継ぐ者だけに伝えてきた」


『若いわたしは、ふーーんとしか思わなかったけど・・・ブラックレイク家と縁が出来たときは、過去を訂正するのかと思ったし、駄目になった時は、そういう関係の家同士かなって思った。


今度は王室とは・・・これは、やっぱり』


拍手の音にはっとした彼女は自分も拍手をした。『わたしで終わりよね』と思いながら。





◇◇◇

今日は王子様の結婚パレードだ。朝早くから行って場所を確保した。


なんでもお相手は騎士団の魔法士様だと聞いた、多分、すごく強い人なんだろう。


パレードが、出発したのだろう。歓声が聞こえて来た。


ピカピカにお洒落した馬に、制服の騎士が乗り込んで見物客に手を振りながら行進している。美男、美女が騎士様に多いんだ。


いやぁ、いいねぇ。結婚ってと思っていたら、子供たちがやって来た。


なんだあれは?花や動物が、宙にふわふわ浮いたてるじゃないか。可愛いし、ちょっと欲しいかも、売ってたら買おう。


お二人が来た! あれ、強そうじゃない。普通だ。普通で綺麗だ。幸せそうなお姫様だ。


お姫様が立ち上がった。隣りの王子様がお姫様の腰に手を回している。二人が顔を見合わせて笑った。


その笑顔のままお姫様は手を振った。


すると、あっ虹が頭に・・・頭の上に・・・手を伸ばせば虹に触れられる。


馬車に向かって拝んでる人もいるぞ・・・いや、その気持ちはわかるが・・・


馬車が行ってしまった。なにやら、じーんと嬉しい気持ちで動けなかった。


笑顔とか、宙に浮いた花とかが頭のなかをぐるぐる回る。


「おぉ」と静かな声がした。うんと見ると空を見上げている。


そこには、空いっぱいに広がる虹があった。おれは、黙って空を見た。


☆彡☆☆彡☆☆彡☆☆彡☆☆彡☆


本編はここで終わります。


この後、少しずつ閑話を投稿いたします。そちらの方もよろしくお願いします。

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