閑話 コリン目線
やっとここまで来た。と研究ノートを読んでいたら、隊長からの伝言が来た。
新しく魔法士が来るとか。詳しく聞くと、まだ学院生だと言うことだ。
天才が来るのだろうか?宿舎に入ると聞いたからコンロを贈った。
夕食の時、声をかけたら本当に学生だった。魔法士になっても学院に通うらしい。
学院が面白いなんて、こいつも変人なのか?
リリーが研究室に見学に来た時に、気が合うことがわかった。手伝いに来てくれてから、実験効率があがった。
お湯を沸かした時、白いものが上に上がる。わたしはそれを利用して上にあがろうと考えている。
彼女は小さな紙片が上に上がるのを見てこう言った。
「わたしたちが両手に大きな紙を持って、この鍋の上に行けば上に上がれます」とそれからこう続けた。
「問題は大きな紙がないこと。鍋がないことです」
俺の頭のなかでリリーが紙を持って、『ほら、見て』と言いながら空に上がって行った。
上に上がる件はとりあえず出来た。・・・出来たことにしよう。問題は鍋から移動出来ないことだ。
鍋ごと移動?鍋に車輪つけて馬が引っ張る。・・・自由にどこかに行けないじゃないか。
俺が言った方式をリリーは想像したみたいだ。
「手が疲れそうですね。ずっと紙を持っていたら」とぼそっとリリーが言った。
問題はそこじゃない。移動が困難なことだ。と思ったが・・・新しい考え方に出会った。
リリーはこの後、紙を持っても疲れない方法をずっと考え続けていたようだ。
ある日こう言ったのだ。
「ねぇコリン、鍋ごと移動するって大変でしょ。だからこの暖かいのを持ち運ぶといいんじゃない?」
「持ち運ぶ。なるほど」
「それでね」と言うとリリーは、四角いハンカチを出した。そのなかに糸で丸く円が書かれている。
リリーがその糸を引くとハンカチが丸いボール状になった。
リリーはそのハンカチを上げたり下げたりしながら
「これに鍋から出るのを入れてみたの。しばらく暖かいけど、すぐに冷たくなって、それからハンカチが濡れるのよ。
これだと空に上がってもすぐに降りて入れて、上がる。冷める降りるの繰り返しで面白くない。
なんとかしなくては。はーーーやっぱり、体を鍛えて跳びあがってから飛ぶのが正解かな?」
と言った。それから
「体を鍛えるなら、騎士団かな? 協力して貰う?」と言った。
俺は黙って笑うと
「そうだよね。みんな忙しいし、騎士の人たちは訓練で忙しいから・・・ハーーーーーー」と大げさにため息を吐いた。
「リリー、いい所まで行ってると思う。これってどうやって考えた」と聞くと
「うん、お風呂で。タオルで遊んでいて、偶然」となにやら手を動かしながら言った。
「偶然?やってみて」と言うと俺は、浴室に行ってお湯を出し始めた。
湯船に手を入れてリリーは
「ほら、こうやったの」とやって見せてくれた。
「なるほど。いやぁそうだよね。これだ」と言うと
「でしょ。この方法でいろいろやって見るね」とリリーは言った。なんか頼もしい。
「そろそろ戻るね。でも、食堂で会うかもね」とリリーは帰って行った。
俺は、せっかくお湯を満たしたのでお風呂に入った。そしてタオルで遊んでみた。
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