25 わたしの治癒魔法
翌朝、ロバート様は今日も手に包帯を巻いて迎えに来ていた。痛そうにしている。いい気味だ。
「おはようございます。ロバート様」と挨拶して馬車に乗った。
昼休みが始まってすぐにハリソン様が教室に来てお昼に誘われた。ナタリーとパメラは
「後で教えなさいよ」と言うとさっさと行ってしまった。
「同じ所に行くのに」とハリソン様は言いながらわたしと並んで歩いて
「昨日、言い忘れたことがあった。それとブルースも一緒だ」と笑った。
食堂の個室に行くとブルース様が待っていた。
「リリー、君の住居の用意が来週に出来る。卒業まえに使ってもかまわない。友人を迎えても泊めてもかまわない」とブルース様に言われてポカンとしてしまった。
「驚いているね。久しぶりの新人が嬉しいらしい。出来るだけのことをしたいそうだ」とハリソン様が言った。
「なるほど・・・その、家を出られるのは嬉しいです」
「家庭に立ち入るつもりはないが、仄見えたもので」とブルース様が小声で言った。
「はい、お二人のお話は理解できました。泊まったり、友人を呼んだり楽しい場所が出来たと有り難く使わせていただきます」と言うとわたしはお茶を飲み干した。そして
「パメラとナタリーが話を聞きたくて待ってるので、戻ります」と席を立った。
住居の用意が出来るとすぐに見学に行った。クーロとカラスが好きそうな木もあるし、サンデーが遊べる庭もある。
早速、週末のお泊りに二人を誘った。学院から戻らずに宿舎に行くのだ。
パメラとナタリーの分もベッドを用意して貰っている。
「おはようございます。ロバート様」といつものように挨拶をすると
「リリー。妹のジョシーが君に治療して貰ったと言った。本当か?朝、痛みが無くなったのは君なのか?」と言い出した。
無視して馬車に乗ったが、やっかいなことになったのでは?ロバート様のあの様子では騒ぎになりそうだ。
わたしは学院に行くとすぐにハリソン様に会いに行った。
「リリーから来てくれるなんてどうしたんだ?昼休みでいいか?」
「いえ、早いほうが」
「わかった。それならすぐに食堂の・・・いや、一緒に城に行こう。対処が早く出来る」
そのままハリソン様とわたしは授業を抜けたが、その後ロバート様とアナベルがわたしの教室に来て騒ぎを起こしたと、後日、ナタリーとパメラから聞いた。
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