第29話冬月の緑荘はとけきらない。

俺とシャナは大森シンから誘われたコテージへ来ている。そして今、俺は朝のトレーニングということでコテージのオーナーさんがもっているジムに来ている。

(俺「ふぅー…いやーお兄さんムキムキですね!」

今ジムにいるのは俺ともう1人…昨日からジムでずぅーと筋トレをしていたという猛者のお兄さん。体格が大きく外国人風の方だ。

帽子を被っていてタンクトップという見た目。

年齢は20代後半?くらいだろうか。

(筋トレお兄さん「…まぁ俺は昔から鍛えてたからな」

(俺「へぇーそうなんですね。俺も昔から鍛えてたらお兄さんみたいになってたかなぁ」

(筋トレお兄さん「…さぁな。俺の筋肉には経験も含まれてるからな。」

(俺「経験…?もしかして自衛隊とか入ってたんですか?」

(筋トレお兄さん「………そんなもんだな」

ほほぉー。自衛隊入隊者なのかぁ。すごいな。

一応自衛隊ってのは18歳以上、33歳未満なら誰でも入れるらしいけど…入ろうって思うのがすごいよなぁ。大変らしいし。

でも自衛隊の人ならこの筋肉には納得がいく。

人を助けるには十分すぎる筋肉だ。対人にも十分すぎるけどねぇ。


ギィィーーー。ガチャ。

(俺「ん?誰か来たみたいですね。」

ジムの扉が開く音がする。シンだろうか?

(シャナ「たいきさーん!!!私が来ましたよー!」

(俺「シャナ!?シンはどうしたんだよ?」

来たのはシンではなくシャナだったようだ。

(シャナ「大森さんはまだ寝てますよー!私はオーナーさんに聞いてここに来ましたー」


んだよ…シンのやつまだ寝てんのか。このままだと昼まで寝ちまうんじゃねーかな。

(筋トレお兄さん「………」

(俺「…ん?お兄さんどうしました?」

筋トレお兄さんがシャナをみて固まった?まぁ森ン中のひっそりとしたジムに謎のコスプレした少女が来たらこんな反応かなぁ。オーナーさんも少しびっくりしてたし。

(筋トレお兄さん「…俺はもう行く。」

(俺「あ、そうですか?シャナは別に変な人とかじゃないんで…」

(筋トレお兄さん「またな。」

そう言って筋トレお兄さんは早足で去っていった。

(シャナ「………あの人」

(俺「たっく。シャナ?お前やっぱり帽子とか被ってたほうがいいぞ。変な奴だと思われたみてーだし」

(シャナ「…そうですね。」

(俺「よっしゃ!一旦シンが起きるまで筋トレすんぞ!」

さー何をするかなぁ?まず自分がどれほどの筋力?があるか知りてーな。

ダンベルとかいいかもな。俺何kg上げれるかもわかんねーし。

(俺「5キロはいけるよな多分。じゃあ10キロいってみるか」

(シャナ「大丈夫ですか?。10キロってお米くらいあるんじゃないですか?」

(俺「そーだな。近所のスーパーで一番重たいのが10キロ相当の米だ!上げるぞぉー!」


ダンベルはたしか小学生の時に一度だけ持ち上げたことがある。まー5キロダンベルだったが、小学5年生だったためすごく重たく感じた。だが今は19歳だ!小5で5キロを持ち上げれたんだ!10キロなんて余裕さ。

(俺「いったるでぇー」

(シャナ「あの…たいきさん?補助する人とかが必要なんじゃ」

(俺「なんだァ?…シャナ。俺が10キロを片手で持ち上げれねぇとでも思ってんじゃねーだろうな?」

(シャナ「いやそういうわけじゃないですけど危ないですよ?いきなり10キロは…」

そんなシャナの手助けを無視し、俺は自信満々に10キロダンベルを片手で持ち上げるための動作を行う。右手でダンベルを握りしめ、思いっきり腕を持ち上げる。

グンッ

(俺「うおっ?!」

体の体勢が崩れる。体が下方向へ倒れてしまった。

(俺「いってえ!肩いってぇ!」

今の自分に見合ってないダンベルを持ち上げてしまったせいか…肩の関節に負担をかけてしまい痛めてしまった。

(シャナ「ほら!いったじゃないですかぁ!」

(俺「すんません…」

シャナの言う通りいきなり10キロはまずかったし、補助も必要だった…。

(俺「くぅ〜。肩いてぇなぁ。」

(シャナ「もぉー。大丈夫ですか?」


ギィィーーー。ガチャ。

お。また誰か来たみたいだ。

(大森シン「おーい。たいきー?シャナちゃーん?」

(シャナ「!大森さん?」

やっとシンが起きたみたいだな…。

(俺「おい…シンお前寝過ぎだぞ?」

(大森シン「あぁ…悪い悪い!で、急用なんだけどさ」

(俺「ん?どうした?」

(大森シン「言いにくいんだが、実は仕事で急用ができてさ、二、三日遠出しなくちゃいけなくてさ」

(俺「まじかよ?今からか?残念だな」

(大森シン「そうなんだが、たいきたちは帰宅してくれねぇーかな?」

(俺「え?俺たちもか?」

(大森シン「うん、わりぃーな。」

(俺「でもコテージは1週間の予約だろ?もったいなくねぇーか?」

(大森シン「そこをなんとか…」

いつも少しおちゃらけてるシンがこんなに頼み込むことはそうそうない。その急用ってのは相当大事なことみたいだな…。

(俺「わかった…。」

(大森シン「サンクス…たいきたちを家に返してから俺はすぐ出るから。」

タッタッタッ。

そうしてシンは車をだす支度をしに行った。

(シャナ「私たちは荷物をまとめますか」

(俺「そーだな。まぁお前はまともな荷物なんてないがな。」


そうなるとはやくコテージへ戻らなくちゃな。

(俺「走るぞシャナ!…ってお兄さん?」

(筋トレお兄さん「…おう。帰るのか?」

(俺「そーなんすよ!筋トレの手伝いありがとうございました!」

(筋トレお兄さん「あぁ。」


タッタッタッ。

にしても…あの人またジムに行ってたな…さっき戻ったばっかなのに。筋トレに脳を汚染されてんなぁ。脳筋ってこの事を言うのかな。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る