第28話冬月の緑荘にはアツアツの獣が。
(俺「おっ…ふうっ…」
コテージでの初の起床。湯たんぽ効果のおかげか、知らない所ではあまり寝付けない俺でも熟睡できた。久しぶりに気持ちのいい朝を迎えられたぜ…。
(俺「今何時だ?…」
シンとシャナはまだ眠りについていて起きる気配はない。俺が一番最初に起きたようだが…。
(俺「…目覚ましかけるの忘れてたなぁ…」
家にある目覚まし時計をわざわざコテージへ持ってくるという発想は俺にはなく、持っているスマホのアラーム機能でいいと思い目覚まし時計を持ってこれなかった…。人間は習慣がない事はすぐ忘れてしまう。そのためアラームを付けるのを忘れていた。
なぜか俺から1メートルほど離れた場所にあるスマホをとり、電源をいれ時刻を確認。
(俺「…8時21分!?!まーじかぁ…」
どおりで外が明るすぎると思った…。いつもは六時から7時の間におきるため冬だとまだ暗いか、少し日が出て若干明るいかのどちらかだ。
(俺「おーい…シン?起きろー」
ユサユサ。
シンの体を揺さぶる。
(大森シン「んぅ〜…やめろぉ!…寒いのぉ…」
なぜか口調がオネェのようになっているがそこに触れる気力はない。
(俺「別にあんま寒くないぞ…起きてくれー」
俺だけかもしれないが冬は起床直後が一番寒くそれ以降はそこまで寒く感じない。
起床直後ッて言っても6時半あたり。慣れれば寒いとは感じなくなる。
(俺「寒くねぇからぁ…起きろぉー」
(大森シン「むぅり…シャナちゃん起こしてよ」
シンは寝起きにしては会話ができるな。大体こういうときはみんな相槌ぐらいしかしないもんだが。
(俺「シャナー、起きてくれ」
(シャナ「………」
シャナはシンと違って口すら開かない。布団をおもいっきり被っていて少し顔がでている。
おかしいなぁ…シャナは結構早起きだと思っていたんだが。
(大森シン「…俺はもうちょい寝るからさァー…たいきはオーナーさんが所有してるジムいっといてよ」
(俺「ぉ?お前、朝食も取らずにトレーニングなんてどっきこねぇぞ!」
(大森シン「大丈夫…ジムにはプロテインがたくさんあるって…オーナーさんに言って…くれぇ…」
(俺「お前後半何いってんだよ。」
でもここのコテージに来た理由はトレーニングのためでもある。
(俺「…まぁわかった、俺行ってるぞ‐」
(大森シン「おけおけ」
まずはオーナーさんに言わなきゃな。
コテージからでてオーナーさんが居たあの小屋?らしいところまで3分ほど歩く。
コンコンコン。
(オーナー「あー、大森さんとこの連れの方?」
(俺「そうです。あのジムって今から使用できますかね?」
(オーナー「はい。できますよ。」
(俺「そうですか!…それとジムにあるっぽいプロテインって飲んじゃっていいんですかね?」
(オーナー「どうぞ。飲んじゃって大丈夫ですよ。さ、これがジムのカギです。カギは開けっ放しで」
…初対面の客にカギを渡すかぁ。すんごい人だなぁ。まぁこっからジムまだ10分くらいかかりそうだし、めんどいもんな。
(俺「ふぅ…あっつぅ」
オーナーにカギを渡してもらってから5分ほど歩いた。
ジムはコテージより少し山の上にあるため坂道を登らなくてはならない。
冬でも体は熱くなる…。体の内側から熱が来るような…夏とはまた別の暑さの感じ方だ。
ーーーもう5分後ーーー
(俺「よっし。着いたぁ」
ジムに着く前にすでに体力を相当消耗してしまった…。
こんなに疲れてちゃあまともにトレーニングなんてできねぇぞ。
ガチャ。
オーナーさんにもらった鍵でドアを開ける。
(俺「ふぅ。あれ…?電気ついて…」
ジムの中は電気がついている。昨日オーナーさんが消し忘れたのか?
(俺「こりゃ電気代が…お?」
俺の目線の先に何が激しく動いている。
人だ…しかもデケェ人。トレーニング器具を使っているみたいだが。
(俺「あ、あのぉ!すみませぇーん!」
俺より先に人がいたとは…あれ?待てよ。俺が鍵をもらって鍵でドアを開けた。ならあの人はどうやって?
(筋トレお兄さん「おぉ?なんだよこんな朝に来る奴いんのかよ」
すごく低い声だ…。身長は190センチはあるんじゃないのか?…頭には帽子をかぶっている。そしておしりがデカい。
(俺「アナタはどうやって入っんですか?俺が一番最初に来て鍵を開けたはずなのですが」
(筋トレお兄さん「どうやって入ったってそりゃドアからだろ。何当たり前のこと言ってんだぁ?」
(俺「いや!鍵は閉まってましたよ!」
(筋トレお兄さん「…俺がこのジムに入ったのは昨日の昼だぞ」
(俺「え?」
昨日の昼…ってことは…この人は昨日の昼から今のこの時間までずっとジムに?
(筋トレお兄さん「まぁとにかく俺は変な奴じゃねーからな?」
うぅ…気迫がすげぇ人だ。
まぁこの人は侵入者ってわけでもなさそうだ。
俺はトレーニングをするか。
っとその前にプロテインだ。
ジムの端にいくつかプロテインが並べられている。
チョコ、ココア、イチゴ、ミルク、バナナ、リッチショコラ。
この6つの味だ。
(俺「ここは朝だしバナナだな」
そんな浅い考えでバナナを選び、並べられているシェイカーを取り、水を入れバナナプロテインの粉を付属のスプーン3杯分入れる。
そしておもいっきり上下に振る。
ジャガジャガジャガ。
(筋トレお兄さん「おい。お前。」
(俺「ふぅいっ?!なんですか?」
(筋トレお兄さん「ずっと上下だけだと粉が溶け切らないでダマになるぞ。だから横でふれ」
ダマ…粉が塊になっているやつだっけ?
上下振りはダメなのか。
(俺「ありがとうございます!」
俺はシェイカーを横にしまた振る。
ジャンカジャンカジャンカ。
よし。こんくらいでいいだろう。
カパッ。
蓋を開けるとバナナの粉が溶けきったため水が黄色に染まっている。
ゴクゴクゴク。
朝で特に食事も水分補給もできてないため一飲みするような勢いで飲む。
(俺「おっ…ふぅ。めっちゃバナナ!」
そうしてプロテインも飲み終わりついにトレーニングへ入る。
(俺「…はじめから急に器具を使うのはあれだよな…」
いきなりダンベルやらは危なそうなのでまずは準備運動をし、そして腕試し感覚の腕立て伏せをしよう。
イッチニ、イッチニ、イッチニ、
簡単なストレッチをし、腕立て伏せへはいる。
(俺「ぐぅっ…ふうっいいいいぃぃぃ!」
この前サソリ男の前でしたときは15回もいけなかった。
だから今回は20回を目指して!
12…13…
頭の中で数を数えながら腕を下ろし、上げの繰り返し。
まずいぃぃ…腕に力が入らなくなってきた!
そろそろ限界だぁ!
(筋トレお兄さん「…限界だと思ったら最後に1回しろ。1回でいいから限界の次へいけ」
!!!
筋トレお兄さんが助言をしてくれている。
これはモチベーション上々!
(俺「はぅうはぁあわあわ!」
そして16回目。俺は床へ倒れた。
(俺「はっふ。はっふ。はっふ。」
呼吸が荒い。体が熱い。でもそんなことよりも前回の俺を超えられたのが嬉しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます