第25話冬月の緑荘

(俺「あー…12月になってもなーんも予定ないな」

今年もとっくに12月というラストスパートへと入っている。世間では12月という月は人気だ。クリスマスやらなんやらあるから若い世代がにぎわうのも当然。だが、俺はいつの月も関係なく予定はない。どうせクリスマスも気づいたら終わるだろう。

(シャナ「たいきさんは彼女さんとか居ないんですか?」

(俺「おー?俺に居るように見えるか?彼女なんて夢以外じゃできたことねーよ」

そう。俺は年齢=彼女いない歴の男だ。そもそも俺はモテない。モテたためしがない。小学生の頃は足がクラスの中では速い方で「かっこいいね」

とかはよく言われてたっけ。中学では足の速さはスペックにならず、頭が良い、顔がいい、スポーツ万能などの能力を持った奴らがモテていた。高校もそんな感じだったな。おちゃらけキャラは小中高全ての学校にいたが、愛されてるだけでモテてはいなかった…。俺に彼女を作る余裕はなかったしなー。まぁこれは言い訳か。


(シャナ「ふぅーん。そうなんですね」

なんだシャナの奴。こんなこと聞いてテキトウな反応だな。こっちはハズいこと言ってんのに。

(サソリ男「山本たいきには好かれる要素がないからなぁ。俺とは大違いだぜ」

(俺「おっ?なんだ?お前モテるのか?あぁん?」

(サソリ男「俺たちの世界じゃあ強いやつが好まれる。屈強な男たちが美しい女どもを貰ってくんだよ。だから暗殺一家に生まれた俺はまぁまぁモテたぞ」

(俺「チッ…」

思わず舌打ちをしてしまった…。悔しいぜ。でも確かにサソリ男は屈強な身体つきだ。肩なんてアニメキャラかと思うほど鍛え込まれてる。日本じゃあまり筋肉がある人ってのはモテるイメージはない…、華奢でイケメンな細身な男子がモテてるイメージだ。でも海外なんて歩けばみんなムキムキだよな…。まぁ日本人は筋肉が付きにくい種族とか言うし…。

(サソリ男「ふん。お前も女に好かれたいのなら鍛え込め。自信のある男は誰が見てもイケてるぜぇ」

(俺「…そうだな…まぁ俺はこの前鍛えて強くなると宣言したばっかだ。これから毎日筋トレするつもりだし…」

(大森シン「フッフフ。それならたいき!俺と一緒に筋力をつけるための合宿へ行こうじゃないか!!!」

(俺「お前なんでいるんだ?どっから入った?」

(大森シン「そんなのどうでもいいだろ!!!俺と一緒に力強くなろうぜ?」

コイツがなんで俺の家にいるのか聞きたい所だが…今シンの話していることに興味があるぞ。筋力をつける合宿か…。


(俺「面白そうだな…具体的になにするんだよ?」

(大森シン「えーとな、こっから3時間ほどのところに山があるんだけどさ、そこにコテージがあってさ!そこで1週間宿泊しようと思って…んで!そのコテージの近くにひっそりジムがあって筋トレにもいいなぁと思ったわけよ。」


コテージ…か。たしか自然の中にある宿泊施設だったなー。いいなぁ。冬の自然ってのにも興味がある。

(俺「いいなぁ!特に予定もないし、行ったるか!」

(大森シン「おぉー!ありがたや!できればあと2人くらい来てほしいけど」

(俺「お?なんでだ?」

(大森シン「そこのコテージは人数が多いほど安くなるんだよ〜。だから最低あと一人ほしい!」

(俺「そうか…じゃあアリス、シャナ、サソリ男。誰か行きたいやついる?」

(アリス「私は修業のためいつも山に入るからな。そのコテテ?に行く必要はない」

(俺「コテージな…。そっか。じゃあサソリ男は?」

(サソリ男「わりぃーな。俺は寒いのは苦手ダァ」

(俺「まー、サソリってなんか暑いとこにいるイメージだしな…シャナは?」

(シャナ「うーん…そうですねぇ。私はムキムキになるとかは興味ないですけど、冬のお山は少し気になります…」

(俺「おっ!ほんとか?たしかに冬の山は幻想的らしいし。気になるのもわかるなぁー。よし!じゃあシャナで決定!」


(大森シン「シャナちゃんテンキュー!。あっ…そういえばだけどそのコテージ付近では冬の夜にめっちゃ星見えるんだって!たしか…冬のダイヤモンド?だったけ…」


冬のダイヤモンド…あー前田先生に教えてもらったことがあったな。

ぎょしゃ座の「カペラ」、ふたご座の「ポルックス」、こいぬ座の「プロキオン」、おおいぬ座の「シリウス」、オリオン座の「リゲル」、おうし座の「アルデバラン」…の6つを結んだ星だったな。孤児院に星に関する本があって読んでたなー。添付されてる星の写真がすっげえーきれいで好きだったなー。


(シャナ「!冬のダイヤモンドですか!?!気になります!!」

(俺「シャナも行く気満々になったな…で、そのコテージにはいつから行くんだ?」

(大森シン「そう言ってくれると思ったぜ〜。今日の夕方出発だあ!」

(俺「ふぇ!?今日かよ?お前そういうことは事前にいっとけよ!」

(大森シン「めんご。今日の夕方の17時にいくからなー!荷物まとめとけよ!」


今日の17時か…今は昼の11時。あと六時間後か。

(大森シン「てことで!17時前にまたくるわー!」

そう言ってシンは帰ってった。たっく。普通なら1週間前くらいに言うだろ。なんで当日に言うんだ。わけわかんねー。


(俺「…まぁ準備するか。シャナはもってくもの歯ブラシくらいか?」

(シャナ「!着替えもいりますよ!!何言ってるんですか!!!」

(俺「着替え…。そんなのお前持ってたっけ。」

(シャナ「たいきさんのtシャツやらを借りてますよ」

…まぁなんとなく察しはついてた。でもシャナは朝起きたときとかは別に俺の服とかじゃなかったが…朝起きたら即着替えてんのか?

俺に怒られると思ってたんだな…。確信犯じゃねーか。

これからずっと俺のtシャツを着られるのはゴメンだ。他に服買ってやるしかないな。まぁ俺が気にしてなかったのが悪かったなー。


(俺「んじゃシャナは歯ブラシと俺のtシャツな。…俺は……歯ブラシに…スマホに…アレヤコレヤに…」



ーーー六時間後ーーー

(大森シン「うぃーす!たいきー!来たぞー!」

(俺「おっ。来たか。シャナ行くぞー」

(シャナ「はぁーい!アリス〜!またねー!サソリさんもー!」


(俺「留守番頼んだぞー」

(アリス「あぁ。わかってる。またな。」


ガチャ。

(大森シン「さぁ!2人とも。車に乗れ!こっから3時間ほどかかるぞー、」

(俺「安全運転で頼むぞ。」

(大森シン「おうよ。俺の運転技術を舐めてもらっちゃあ困るなぁ」


ってことで車は走り出した。冬のコテージか。

これは中々楽しめそうだ。いや…目的は俺が強くなること。それを忘れずに1週間過ごすぞ!







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る