第18話毒には毒を蛇には何を。

(ヘビ弟「に…にいぢゃあぃぁぁん!!!」

…サソリ男が後ろからヘビ兄に毒針を刺しやがった…。ヘビ兄弟が同時にアリスへ攻撃をしかけ、それをアリスが前方へ避けることでアリスとヘビ兄弟の場所が入れ替わった…。

その瞬間に後ろからドスン…か。


(サソリ男「なぁよもう少し、静かに戦えよなァ。」

サソリ男の毒針が刺さったヘビ兄だが…今、床に倒れ込んでいる…。あれは痙攣…?いや違うな…かすかに動こうとしているようだが、体が動かせないのか?

(ヘビ兄「ぐぅっ…う…!」

(サソリ男「どうだァ?動けねぇだろ?数十分は麻痺してるままだぜ?それに痛みも伴うしな

ァ。俺はお前の心臓部に突き刺した。」

(俺「し、心臓?!まじかそれ大丈夫なのかよ?」

(サソリ男「おいおい?山本たいき。お前は敵相手に同情か?」

(俺「いや…別にそういうわけじゃねーけどさ…」

サソリとは言え、猛毒持ちの生物には変わりはない。それに人間型…人間世界にいる普通のサソリよりも毒は数倍強いはず…そんなのを心臓に…。


(ヘビ弟「お、おまえ…サソリ一族のくせに…兄ちゃんを地面に付かせたなぁ?!!」

(サソリ男「何キレてんだよォ?そんなサソリ一族に負けて地面についちまったのはどこのヘビさんだァ?」

…ヘビ弟は兄が殺られて相当キレてるな。ありゃ何するかわかんねーぞ。それにサソリ男はヘビ兄を倒したとは言え不意打ちだ。真正面からの真っ向勝負だとどうなるか。

(ヘビ弟「てめぇは絶対ぶっっころしてやるぅぅぅぅぅ!!!」

ダッ。

ヘビ弟がそう叫びながら地面を蹴り上げる。


(サソリ男「たっく。もうちょい声量下げろよォ。」

ビュオッツ!

ヘビ弟はサソリ男へ向けてムチのようなしなる尻尾を振るう。

それを頭を下げることで楽々避けるサソリ男。

ヘビ兄弟はサソリ男よりあきらかにスピードが速いと思ったが…。兄だけだったのか?


(サソリ男「お前も兄みたいに毒で動けなくしてやるよォ。」

(ヘビ弟「てめぇな…兄ちゃんをコケにしやがって…」

ドユゥ。

サソリ男が尻尾を空振りしたヘビ弟へ向けて毒針のついた尾を放つ。

!!!

(ヘビ弟「…!なっ」

寸止め?!サソリ男はヘビ弟へ毒針を打つかと思うと当たる直前で止めた。それに驚き、ヘビ弟は一瞬隙を見せる。

(サソリ男「まんまとブラフにひっかかったな?」

くるりんぱ。

サソリ男が体を横に回転させる。あれは…アリスの回し蹴りか?!

(サソリ男「ほらよォっと!!!」

ドオッツ!!!

(ヘビ弟「ぐっぎうっ…」

ぎりぎりで腕で防ぐことに成功したか…。ヘビ弟も中々の腕前だ。

(ヘビ弟「ふぅっ…ふうっ……」

完全に疲れ切ってるな…。兄の敗北も関係してるだろうが…。

(サソリ男「どうするよォ?負け認めてもいいんだぜぇ?」

(ヘビ弟「…うるさい…」

さっきまでの勢いはもうなくなったな…。叫ぶ力もなさそうだ。

(ヘビ弟「もう…いい…兄ちゃんを連れて一旦ひく」

(サソリ男「おっ?なんだァ中々いい判断ができるんだなァ?お前らのことだからプライド引っ張って戦い続けるのかと」

タッタッタッ。

こちらへヘビ弟が向かってくる…。ヘビ兄はサソリ男の少し後方に倒れているからか…でもそれにしては変な…

ダッ!

(俺「あっ!おい!」

(ヘビ弟「これはブラフだ!バカがぁ!」

(サソリ男「まぁだろうな?」


ドッゴォン!

…俺はてっきりヘビ弟の攻撃がサソリ男へ当たった音かと思ったが…アリスの前蹴りだったとは。

(ヘビ弟「ごっぱぁっ!」

ドドドドドドン!!!

アリスに蹴られて壁に転がり衝突した…。

(サソリ男「はっ!ざまぁねぇぜ。…だがアリス?お前やっぱ長向いてねぇみたいだなァ?ヘビ相手に疲労しきってよォ」


(アリス「だまれ…。お前は関係ないだろ」

(サソリ男「ひでぇーな?助けてやったんだ。お礼くらいしろよォ。」

(アリス「………」

ヘビ兄弟も、サソリ男も言っていたアリスが長に向いてないってのは…。

(俺「なぁアリス?お前兄がいるのか?」

(アリス「…あぁそうだ。だが兄は問題行動ばかり起こす…犬族は代々優秀で真面目な一族だ。だから兄は長にはなれなかった。」

(俺「…そうなのか。兄がまともな奴だったら長は兄だったのかもしれないのか」

(アリス「…そうかもな…。兄は力だけはあったからな…。」


アリスが言うぐらいならいったいどれほどのパワーなんだろうか…。気になるな。

(サソリ男「さぁヘビ兄弟をぶっ倒したし、俺は寝るからなァ?お前ら邪魔すんなよ?」

(俺「邪魔なんてしねぇよ。さっさとおねんねしろ」

サソリ男は寝たかったにしろ、よくアリスを助けてくれたな…。サソリ男はもう見張る必要もないみたいだな…。まぁサソリ男を拘束した次の日から見張れてない日もあったが…。

(俺「で…アリス、ヘビ兄弟はどうする…よ…あぁぁ?!」

なんてこった!ヘビ兄弟がいねぇぞ!しかも玄関扉相手やがる!どうやって逃げた?!!ヘビ弟は、アリスにぶっ飛ばされて…動けるような体じゃ…兄か…サソリ男の毒が切れたのか…。



ーーーヘビ兄弟目線へーーー


(ヘビ兄「はぁはぁ…ここらでいいだろう…休憩所するぞ…」

(ヘビ弟「う…うん。助かったよ兄ちゃん。」

(ヘビ兄「あぁ…でも、本当はお前がサソリ野郎に引っ掛けられて蹴られた時から毒は解けてた…。すまない。逃げる頃合いを見ていた。」


チッ…。あのサソリ野郎め…ヘビ一族の俺たちを舐めやがって…。必ずまたアイツラの元へいく…。だがそもそもなぜあのサソリ野郎は人間界のシャナ様のところにいたんだ?まさかアイツもシャナ様を取り戻しに?いや…王からはそんなことは聞いていないな。いや…そんなことはどうでもいい。

(ヘビ兄「弟!必ずこの無念は一緒に晴らすぞ!」




ーーー山本たいき目線へーーー

(俺「…シャナの奴…あんな騒音してたのに起きねぇんだな…」

(アリス「シャナは昔から眠りが深いからな。」

シャナも無事、アリスも無事…俺の玄関も今回は無事!!!

だが…王様はアリスの言ったことをもう聞かない…ヘビ兄弟が国へ帰ったらもうアリスは終わりだ…。それに俺達の元にもたくさん敵がくるかもしれない。まずいことになったな。

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