第17話鬼が出るか蛇がでるか。
昨日はシンに誘われて温泉に行ってみたが、すごく満足できるものだった。
まぁその後シンが長時間寝てしまい、温泉の休憩所で夜を過ごしてしまった。
(俺「まじでシンの野郎。」
俺たちが家に着いたのは朝の六時頃だった。シンが起きるのを待っている間にギャル美とシャナまで寝てしまった。そのため家に帰って寝るのを諦めた…。
(大森シン「ほんとに悪い!!!そんじゃあなー」
(シャナ「さようならー!」
ガチャリ。
(アリス「あの変態メガネ野郎め。アイツの誘いにはのらないほうがいいな。」
(俺「でもよ、温泉はすげぇ満喫できたぞ。それに休憩所も案外寝心地は悪くなかったし」
(サソリ男「そうだなァ。山本たいきの言うとおりだなァ。」
………サソリ男はほんとに最初の頃とは見比べるほどにまるくなったな。もう拘束しなくても大丈夫なほど。
(サソリ男「俺ァねみぃからまた寝るぞ」
(俺「どうせまた俺のベットで寝るんだろ…」
(サソリ男「あぁそうだ」
いくら指摘してもサソリ男が俺のベット以外で寝ることはない。だから俺ももうめんどうになってきている…。
(シャナ「ぬぅぅあー!私もまだ眠いかもです。」
(俺「シャナもか?お前は結構寝てたじゃねーかよ。」
(シャナ「そうですけどぉー。」
そう言いながらシャナはいつものテレビ裏へと歩いていった。
ピンポーン。
インターホンが鳴る。
(俺「む?誰だろう」
玄関扉の向こうにうっすら影が見える。そこには2人誰かがいる。
(俺「シンとギャル美か?まだなんか用あるんか?」
(アリス「…いや…あれはあの二人じゃないぞ。あきらかに身長が違う。」
言われてみれば…そこにいる2人の人物は身長差はほとんどない…。シンはギャル美より5.6cmはデカい。
ーーーガチャーーー
(俺「あっ!まだ玄関の鍵かけてなかったんだー!」
(アリス「おい!そこの2人。そこで止まれ」
2人の人物はアリスの言う通りそこで足を止めた。
(???「あれま〜、アリスさんは裏切ったんですねー?」
(???「残念だね…兄ちゃん」
アリスだと…?!コイツらは…
(アリス「山本たいき!こいつらはシャナを国へ返すため送られてきた奴らだ!」
まじかよ!
ギィィィー。
2人はドアを完全にあけ、姿をこちらへ見せた…。あれは…?耳もなければ尻尾もないぞ…?
(俺「お、おいアリス…こいつら人間…?」
(アリス「ちがう…、コイツラ見たことがあるぞ…お前ら!ヘビ一族のものだな?!」
蛇?!
(ヘビ兄「おぉ!アリスさん!知っててくれてましたか!ありがたいな〜!」
(ヘビ弟「だね。兄ちゃん!でも…この人は王様を裏切った人だよ…」
こいつらは兄弟か…。どおりで顔つきが似てると思った。同じ黒髪で小柄。輪郭までそっくり…。
(ヘビ兄「アリスさん…王様へ報告ぐらいしといたほうがよかったですねー?王様は心配しておられましたが…。シャナ様の手助けをしていたとは…。」
(ヘビ弟「だね…。残念だよね…アリスさんは犬族の長なのに…そんな人がこんなことするなんて…」
(アリス「くっ…王を騙しているのはもう限界だったか…。」
アリスは一度むこうの世界へ帰った時に王様を説得し、シャナを、探しに来させないようにしたと…。でもそれは嘘でどうにかできたもの…アリスが必ずシャナを見つけると言ってしまったと。
(俺「…アリス?コイツらは」
(アリス「…この2人はヘビ一族の看板的存在だ…。暗殺もこなす奴ら…」
(俺「あ、暗殺?!サソリ一族と同じじゃねーか!」
サソリ一族以外にも暗殺一家はいるのか?!
(ヘビ兄「ちょっと〜アリスさんそれは誤解を生みますよー?」
(ヘビ弟「そうだ!僕たちは暗殺もするが本業は騎士だぞ!勇敢な騎士だ!。代々A王国へ仕えてきたんだぞ!」
シャナたちの国に昔から仕えていた騎士か…。そんな奴らを派遣してきたのか王様は!
(ヘビ兄「さぁ?シャナ様がこの家にいるのは見張りで分かっているんですよ?さっさと渡しなさい」
(アリス「悪いが無理だな。シャナは国へは帰りたくないそうだ」
(ヘビ弟「へ!兄ちゃん!これでアリスさんは完全に敵だね!」
(ヘビ兄「そうだなー。こりゃあ王様は悲しむなー?アリスさん…?」
(アリス「うるさい奴らだな?さっさとかかってこいよ」
タッ。
その瞬間、ヘビ兄が俺とアリスの方へと向かって走ってくる!
(俺「うおっわ!」
(ヘビ兄「人間は邪魔だ。消えてなー」
ドッ。
ヘビ兄は俺へ飛び蹴りを。
(俺「ぐほぉっつ!て、てめぇ…」
(アリス「そっちに気を割いていいのか?」
ヘビ野郎たちはサソリ男と違って尻尾が見当たらない!サソリ男のように手こずることはなさそうだ!
(ヘビ兄「ほほ〜ん?怪我したいんですか?アリスさんはー?」
シュッ。
アリスの方に素早い何かが通る…。
(俺「なんだよ…尻尾あるのかよ!」
ないと思っていた尻尾は、奴らのズボンの中にしまっていたようだ。
(俺「…しまえるのかよ…それならアリスたちもそれで隠せるんじゃ…」
戦闘中だというのに俺はなぜかそんなことを言ってしまった。
(アリス「バカ言うな!ヘビ一族の尻尾は他の連中と比べて異常に柔軟性がある。私たちは尻尾は入れられたとしても、付け根が痛くなる」
(ヘビ弟「いいの?そんなこと言ってる場合ですかアリスさん!」
あっちには兄と弟がいる…。2対2…いや、俺はほぼ戦力にならないか…。サソリ男との対決のときは奴の攻撃を避けれたが…ヘビ野郎共は中々のスピードだ。サソリ野郎よりも断然速い。そして奴らの尻尾はムチのようになっている…。攻撃の予測もまともにできないだろう…。
(アリス「山本たいきは奥へ行っていろ!足手まといになるぞ」
(俺「あぁ!わかった」
ここは潔く引くべきだ。
(ヘビ兄「山本…たいき。彼は私たち獣人と関わってしまったからなー。そのまま日常へ戻るってのは無理があるねー?」
(ヘビ弟「そうだね!兄ちゃん。シャーム王に帰ったらどうするか聞いてみよう!」
タッ!
(アリス「お前達は帰らせないぞ!」
ビュン。
アリスの回し蹴り。相当な威力だろうが…ヘビ兄はそれをことごとく避ける…。
(ヘビ兄「そんなもんですか?アリスさん」
ビュゥゥゥッ。
(アリス「ぐ!」
アリスの回し蹴りの終わり際にヘビ兄は尻尾でアリスの右足へムチを振るうように尻尾をなびかせる。
(俺「大丈夫か…?アリス…血が出てるぞ!」
かすり傷だろうが…これを食らい続けるとまずいぞ?
(アリス「…お前は奥へ行っていろと言ったろ…」
(俺「そうだけど…お前一人でやれる相手なのか?」
(アリス「私は…犬族の長なんだぞ…これぐらい一人でどうにかしなくては…ならんのだ!」
(俺「わかった…。」
タッタッタッ。俺はアリスの手助けをいつでもできるように、奥までは行かず手前で見守ることに。
…奴らはシャナを狙ってる…だが今、シャナはテレビ裏で寝てる。あいつらは気づくことはないだろう。
(ヘビ兄「アリスさんは仕事をちゃんとこなす人だったのになー。どうしちゃったんですか?」
(アリス「うるさいな…お前らには関係ないだろ」
(ヘビ兄「まぁ…それもそうですねー。じゃ、弟よ、今度は一緒にいくぞー」
(ヘビ弟「うん!わかったよ兄ちゃん。終わらせよう」
タッ。
そう言うとヘビ野郎たちは同時に床を蹴り、アリスの方へと向かっていく。
(ヘビ兄「弟!お前は左から!俺は右から行くぞ」
挟み撃ち戦法でいくつもりか?!厄介な奴らめ…。
(ヘビ兄&弟「ほっ!」
2人はリズムぴったり…同時にアリスへ攻撃を仕掛ける。
タッ!!!
アリスはその攻撃を避けるため、前へ飛ぶ。
(ヘビ兄「アリスさんの尻尾は飾りですが、こっちは武器になるんで」
!奴ら次の攻撃へ移るのが速い!アリスが床へ着地する前に尻尾で仕留める気か
(俺「まずいぞアリス!」
空中じゃあれは避けれない。
(アリス「ぐっ…チッ!」
アリスは体を捻って、ヘビ野郎の狙い所をずらすことに成功はしたようだ…でもさっきの右足の傷よりも深い傷が腰辺りに…。
(ヘビ兄「犬族の長はこんなもんですか?仕事の真面目さとシャナ様と仲が良い…それだけで長になったっていう噂は本当なんですかー?」
(アリス「…そんなことはない!」
犬族の長っていうのは、一番年齢が上とかそんなんじゃないのか…?
(ヘビ弟「だね。兄ちゃん。アリスさんよりアリスさんのお兄さんが長をやるべきだったよね」
…アリスのお兄さん…?アリスには兄がいるのか。
(アリス「貴様ら…私が黙っていれば長々と…!」
(ヘビ兄「あ〜あ!怖い怖い…アリスさん一旦落ち着いたら…っ?!ぐっ!」
(俺&アリス「?!」
(サソリ男「お前らがうるせぇから眠くても寝付けねぇーじゃねぇかよォ」
サソリ野郎!あいつがヘビ兄の心臓部らへんに毒針を刺しやがった!!!
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