第16話休まるべきこと②。

シンとギャル美に誘われて、俺達は温泉へと来ていた。


ーーー男風呂ーーー

(俺「風呂に入る前にまず髪を洗わなきゃなー。」

他の人達も同じかは知らないが、俺は昔からお風呂に入るより先に髪を洗う。先に風呂へ浸かってしまうと、頭がホワホワしてしまいシャンプーやリンスをするのがめんどくなってしまうことがあるためだ。

(サソリ男「別に風呂上がりでもいいだろォ…?……おい、山本たいきお前額にキズがあるが」

(俺「ん?あぁコレは生まれつきあるっぽいんだよなー。何で怪我したかはしらねぇけど」


俺の額には何かにぶつけた?ようなアザがある。前田先生にこのアザのことを聞いたことはあるが、「何も分からないのよ」とのこだ。そのため生まれつきだとは思うが…。まぁ髪の毛で隠れてるからそうそう見えることはない。


(大森シン「でもよーそのアザ、生まれた頃からあるようには見えないけどなー?絶対生まれたあとにできたやつだぞ!」

別にどうでもいいんだけどな…。痛むわけでもないし。

ワシャワシャワシャ。

(俺「うっ…かゆ…このシャンプーダメなやつだなー…」

(大森シン「ダメなやつってなんだよ?失礼な野郎だな」

(俺「ちげーよ。俺髪っていうか頭皮?が弱いんだわ。俺に合うシャンプーじゃなきゃかゆくなったりするんだよ 」

見事に頭皮だけ痒くなる…。孤児院のシャンプーやリンスは俺に合っていたから特に問題はなかったが、孤児院を出ていってから、このことに気づいた。

(サソリ男「おい。この泡がでてる風呂は入れるやつなのかァ?」

(俺「温泉にある風呂が入れないわけねーだろー。それはそういう風呂なんだよ」

(サソリ男「…こんな風呂もあるのかァ。変な世界だな」

(大森シン「すげいなー!サッチーもコスプレイヤーなんでしょ?キャラに人格乗っ取られてるじゃん!」

…シンはバカなのか、たんにヤバイ奴なのかわからんが、サソリ男の尻尾にふれない…。どう考えてもおかしな絵面なんだけどな。

関係ないが、シンまでギャル美が使ってたサッチーって愛称使ってるし…でもサソリ男ッて呼ぶのもなー…いや…サッチーッて呼びたくないな…


(サソリ男「あわあわあわあわわわわ。」

(俺「なんて情けない声だしてんだよ…」

サソリ男は泡風呂が気に入ったのか、そこからあまり動こうとしない…。


(大森シン「さぁたいき。サッチーはなんかアワアワ風呂に浸ってるみたいだし…サウナいこうぜ!」

(俺「お!いいじゃねーか!」

サウナも久しぶりだな。まぁ温泉自体にほとんど行ってなかったからな…。

ギィ。

(俺「うっ…寒すぎるな…」

サウナは大体外にあるからなー。移動中の寒さを耐えるのがな…


ピトッ………

(俺「?」

シンがなぜか竹筒の壁に耳を当てている…?。あっち側は…女風呂?!

(俺「…なんてキモいことを…」

(大森シン「これをしなきゃ始まらねぇ!」

何がだよ…孤児院にいたときのコイツは別に変態行為をするようなやつじゃなかったのに…。


(大森シン「!おい!たいき…静かに…何か聞こえるぞ…?」


(???「あ…だっ…」

(俺「?なんだ…?」

この声は…シャナか…?一体なにを言っているんだ…?アリスやギャル美の声は聞こえない…?


(シャナ「あだだだだだだだだだ!」

(大森シン「………」

何いってんだあいつ?!泡風呂に入ったサソリ男みたいになってるぞ?!

(大森シン「じゃサウナいくかー!」

シャナの鳴き声?には触れないのか…。多分シンが期待してた声とは違ったんだな。


ギィーーー。

(俺「あっちぃー!」

この感じ…!久しいなぁー!熱気をビンビン感じる…!

俺は暑がりな方なんだが、サウナはまったく嫌ではない。夏に感じる暑さとは系統が違うからだろうか…。

(大森シン「うぅ〜。最高だなー!体に流れる汗がたまんねぇー!」

(俺「そうだな…たまんねぇな」

俺はサウナに入ると頭が回らなくなる。他の人がそうかは知らないが、何も考えられなくなってしまう…。


ーーー5分後ーーー

(大森シン「お…おぅぅぅ〜〜〜」

シンが変な唸り声を出し始めたが、気にするこたぁできない。

(俺「………」

思考がまわんねぇー!


ーーーもう5分後ーーー

(大森シン「…はっ…危ない…そろそろでようぜ…」

(俺「もしかして…お前寝てたのか…?」

(大森シン「そうかも…しれない…」

これ以上長居するとだめな気がするからでるとするか。



ギィーーー。

(俺「…この外出た時の寒さはサウナとの相性最高だな。」

(大森シン「そうだな。…サッチーはもう上がったかな?」


ドドドドドド


(サソリ男「あだだだだだだだ」

(俺「………」

あのときのシャナの鳴き声らしきものはシャナが打たせ湯をしてただけみたいだな…。


(大森シン「2人ともそろそろ上がるぞー!女子たち待ってるだろうし。」


(サソリ男「俺はまだ全然入れるがなァー」

なんかサソリ男が見栄張ってるがスルーしよう。

(大森シン「お、!体重計があるぞ!せっかくだし計ってみようぜー」

体重計か…温泉にはまずあるな。どこの温泉にもあるイメージだ。

(俺「体重なんて最近はかってねーな」

トッ。

ピッピッピ。


(俺「お…でた…66kgか…これどうなんだ?」

(大森シン「さぁ?19歳にしては痩せてる方なんじゃねー?次俺なー」


トッ。

ピッピッピ。

(大森シン「えっとー…63kg?!たいきより軽い…?!」

(俺「てかここに平均体重かいてるぞ」

シンは完全に見落としてたみたいだが普通に上にポスターが貼ってあった。

(俺「えーと、平均体重は…60.6kg?!…シン…何が痩せめだよ。全然平均値より上じゃねーか。」


(サソリ男「おい。俺の体重でたぞォー」

(大森シン「サッチー何kgよー?…53kg?!え?!痩せすぎだよ!」

(サソリ男「まぁ俺あんま食わねぇしなァ」

たしかにサソリ男はあまり食べてない。朝も毎日鶏もも肉を挟んだパンを食べてるだけ。昼食や夜食は何食べてるかは知らないが…。

てか鶏もも肉勝手に使われるのちょっとなー。

てか、そもそもコイツ何歳だ?


(大森シン「びっくりだなー…サッチー別に細いとはおもわなかってけどな…」

人獣の世界では体重とか人間とは違うんだろうか?。…それにコイツの尻尾は重そうだけど、そんなにないのかな?


(大森シン「さぁ!女子たちが待ってるからいくぞぉ!」

タッタッタッ。

少し駆け足で休憩所まで行く。

(ギャル美「あ、男子たちー!!!こっちこっちー!」

ギャル美が手をふっている。別に振らなくてもギャル美は目立つ…。一人だけ異様に色黒だし。シンと同じく金髪だし…。

(ギャル美「3人ともお疲れー!お風呂上がりだからホワホワするよね〜!」

ホワホワ…あいまいないい方だが、なぜかわかる。別に自分の家の風呂ではそこまでホワッたりしないが温泉だと異様にホワホワする。


(シャナ「どうします?帰りますか?」

(大森シン「ちょっと休憩してかないー?ここ漫画も置いてあるしさー!」


(ギャル美「たしカニ!それはあり!」

別に明日何かあるわけでもないからいいけど…。温泉入ったあとはすぐ寝るのが気持ちいいと思うが。

(シャナ「まんが…」

(俺「そりゃあっちの世界には漫画なんてないか…」

(アリス「たしかにマンガなんてものはないが、それに似た小説や書物なら相当あるぞ」

(俺「ほぉーん。」

そして各々休憩所でくつろぎ始めた。今日は他の客はいないため、のびのびしてる…。

シャナも漫画を手にしてヨガのポーズみたいな姿勢で読み始めた。



ーーー50分後ーーー

(俺「あ!もう1時間くらい経つじゃん…」

漫画を読んでいるとあっとう間に過ぎちゃうな…。俺は約1時間でONE○IECEを7巻くらいまで読んだ…。


(俺「おい…シンそろそろ帰った方がいいんじゃないか?」

(大森シン「………」

…?なんだよ…コイツ喋らねぇなと思ったら…完全に寝てる…。コイツしか運転できないみたいだからまずいんだが…

(アリス「ソイツ寝たのか?」

アリスが後ろから声をかけた…

(俺「うおっ…アリス後ろにいたのか」

(アリス「あぁ。私はずっと後ろでストレッチをしていたぞ」

(俺「え!1時間もかよ?」

とんでもねーな。よくもまぁ温泉上がりにそんな運動できるな…いや少しのストレッチぐらいならいいだろうけども。


(ギャル美「うぁぁ〜!シン寝ちゃったかー。どうするー?起こしちゃう?」

(俺「起こしちゃうも何も、起こさなきゃ帰れねぇぞ。」

温泉に入ったあとだろうから相当ぐっすり寝てる。これは起きなさそうだが…。


(シャナ「ぐぬぅぁぁ〜〜〜!」

(俺「おっ…シャナ」

シャナは漫画にハマってしまったのか、シャナの周りには何十巻もの漫画が落ちている。相当読んだみたいだ。


(ギャル美「シャナっちー!なんかシン寝ちゃったんだよ〜」

(シャナ「そうなんですか…でも寝かせてあげておいたらいいんじゃないですかね?」


みんなシンが運転して来たの忘れたのか?

(俺「まぁ今日は他のお客さんもいないし…」

(温泉のおばちゃん「ええでええで。シンちゃん寝かせてあげな。」

温泉のおばちゃんが声をかけてくれた。これはありがたい。

(俺「ありがとうございます…。起きたらすぐ帰るんで!」





その後シンが起きたのは7時間後だった。







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