第14話略称好きなあの子は。
(ギャル美「ねぇー、たいきっちーの親戚ってどんな人?」
前田先生に会いに行っただけだったが、ギャル美のワガママでおれんちへ来ることになってしまった。
(俺「えーそうだな…、俺と同じくらいの年頃の子と…無愛想の不良みたいな奴がいて…」
(ギャル美「親戚っておじさんとかじゃないんだ?その子たちの親は?」
(俺「え?いやー、さぁ?」
これ以上深掘りされると困るぞー。
(ギャル美「?へんなのー」
疑い深いといっても、実際ギャル美は頭がいいわけではないからな…。
(俺「ついたぞ。」
(ギャル美「あー、久々にきたなー!たいきっちの家!」
ギャル美は少し前にシンと一緒におれんちに来たことがある。そのため俺の家に来るのは二回目だな。
(俺「あー実は昨日、シンが来てさー。久しぶりに家に上げたんだよな」
(ギャル美「へぇー!シンならつい最近、孤児院にも来てたよー!」
なんだ…シンも孤児院行ってたのか。
(ギャル美「なんか、たいきっちの家のドア壊れてる?今にも取れそうだけど」
(俺「あーそれは…取って付けたようなもんだから…」
サソリ男がおれんちに襲撃しに来たときにぶっ壊れたんだよ…俺の玄関の扉。アリスが初めて来たときも蹴られてたし…。
ガチャ。
(アリス「む…?山本たいき…隣にいるのは誰だ?」
(俺「あ、アリス。こいつは…」
(ギャル美「えー!なになに?!このクール美人さんは〜!!!こんちは!どうも!ギャル美でぅぇーす!☆」
…アリスはシンにもこんな感じにあいさつされてたな…。大変だな。
(アリス「ギャル美…?…貴様は何者だ。」
(ギャル美「何者って…面白いこというじゃん!お姉さんアタシと同じくらいの年齢でしょー?よろぴくねー!」
おいおい…ギャル美、お前は「何者か」って聞かれてんだよ。
(俺「えーとなコイツは俺と一緒に孤児院で育った奴で…そう!山本シンと同じかんじ!」
(アリス「あー、あのキモい写真野郎」
(ギャル美「キモい写真野郎!?それシンのことー?!ギャハァ!それあってる笑」
あいかわらず変な笑い方…。
(シャナ「アリスー?どうしたの?」
(ギャル美「むむむ…?奥からまた違う系統のおにゃのこが!」
…おにゃのこ…?なんだそれ…女の子ってことか?
(シャナ「…たいきさん?その人は誰です?」
(アリス「コイツは大森シンと同じような奴だ」
(シャナ「あー!たいきさんのお友達ですか!」
(シャナ「どうも!私の名前はシャナです!よろしくお願いします!」
(ギャル美「うぉ!アタシはギャル美!よろぴー☆。」
(シャナ「よろぴー…?…はい!よろしくお願いします!」
(ギャル美「すごいね、たいきっち。こんな綺麗な子たちが親戚とか!シャナっちもアリスっちもきゃわいい!」
(シャナ「シャナっち…?」
(アリス「アリスっち…?」
ギャル美は子供の頃から謎に他人を変な呼び方で呼ぶ。大体の子たちは変な名前で呼ばれた…。
「っち」がつく呼び名で。でもシンはシンっちって呼びにくいのか、普通にシンで呼ばれてた。
(サソリ男「なんだよォ。うるせぇんだよ」
あ、なんだサソリ男がいねーとおもったら…俺のベッドで勝手に寝たなー。
(ギャル美「えぇ!まだいるの?!たいきっちの親戚多すぎー!その子の名前は?」
(俺「…サソリ男の名前…?」
(ギャル美「サソリ男…?変な名前だね。そうだなーじゃー、サッチーでどう!」
サソリ男が名前なわけないだろ…。やっぱギャル美もバカみたいだな。
(サソリ男「…サッチー…勝手にそう呼べ」
にしても…怖いくらい大人しいな。今日会った変な人間に対しても普通に接している。コイツ変わったのか?
(ギャル美「そう言えばさー、シャナっち、アリスっち、サッチーの腰らへんから出てきてる変な尻尾みたいなのってなーに?」
あ…ギャル美のおかしすぎるテンションのせいでまったく気にしなかったが、シャナたちまんま尻尾や耳だしてんじゃねーかよ!
(シャナ「えっとですね…コレは…!コスプレ衣装です!」
ナイスだシャナ。昨日のシンへ言った変な設定を覚えてたか。
(アリス「そうだ。コスプレイヤーンだ。」
アリス…コスプレイヤーだ。
(ギャル美「ほへぇ!すごい!コスプレなんてするんだ!でもみんな美形だしコスプレイヤーっぽい!」
よし…なんとか騙せている。
(俺「まぁそう言うこと…。シンはそれ言ったらカメラで撮らせてくれーって」
(ギャル美「シンってカメラなんて持ってたんだ。知らなかったなー 」
なんだ。シンの奴、ギャル美にもカメラが趣味なこと言ってなかったのか。
(ギャル美「シンにそんな趣味あったのかー。てかさ!コスヤーって楽しいの?!」
(俺「お?コスヤー?何いってんだ?」
(ギャル美「もー、わかるでしょー?コスプレイヤーって言葉が長いから略したの」
…コスプレイヤーって別に長いか?言葉で言ってもそんなもんだろ。
まぁ元々ギャル美は、人を変な呼び名で呼ぶ以外も、色んな言葉を略したがってたな。
ギャルって確かに略して物を言ってる偏見があるが…。
(アリス「まぁ楽しそうだったぞ。いろいろなものに変装して…」
アリス…コイツネットで調べたな?
(ギャル美「楽しそう…?アリスっちはコスヤーなんでしょ?」
(アリス「あ…そうだな。私はコスヤーン?だ。」
(サソリ男「たっく…こんなに騒がしいと寝付けねぇなァ」
(俺「寝付けないも何もお前は俺のベットで寝るんじゃねーよ」
ガシッ。
ぽーい。
俺はサソリ男を掴んで床へぽいする。
(サソリ男「チッ。別にいいだろォ。寝るとこねぇーんだぞ」
(俺「おぉん?床があるじゃねーかよ。寝そべってな」
(サソリ男「あ?床だァ?冷てーだろうがよ。季節を考えろ」
(ギャル美「ちょまちー!喧嘩すんなよー!仲良くしなきゃだめだゾー」
(サソリ男「………」
(俺「すんません…」
(ギャル美「ていうかサッチーもコスヤーなんでしょ?尻尾デカいねー。なんか光沢あるし。」
そう。サソリ男の尻尾?はシャナやアリスとは比べ物にならないほどデカいし、黒光りしてる。針だって人間の小指ほどある。
(ギャル美「むー?なんか動いてる?その尻尾。」
ギャル美も動いていることに気がついたか。
(サソリ男「まぁな。自由自在だ。」
ビュンビュンビュン。
サソリ男が尻尾を振り回す…。
(俺「お前な…危ねーだろ?振り回すんじゃーぞ」
(シャナ「まぁ、サソリさん嬉しそうだしいいじゃないですか!」
嬉しそう…か?褒められてるわけではないだろ…。
(俺「あ、おい。そういえばギャル美?お前親戚に会ったら帰るって言ったよな?そろそろ帰ってくださいます?」
(ギャル美「えー!まだみんなとお喋りしときたいんだけどー」
(俺「いや、帰るって言ってたのはお前だし…」
帰らなさそうだとは来る前から思ってたが…案の定だな。
(俺「そもそも、ギャル美は孤児院の子供たちと遊ぶってことで来てたんだろ?先生たちに何も言わず家に来てよかったのか?」
(ギャル美「あ!そうじゃん…もぉ!たいきっちのバァカ!」
(俺「なんで俺がバカ…?」
タッタッタッ。
そう言ってギャル美は走り出していた。
すんごいスピードで孤児院へ戻ったようだな…。
シンよりは物わかりはいいのか…?いやそんなことないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます