第13話恩人の。
やっとシンが帰ってくれた。
(俺「ふぅー。あぶねーなー」
なんとか嘘を付いてごまかせた。だが、大丈夫だろうか?アイツがとったアリスとシャナの写真…。
(俺「アイツ、写真で変なことしねーだろうな…」
(シャナ「大丈夫ですよ!あの人はいい人だと思いますから」
いやいや…そんなことアレだけじゃわかんねーだろ
(俺「まぁ…良いやつなのは確かだけどな…」
(アリス「まぁあの大森シンとかいう奴が変なことしたら私が蹴り上げてやる。」
あぁ…それは頼もしいこった…。だがアリスの蹴りをまともに喰らえるような奴ではないな。
(サソリ男「おい。山本たいき。お前さっき、あの大森と同じ孤児院の人たちと会いてぇとか言ってたな?その孤児院まだやってんのか?」
(俺「おう、最近忙しいみたいだしな…子供が増えたんだろう。」
孤児院へ行く子供たちは年々増えている。日本の人口増加に伴っているんだろな。
(俺「…先生にも会いたいし…なんなら行って手伝いとかもしたいな…」
先生は俺の恩人だ。手伝えることはやっておいた方がいいだろう…。
(俺「よぉし!なら明日久しぶりに孤児院いくかー」
(シャナ「おぉ!いいですね!私も行ってみたいです!」
(俺「いや!だめだ!シャナが行ったらまた変な嘘を付いて誤魔かさなきゃならなくなるだろ」
シャナやアリスが仮についてきたら…シンと同じように絶対何かきかれる…。
(シャナ「えぇー。たいきさんひどい」
(俺「悪いな。今回は俺一人で行かせてもらうぞ」
ーーー翌朝ーーー
(俺「うーん!しゃぁ!行くぜぇ!」
朝の6時半。俺は孤児院へ向けて出発する。
俺の家から孤児院は10分ほどの場所にある。少し街から出てていて、木々に囲まれた場所にある。そのため歩道からでは中は見えない。
(俺「おー。ここ、ここ。懐かしいなぁ」
ということで久しぶりに孤児院へついた。孤児院の木々の隣には古い小屋がある。その小屋は昔から入ってはいけないと言われてた…。でも先生は取り壊そうとはしないんだような…
(俺「よぉし!いくぞー」
と、俺がドアを手に掛けたとき、
ギィィィー。俺よりはやく誰かがドアを中から開けたようだ。
(俺「む…せんせ…あれ?」
俺は、てっきり先生かと思ったが…
(???「あれー?たいきっちーじゃん!おひさ!」
コイツは…まためんどうなのに会ってしまった。
(俺「お…おう!久しぶりだな!ギャル美!」
コイツの名前は、ギャル美。いや、名前ではなくあだ名だけど…。
(ギャル美「うぃーす。たいきっちは何しにきたん?」
(俺「えー、先生に会いたいとか思ってなー」
このギャル美は名前の通り、子供の頃からギャルが好きでよく日焼けしてた。そのためあだ名がギャル美。コイツの本名は、潮山明美。だけどみんなギャル美と呼んでいる。
(ギャル美「ほへー先生に会いに来たんだ!アタシは子供たちと遊びに時々きてんだー。先生なら奥の部屋にいるよー」
(俺「おけ。ありがとう」
(ギャル美「全然ええでー」
ということで…孤児院にあげさせてもらい、先生のいる奥の部屋へ行くことに。
タッタッタッ。
この孤児院は廊下がすごく長い…と思っていたけど、大人になった俺からするとそこまでない。子供だったからこそそう見えたんだな。
そう考えると感慨深い。
トントン。
ギィギィーーー。
(???「あら、たいき君?」
(俺「お久しぶりです。前田先生!」
この人こそ、この孤児院を建て、俺を育ててくれた方…前田先生!
(前田先生「たいき君ごめんねぇー。忙しくて連絡できなかったのよ」
(俺「いえいえ!孤児院が忙しいのはわかってたので」
(前田先生「そう…それで今日は、どうしたの?」
(俺「あ、別になにかあるわけではないんですけど…何かお手伝いできることありますかね?」
(前田先生「あら、手伝いしてくれるの?ありがたいねぇ。じゃあ隣の小屋周りの落葉をひろってくれるかしら?」
(俺「はい!」
(前田先生「ほんとたいき君は偉いわね。先生、今一人でやってるから…ギャル美ちゃんもそうだけどほんとありがたいわー。」
(俺「いえいえ…全然そんなことありませんよ
ー」
にしても…この部屋はそこまで変わってないなー。子供の頃かくれんぼによく使った…。
…ん?先生の隣にある紙は…あぁ…新しい子供たちの写真か。親がいない子はこうやって孤児院に行くとかしか………そう言えば、シャナとアリスの約束…そう!隣国の王子が13年前に行方知らずになってその子がこの人間界にいるかもとか…。シャナが人間界に来たのもそれが理由の一つだっけ?…完全に忘れてた。
もしかしてだけど、もしこっちの世界に来てるのならワンチャンこの孤児院にお世話になってる可能性も…?
(俺「あの!先生。13年くらい前に、孤児院に来た子ってどれくらいます?」
(前田先生「13年前?…そうねぇ…書類があるから、探してみるわ」
(俺「ありがとうございます!じゃあその間は俺は小屋周りの落ち葉拾いやっときます」
(俺「ふぅーい。」
落葉を拾うってのは楽勝なことかと思ったが…相当な数あるぜこりゃ。でもまぁ先生の恩に比べればこんなもん…
(俺「あれ?この南京錠…新しくなってる」
古い小屋は南京錠で鍵が閉められている。そのため入れない。前までは錆びついた南京錠だったのに…ピカピカのななってんなー。もしかして中に大切なもんでもあるのかな?。
(前田先生「たいき君!寒いでしょ?お茶にしましょ」
(俺「あ、でもまだ全部拾えてませーん!」
(前田先生「いいのよー!風引いたら大変よ」
あーなんていい方なんだ。
(俺「ふぅー。あったけぇ」
(前田先生「たいき君。13年前の子供の書類なんだけどね。それが無くなってたのよ。」
(俺「え?失くしちゃったんですかー?」
(前田先生「いやぁ…私はずっと同じ場所に置いておくから無くなることはないはずよ」
(俺「子供たちがいたずらで盗んじゃったんじゃないんですかねー?」
(前田先生「そうかもね…ごめんね力になれなくて」
(俺「あ、別に大したことじゃないんで」
(前田先生「そう?それならいいんだけど」
(俺「んじゃ…あと少し落葉拾ってから帰ります」
(前田先生「あらそう?ありがとね」
(俺「ふぅー疲れたー。あとちょいだな」
俺が落ち葉拾いを再スタートしてから25分ほどたった。腰がつかれるなー。
ガサ。
(俺「ん?誰?」
(ギャル美「ちぃーす!アタシでぇーす!」
(俺「なんだよ…ギャル美かよ」
(ギャル美「なによーその素っ気ない態度ー!」
コイツ何気にテンション高いんだよな。子供の頃からずっーと陽気。
(俺「俺はもう少し落葉拾ってから帰るからな」
(ギャル美「えー?今日は久しぶりに来たんじゃん!泊まってけばー?」
(俺「いやーそれは申し訳ねぇーし…それに家にいる奴らにそこまで長居はしないって言ったし。」
まぁそんなことは言ってない。ギャル美から逃げるための嘘だ。
(ギャル美「え?たいきっちって一人暮らしでしょ?え?え?え?もしかしてー彼女ー?!」
(俺「違いますけど?」
…まずい…
(俺「あー…その…親戚?が来ててさー」
(ギャル美「え?親戚?…たいきっちって親戚も家族もいないんじゃ」
うわー。シンとまったく同じ展開じゃねーかよ…。その場の思いつきで嘘をついちゃうのがなー…。
(俺「いやね?それが実はいたみたいで…」
(ギャル美「それ本当…?でも…親戚は親戚で見てみたいなー」
くっ…シンはすぐ騙せたが、ギャル美はさすがに疑ってるか?
(俺「え?いや…さすがに急にね?そんな事言われても。」
(ギャル美「いいじゃん!いいじゃん!会わせてよー」
…ギャル美は一回こうなると駄々をこねてめんどいことなる…。
(俺「わーたわかった。会わせるだけな?すぐ帰ってくれよな?」
(ギャル美「やったー!ありがとたいきっちー!」
まぁ…コイツがすぐ帰らないことくらいわかってるが…。駄々をこねられるのもめんどうだからなー。
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