第12話獣とケモノ。

俺の友達で同じ孤児院の出身である大森シンが俺の家に来てしまった。


(大森シン「アリスさん!よろしくお願いします!」

(アリス「………」

アリスぅ〜!少しくらい反応してくれぇ!今お前はコスプレイヤーってことになってんだよ!

(大森シン「にしても、すごい衣装ですね!獣耳は本物の毛を使ってるんすか?すげぇすね。尻尾に関してはなんか動いてるし!」

あー、あまずいなぁ。コイツは鈍感だからまだ騙せてるけどいつかバレるぞ。


(俺「まぁ、最近のコスプレはすごいしな?…リアリティあふれる衣装が…ねぇ?」

(大森シン「アリスさんはなんかSNSとかやってないんですか?」

コイツめ完全に俺を無視してやがる。

(アリス「SN…なんだ?そんなものはやったことない。」

(大森シン「ぇぇ?!うっそだぁ!アリスさんの写真をネットに投稿したらバズりますよー?絶対にー」

(俺「まぁそんな話置いといて、一旦家上がれよ」

(大森シン「おっけー」

アリスを変に深掘りされても困る。

(大森シン「ひさしいなぁー。お前んち。てか、この家にその人数で住めるもんか?寝るとことかどうすんの?」


(俺「あー、それはもう…」

(シャナ「私はテレビの隙間で寝させてもらってます!」

(アリス「私は屋根裏だな。」

(サソリ男「俺は山本たいきと一緒に寝たぞ」

(大森シン「えぇ…?」

あーあーコイツら…もうやめてくれ。サソリ男に関しては誤解が生まれる言い方だ。

(大森シン「ぁ…あー。そうなんすね。多様性っすよね。」

何が多様性だよ…。完全に誤解されてしまった。

そしてなんでシンはシンで納得するんだ?子供の頃からずっといたってのに少しは疑問をもて。


(俺「んじゃ…そろそろ帰ってもろて…」

(大森シン「えぇ?なんでだよー。まだ来たばっかじゃねーか。」

これ以上いられると色々面倒なんだよなー。頼むからかえってくれ!

(大森シン「んー。じゃっアリスさんの写真撮ったら帰らせてもらうぜ。いいだろ?」

はぁー?何いってんだコイツ。よくわからん要求しやがって。それにこれはアリスに言うことだろ。俺に言ってどうすんだ。


(俺「ということなんで…。アリス?写真を撮らせてもいいかなー?」

(アリス「…それでコイツがちゃんと帰るなら」

あれ…?案外すんなりOKすんだな。アリスのことだからブチギレるのかと…。

(大森シン「うぉ!ありがとうござます!じゃあさっそく。」

そう言って、シンは背負っていた大きめの黒いリュックサックから中々高そうなカメラを取り出した。

(俺「お…なんだよそのカメラ。高そうだな。」

(大森シン「あれ?言ってなかったけ?俺はカメラが趣味だぞー」

カメラが趣味…?そんなこと言ってたっけな?こいつがカメラ持ってるなんて知らなかったな

(大森シン「んじゃ撮らせてもらいますよ!」

(アリス「………」

アリスは無言で突っ立ってる。今からカメラで撮られる奴の顔じゃない…。

(大森シン「ちょっと!アリスさんー。なんかポーズとってくださいよ!」

(アリス「あー?ポーズ?」

あ、アリスが少しキレてる。

(大森シン「はい!なんでもいいんで…。」

(アリス「………こんなんでいいか?」

ポージングなんてしたことないだろうアリスがしたポーズは、まさかの上段蹴りのような足を上へ向けたポーズ。

(大森シン「おぉ!すごいですね!そんな足上がるんだ!いいねぇー。ケモナーからすると上げた足から見える尻尾がたまりませんわ。」

(シャナ「けもなー?」

(大森シン「あーケモナーっていうのはですね、動物の要素をもったキャラクターなどに萌えの感情を抱いたり、性的興奮してしまうようないわゆる変態ですね。」

(シャナ「へぇー変態さんなんですか」

(大森シン「まぁーね!」

なんて気持ち悪い会話なんだ。シンがケモナーだと言うことも初めてしったし…。いや知りたくなかったけども。


パシャ。パシャ   パシャ


いろんな方角からの写真を撮り始める。

(大森シン「おっほ〜。映え映え、萌え萌え」

………俺の友達がこんな気持ち悪いやつだったなんて。

(大森シン「うーん!完璧な素晴らしい写真が取れたぞー。ありがとうございますアリスさん!」

(アリス「………」

アリスは不機嫌そうな顔だ。そりゃそうだ。

(大森シン「これSNSにあげたら絶対バズるぞー。」

(俺「いやお前あげるなよ?」

(大森シン「いやあげねぇーよ!」

…こいつは今日で信用できなくなってしまった。SNSサイトになんか上げたらたまったもんじゃない。

(アリス「さっさと帰れ」

(大森シン「はーい」

やっと帰ってくれる…。

(シャナ「あちちちちちち。」

(俺「ん?」

シャナ…?あぁ…コートが熱かったんだな?コートを脱いで…ぁあ!

(俺「おい!シャナちょ…まて」

(大森シン「え…!えぇ!シャナさん!その尻尾は!」

あーあーあーあーあーあー。まずった。シャナの尻尾まで見つかった。

(大森シン「なんだー!シャナさんもコスプレイヤーだったんすか?」

(シャナ「へ?」

(大森シン「シャナさんのも撮らせてくださいよ!」

(シャナ「はえええぇえぇ?」


(俺「お…おい…アリス撮ったら帰るって…いったろ?」

(大森シン「いいだろー?少し撮るだけだからー」

(シャナ「いいですよー!撮っちゃってください!」

シャナはノリ気だ…シャナがいいなら別に…いいんだが…。


(大森シン「おぉ〜。シャナさんの尻尾は茶色かぁ。それに綺麗な毛並み!アリスさんはモフゥっとしたかんじの尻尾だけどシャナさんは整ってる毛なんですねー!」

そう言われるとシャナは少し照れてるのか顔が赤みがかった。


(シャナ「あっありがとうございます!」

アリスとは真逆の反応だな。


パシャ、パシャ、パシャ、パシャパシャ!


(大森シン「うーん!表情も最高!」

(俺「撮り終えたか?」

(大森シン「おう!」

(俺「じゃあ帰れ」

(大森シン「わかってるわかってる。」



(大森シン「じゃ!またなー!」

(俺「はいはい。またな」

(シャナ「さようならぁー!」

ということでやっと帰ってもらった。はぁー。疲れたな。

(アリス「たっく。あんな変な奴は私たち世界にはいなかった。」

(俺「だろうな。」


(シャナ「サソリさんは撮られなかったですねー?」

(サソリ男「…そうだな」

(俺「男だからじゃねーの?アイツは女の子にしか興味ないんだろー」

サソリ男は黒い布を被ってるためやべー奴にしか見えないが、シンには何も触れられなくてよかった…。

(俺「あー、シンに久しぶりに、会ったら先生に会いたくなったなー。」

(シャナ「先生?孤児院の人ですか?」

(俺「あぁそうだ。孤児院の先生で、俺の育った孤児院を作った人でもある。いい人なんだよなー」

(アリス「会いたいのなら会えばいいだろ。」

(俺「そんな簡単に会えないんだよな。先生はすげぇー忙しいみたいだし、特に最近連絡すらしてこなくなったし。」

(シャナ「連絡しあってたんですね」

(俺「まー、月1レベルだがな」


孤児院の人たちは今何してんだろ。久しぶりにあいてーな

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