第8話目的と意味。
俺の渾身のパンチを顔にくらってしまった、サソリ男はよろめきながら倒れてしまった。
(俺「うおっ?、気絶したな!」
サソリ男は白目をむいて口を大きく開けている。
(俺「さぁー。こいつどうするっかな?」
(アリス「…まずはコイツが抵抗できないようにするわよ。」
サソリ男は目覚めるときっと暴れるはずだ。
そうならないように、俺とアリスで家にあった縄跳びを活用し、椅子にぐるぐるに巻きつけた。
(俺「よぉーし!これで動けまい。」
(シャナ「このサソリさんどうするんですか?」
(アリス「コイツには聞きたいことがあるからな。」
ーーー10分後ーーー。
(サソリ男「…うっ…」
(俺「おっ!起きたか?」
サソリ男がついに目を覚ました。
(サソリ男「…!お、お前ら!…なんだ?!この縄ァ!」
やっぱり、ギャーギャーーわめいて、騒ぎだしたな。
(アリス「おい。サソリ野郎。お前には今からいくつか質問をするぞ。」
アリスが凶暴な目つきでサソリ男を睨む。
(サソリ男「………」
(アリス「まず、お前は誰に言われてここへ来た?私たちの国の王様か?それとも、」
(サソリ男「……」
サソリ男は何も言わない。こいつめ、黙っとくつもりだな?
ドゴッ!!!
黙っていたサソリ男の腹部へ強烈なボディブローをかますアリス。
(サソリ男「ぐぉっ!」
(アリス「おい。貴様、黙っていられる立場だと思うなよ。」
(サソリ男「…わかった。言えばいいんだろォ? 俺は隣国の王様から言われてきた」
隣国の王様…って今、シャナたちの国と争ってるやつらんとこだな。
(アリス「…やっはりか、シャナの暗殺依頼か?」
(サソリ男「あぁ。そうだァ。」
(アリス「頼まれたのはお前だけか?他のサソリ一家のやつらは?」
そうだ。このサソリ男は暗殺一家だったな。
(サソリ男「暗殺を依頼されたのは俺だけだ。」
(アリス「そうか。だが、よく受けたな?貴様は私たちの国王が長年面倒を見てやっていたろ。」
(サソリ男「バカ言えェ。俺たちサソリ族は誰の下にもつかねぇよ。依頼主の依頼をこなすだけだ。」
このサソリ男には忠誠心なんてものはなさそうだな。
(アリス「…お前は何か他に知っていることはないのか?誰がシャナを狙っているとかは?」
(サソリ男「さぁな。だが、他の殺しのスペシャリストに頼んでるかもしれねぇな。」
殺しのスペシャリストだぁ?!物騒な奴らだな。
あっちの世界も、こっちの人間世界とそう変わんないのかな。
(アリス「そうか。」
(サソリ男「おい…質問が終わったのなら、この縄とけやァ!」
(俺「ぉん?とくわけねぇだろ!」
コイツは自分がやったことわかってるのか?
危機感のないやつだ。
(俺「でもな、コイツずっと縄にくくりつけとくのか?どうするよ」
(アリス「………」
(シャナ「アリス?」
(俺「…アリスどうしたんだ?なんか様子おかしいけど…」
(サソリ男「もしかして、さっきの話きいてなんか考えてんなァ?そうだよなぁ王様がシャナ様を探すため派遣した犬族の長が、何日も戻らなかったら、他の奴らも派遣しそうだよなァ?」
そうか。アリスは犬族の長。長ってのを考えると結構重要な存在なんだろう。それにシャナとも昔から友人同士だったようだし。そんな人物が何日も戻らなかったら…なにか起きたと思うに違いない。
(アリス「シャナ…すまない…。私は一度元の世界へ戻る!」
(俺&シャナ「えっ!!!」
(俺「も、戻るって…。じゃあその間俺とシャナはどうすりゃあ…」
(アリス「…それはわからない…。でもサソリ野郎の言うことが本当なら、暗殺を目的にする奴らはもう来ないかもしれない。」
このサソリ男を信用していいのだろうか?
(アリス「もし、シャナを探しに来た国の奴らが来たなら山本たいき。お前で対処できるだろう。」
(俺「…え…どうかなぁ?みんながみんなこのサソリ男みたいのだと無理だろうけど」
(アリス「二人にはすまないが、とりあえず私は国へ戻る。」
(シャナ「…アリス…ちゃんと戻ってきてね。」
(アリス「あぁ。すぐに戻るよ。あと王にもこっちへ誰かを派遣してくるのは辞めるよう言っとくよ。」
なんかアリスはこう言ってるが、相手は王様だろ?言うことなんか聞いてくれるのだろうか。
(俺「…ていうか…戻るってそもそもどうやって?シャナもそうだが、ここの世界へどうやって来たんだ?!」
なんてことだ。よくよく考えれば一番謎なことだ。異世界へ続くゲートでもあるのだろうか。
(シャナ「あ、たいきさんにはそのこと言ってなかったですね。私たちの世界には゛別世界転送装置゛というものがあるんです。」
(俺「別世界転送装置?!…そのまんまだな。」
(シャナ「まぁそうですねw。そしてその別世界転送装置は特別なときのみ使用できるのです。私たちの国には一台のみあって私を含む王族関係者が管理してます。」
(俺「へぇー。みんながみんな使えるんじゃないんだな。」
(シャナ「はい。そうです。まぁ私はそれを勝手に使ってしまったのですが…」
(俺「…勝手に使ったって、そんな王族で管理してるものだろ?シャナが一人で勝手に使用できるものかよ?」
(シャナ「私子供の頃からお父さんによく見せてもらってたから…」
お父さん…つまり王様か。見せてもらってただけで使えるもんなのかな。
(俺「…ん?まてよ。別世界転送装置ってのを使ってこっちに来たのなら、帰るときはどうするんだ?!」
別世界転送装置ってのはこっちの世界にはないぞ!!
(アリス「それなんだがな。お前たち人間は知ってるものはそうそういないが、この人間世界にもあるんだぞ。別世界転送装置は」
(俺「えっ!??!」
(アリス「実はなずぅーと昔から私たち動物人間と手を組んでいる人間がいるんだ。その人たちは一族で私たちを手助けしてくれている。」
(俺「うわー。まじかよ。一部の人間だけってことか。」
(アリス「その人たちは別世界転送装置を一台だけ人間世界へ持っていき、なにかあったら私たちの世界へ来れるようになっている。」
(シャナ「そうなんですよ!その一族の方たちと私はお会いしたことがありますし!優しい方でしたね。今はお一人なのですが…。」
(アリス「そういうことだ。今からその人に会いに行って元の世界へ戻る。またなだ。」
(俺「おぉ。じゃあな。」
そうしてアリスは出ていった。
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