第3話獣になりきれない猫少女。

…アリスという女が現れてから一週間がたった。

特に変な奴らがでるとか、襲われるとか、そんなことはない…。だけど俺の生活は一変した。

そう、シャナと名乗る謎の猫少女のせいで。


チリリリリリリリ。

毎朝聞くのに毎回うるさくイラついてしまう目覚まし時計の音が俺の部屋に響き渡る。

(俺「う…くぅ〜あ。」馬鹿みたいに大きな欠伸をするもすぐ体を起こすことはない。

目を覚ましてから10分ほどしたらよくやく体を起こす。そして朝のルーティーンを行うのだが…

シャナ…。彼女はいつもどこで寝てるのかさっぱりわからない…。だから恐る恐る全ての部屋を回って確認する。でもいないんだよなぁ…。

(俺「…まじであいつどこで寝てんのよ…」


そう俺が呟くと、部屋の隅のテレビから

(シャナ「私をおさがしで???」

とシャナの声が。

おいおい…。まさか…

(俺「お前…シャナ、テレビと壁の間で寝てんのか?!」。テレビと壁の間…俺の家のテレビは壁にくっついてるのではなく、少し隙間がある…。

だが人が入れるほどではないぞ…?なんならシャナは160センチはある。大きくはないかもだが、女の子からしたらなかなかの身長だ。


(シャナ「ぐぬぅゔぅ〜あ!」。女子高生ぐらいの女の子が発するとは思えない声で体をクネらしている。

(シャナ「私!猫族なので結構体柔らかいですよ!?これくらいの隙間ならなんなく入れます〜!」。コレくらいの隙間って…子供じゃなきゃ無理だ…。

(俺「そういえば、猫族とか犬族とか…お前の住んでた王国にはどんくらいの種族がいるんだ?」

ふと疑問に思った。

(シャナ「そうですね〜。正確な数はわからないですけど、500…いや、5000?くらいかなぁ?」


いや…数字が一つ2つ変わるならあるだろうが、桁ごと変わることってあんのかよ。


(シャナ「それより!お腹すきました〜!なんか作ってくださいよぉ!」

シャナはさっきまで寝てたのに、深夜テンションなのかと思うほど元気だ。

(俺「…俺は自炊はそうそうしないからな…てか、シャナは猫だろ?猫缶とかでいいんじゃ…」

作るのが面倒だからそういった。


(シャナ「猫缶…?おいしいですか?それ」

そう言えばシャナは警察の存在も知らなかったな。

俺たちの世界のことはどれくらい知ってるんだ?

シャナの世界の大きさは?国の数は?

ネットはあるのか?どんな時代なんだ?

疑問が多すぎる…。


(シャナ「その猫缶ってのはないんですか?お腹すきましたよ!!」

俺が疑問を浮かべているそのときもシャナはお腹を押さえてジタバタしてる…。

(俺「あ…そうだな…猫缶はないからなぁ。…今あるのでいうと…サバ缶…か」

猫が食べそうなものでいうとこれぐらいしかない。

俺は毎日コンビニ飯だから冷蔵庫の中にはほとんどなにもない。

(シャナ「そのサバ缶!食べたいです!」

そう言うので俺はシャナにサバ缶を渡す。

サバ缶の蓋を少し伸びている爪で

ギィぃぃぃぃ!とあけ始めた。


嫌な音だな。朝から聞きたくない音だ。 


(シャナ「これは!魚じゃないですか!!私すきです!いただきますぅ!」

パッ。…まじか…シャナはサバ缶を缶ごと口に一気に放り込む。

(シャナ「うんぁぁ〜っと。はい!」

シャナは缶を口から出して俺に手渡した。


(俺「おい…お前よ…姫様なのに行儀わるすぎねぇかよ?…」。ホントに姫か?と疑ってしまう。


…サバの入っていない缶は内側だけでなく外側もベタベタしてる…うぇ…これ唾液かよ。


(シャナ「う〜ん。これは絶品!私の王国でも通用しますよ!」

なんでコイツは上から語ってんだ。

全体的にシャナはムカつく野郎だ。


シャナのその食べ方とか見てたせいだ…。朝食を食べる気力は消え去った。



  ほんとなら俺はモーニングルーティン

として朝食。コーヒーとパンという味気ないが

センスのある(自分で言うのはアレだが)ものを食ってるはずだ…。


(俺「俺のルーティーンがぶっこわれたぁぁぁ!」


(シャナ「???たいきさんがぶっこわれたぁぁ

ぁ!」


俺の真似か知らないが同じようなことをいうシャナ。

そんな、彼女と俺の声が朝七時の街に響き渡る。

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