第26話

早速翌日の朝、有希がやって来た。

店は大学の始まる9時から開いていた。

「帳簿全部持ってきて下さい」

有無を言わせない言い方で有希は帳簿の計算を始めた。

「あの?あなたモデルじゃ…… 」

啓也がオドオドした物言いで有希に話しかけ

た。

「何?モデルが経済学に興味あったらいけないの?」

そう言いながらも有希は手早い動きでパソコンに打ち込んでいる。

「これは原価率が高すぎるわね。このままだと半年持たないかも。銀行はなんて言ってるの?融資は受けてるんでしょ?」

オバさんが言った。

「今の所は…… 」

「貸し渋りを受けたら一発でアウトね」

「そんな…… 」

「でも値段は上げたくないんでしょ?

だったらお客さんを増やすしかないわね。こんな美味しい店、潰すわけにはいかないもの」


「明応大学近くにあるあさゆうって

言うカレー屋さん知ってますか?

あそこ本当に美味しいんです。今日のお昼に皆さんで行きませんか?」

寧々は撮影スタッフを引き連れて店にやって来た。

スタッフ達は全員舌鼓を打っていた。

寧々は現場に行く度にあさゆうのカレーが美味しい事を伝えた。

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