第25話
あさゆうにサインが一枚増えた。
「伊能まどかちゃんと加藤有希ちゃんのツーショットなんてなかなかないよ」
オバさんは感激している。
「美味しい!」
有希も大満足だった。
「何でこんなに美味しいんですか?」
水を持って来たオバさんに有希は話を聞いた。
「うちで使っている野菜は全部無農薬だから
ね。豚肉もある養豚場のだし」
「それでこの値段は安いです。もっと高くしないと利益出ないんじゃないですか?」
「大学生達に美味しいカレー食べてもらいたいからね。値段もそこそこにしないと」
有希は和田山大の経済学部である。
有希の本業はモデルだが、経営にも興味があった。
更に……
「いらっしゃいませ」
前島啓也がエプロン姿でやって来た。
啓也はサラダを置いて行く。
「頼んでないけど?」
「マスターからでサインのお礼です」
「そういう事しちゃダメ。ねえ、寧々このサラダはちゃんとお金払いますから」
「でも…… 」
「このサラダにお金を払わないという事はすなわち私のサインの価値はこのサラダ一杯分ってことになるわけよ。分かる?君?」
「でも有希、私のサインはこのサラダ一杯分の価値もないと思うよ。だってここのは全部本物だから」
「そんな事ないよ!まどかさんのサインは他のどんな物とも変えられないよ…… あの、あなたのもです」
啓也は段々とオドオドとした物言いになって来た。
「いいなぁ。寧々、私ここ気に入っちゃった」
「良かった」
寧々は笑顔になった。
その笑顔を見て、啓也は真っ赤になった。
「君の事もね」
有希はそう言って啓也の肩に手を乗せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます