第20話

涼のマンションを出た寧々は涙が溢れてその場に座り込んだ。

嗚咽が漏れる。

そのまま家に帰って、自分の部屋で泣き崩れ

た。

矢野は今日は夜中まで撮影があったので、寧々はあさゆうに向かった。

寧々はサイン色紙を2枚持って行った。

「今日はカレータダでいいよ」

あさゆうさんへと書かれた伊能まどかのサイン色紙はマスター夫妻を感激させた。

そしてもう一枚は啓也に渡した。

「嬉しいよ。ありがとう」

寧々は席に座った。

「あさゆうスペシャルカレー1つ」

少しして啓也がカレーを運んで来た。

寧々は泣きながらカレーを食べている。

「あんまり美味しくて…… 」

心配気に寧々を見ている啓也。

「別れたの」

「あの彼と?」

「そう。どちらが悪いのでもない。時期が来たの」

啓也は向かいの席に座った。

「話聞くよ。サインのお礼」

寧々は首を振った。

「ありがとう。もう十分よ」

あさゆうの人々の温かな雰囲気が寧々の心を自然に解していた。

寧々の瞳から涙が溢れている。

啓也は優しく頭を抱き寄せた。

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