第19話

色々な友人達から受賞のお祝いの電話やメールが届いた。だが涼からは無かった。


高瀬涼にはあの後、次のドラマの仕事が来ていたが、その役で見事にコケてしまった。

そのドラマ以降涼に出演依頼が来る事は無かった。

一時期バラエティに出たが、顔がいいだけで芸があるわけでもなく、キャラクターに面白みのない彼はすぐに飽きられた。

涼は社長からのオーディションの話も断ってしまった。

その事は寧々を激怒させた。

「オーディションを断ったってどういう事?」

「何で俺がそんなものに出なきゃいけないんだよ!マネージャーが碌な仕事取って来ないからこんな事になったんだ!」

「それで今は何の仕事があるの?」

「そのうち、マネージャーが取って来るだろ」

涼は投げやりに言うと、寧々に迫って来た。

だが寧々はその手を払いのけた。

「涼ちゃん、何にも分かってなかったんだね」

寧々はバックから合鍵を取り出した。

「さよなら」

寧々は床に鍵を置くとそのまま立ち上がった。

唖然としている涼を一度だけ寧々は振り返って言った。

「あなたにはオーディションを受けるしかないと思うわ」

「寧々!」

寧々はそのまま涼の部屋を出て行ったのであ

る。

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