第17話

高校生の仲間と夜遊びしまくる彩乃。

だが彼女達が帰った後の憂いに満ちた表情…… 暗い海に石を投げ込む。無意識のうちにケータイをいじっている指が不意に止まる。

彩乃は独りぼっちだった。

お金がなきゃ誰もいない……

彩乃の瞳から涙が溢れ落ちる。

観客は自己中心的でワガママなヒロインにすっかり魅せられていた。

「イヤだって言ってるじゃない!友達の前で恥ずかしいからお母さんは三者面談…… 来ない

で」

「もしもし、後藤?彩乃。むしゃくしゃするからバイクで何処か連れて行って!」

彩乃は後藤と走った後、意外な事を言われる。

「お前幾ら?」

「はあっ?」

「だから幾らでしてるんだよ。そんだけカネ持ってるって事はシテルんだろ?」

彩乃は後藤を引っ叩いた。

後藤が行った後、彩乃はその場に泣き崩れた。

そして寂しさを埋めるために彩乃はとうとう男と関係を持ってしまう。

手に握りしめた1万円札を広げて狂ったように笑う彩乃。

そして仲間に勧められ、麻薬に手を染めてしまう。

ボロボロになって行く彩乃の姿に観客は狂気と奥に秘められた深い哀しみを感じて涙を零していた。


「バカな娘だよ……本当にお前は馬鹿な娘」

最後は麻薬の副作用に耐えられず彩乃は自殺する。

会場からは啜り泣きがあちこちから漏れてい

た。

啓也の目からも自然に涙が頬を伝い落ちてい

た。

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