第14話

寧々の生活は舞台一色になった。

そんなある日、舞台関係者の集まりがあると聞いて、寧々は都内のバーに出かけて行った。

こんな所で集まり?

寧々がドアを開けると友人達が一斉にクラッカーを鳴らす。

「寧々、19歳のお誕生日おめでとう!」

ずっと舞台一色だった寧々はもう嬉しいやら戸惑うやらでその場に突っ立っている。

そんな寧々にグラスを渡したのは加藤有希だった。

「大学の友達には前島君って人が声かけたみたいよ」

「前島君が?」

高瀬涼の周りを大学の女の子達が取り巻いている。

涼も女の子達と楽しそうに話をしていた。

前島は女の子と話すのが苦手らしくただカクテルを飲んでいる。

寧々は久々に大学の友達と話に盛り上がっていた。

「前島君」

「矢野さん…… 」

「今日は卒倒しないでよ」

寧々がクスクス笑う。

そして寧々は前島の耳元で囁いた。

「ありがとう」

前島はドキドキしている。

「お、俺は俺のできる事をやっただけで…… 」

「寧々、何やってるんだよ」

いきなり涼が寧々の手を掴んだ。

「寧々、何でこんな奴なんか相手にしてるんだよ」

「涼ちゃん、彼は大学の友達よ。変な事言わないで」

寧々は涼を少し睨んだ。

「ごめんなさい、前島君。イヤな思いさせて。彼を許してね」

寧々はそういうと涼と共に別の席へ行ってしまった。

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