第6話

エッチの後はゲームに決まっている。

「新しいゲーム買ったんだ。一緒にやろう」

この人にはエッチかゲームしかないの?

「ねえ、涼ちゃん…… 」

寧々はゲームを一緒にしながら声を掛けた。

「何だよ。今、いい所なんだから話しかけるなよ」

寧々は優しく涼の背中を抱いた。

何故か涙が滲んで来る。

「お昼作るね」


涼の好物のオムライスを食べながら

寧々は笑顔を見せた。

「何だよ」

「さっきのゲーム、面白かったね」

「嘘つけ。ゲームなんか殆どやってなかったのに」

寧々のスプーンを持つ手が止まった。

「俺をバカにしてるんだろ。お前は仕事殺到してるものな。こんな男とゲームやってる暇なんてないものな」

「何を言ってるの?とにかく食べて」

「もう要らない」

寧々の瞳に涙が浮かんでいる。

「オムライスぐらいで泣くなよ。食べるから」

涼はオムライスを掻き込み出した。

サラダを口に捩じ込む。

「見ていられないの。そうやって一日中部屋でゲームやって、ご飯だって碌に食べて

ない…… 」

寧々は立ち上がると涼の頰を優しく包み込ん

だ。

だが、涼は寧々の手を払いのけた。

「お前に何が分かる!ほっといても仕事が山ほど来ている人気女優のお前に今の俺の気持ちが分かるものか!」

寧々は荒々しく床に押し倒された。

「3日だぞ!今月に入ってたった3日しか仕事がない!後はあてどもない時間をずっと過ごしている俺の気持ちなんか!」

寧々は激しくセーターを引き抜かれ

ブラジャーとGパン姿になっていた。

寧々は優しく涼の髪を撫でている。

「あなたは素敵な人よ…… あの映画のキスシーン覚えてる?私が全然演技出来なかった時、あなたが助けてくれた」

「高瀬涼はもう終わったんだよ」

「そんな事ない!」

「気休めはよしてくれ!帰れよ!もう帰ってくれ!」

涼は寧々から離れると荒々しい口調で声を上げた。

「今のままじゃ本当に終わりかもね…… 」

涼はゆっくり寧々を見つめた。

寧々は涼の両腕を掴んで言った。

「涼ちゃん、しっかり!しっかりして!高瀬涼は終わったりしない!あなたは…… 」

とうとう寧々の瞳から涙が零れ落ちた。

「涼ちゃんの事信じて待っている人達を裏切ったりしないで!」

「そんな奴もう何処にも…… 」

寧々は優しく涼の唇に触れた。

「ここにいるじゃない…… 私は涼ちゃんを信じてる」

「寧々…… 」

涼の瞳から涙が伝い落ちた。

寧々は涼の頰を温かく包み込む。

「私は高瀬涼のファンです」

涼は寧々を激しく抱きしめた。

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