第4話

伊能まどかにはコンスタントに仕事の依頼があった。

人気雑誌で矢野と2人でドイツを歩くという仕事が入った。

初共演である。

10ページもの特集で街を歩いたり、市場で仲良く買い物をしたり、部屋で微睡んだり、矢野だけ、まどかだけのページもあった。

撮影の間、手を繋いだり、後ろから抱きしめたり…… まるで恋人同士のシチュエーションだった。

矢野は愛しいものを見つめるように寧々を見つめる。

寧々も愛を込めて矢野を見つめ返した。

「いい感じだよ。2人とも恋人同士の感じがよく出てる。さすが矢野一色だな」


撮影の後に自由時間があって、矢野と寧々はベルリンの街を2人で歩いた。

「いっちゃん、恋人同士のように歩いて」

「もう仕事は終わったよ」

「お願い」

寧々は矢野をジッと見つめた。

その目に思慕の念が揺蕩っていた。

矢野は寧々の頭を自分の方に抱き寄せた。

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