第5話 アイドルとお出かけ。そしてトラブル

「そういえば、冴木は今日なにをするとかあった?」

「あったな。ゲームをするつもりだった」

「君、ホントに学生……?」


 瑠実は若干引き気味に顔を引き攣らせる。


「ほら、高校生なんだからさ、もう少し友達と遊ぶとか……」

「ないな」

「即答……。友達はいないの?」

「いるぞ。一応だが」


 原宮悠輝とかいう彼女作りたい症候群のバカが。


「じゃあさ、誰かと遊ぼうとか思ったことはある?」

「ない」

「もう少し考えようよ……」


 瑠実は呆れ気味にため息を吐く。

 何だろう、バカにされているような気がする。

 少しイラッとしていると、アメが「にゃー」とこちらに擦り寄ってくる。


「ん?どうした?」

「にゃーん」


 アメは鳴きながら「外に行け」と言わんばかりに顔を不満の色に染める。

 え、ひどくない?


「ほら、アメちゃんも外に行こうって言ってるよ」

「何でそんなことが分かるんだよ……」

「何となく……?」

「何となくで分かってたまるか」


 俺はソファからキッチンでの洗い物を終え、部屋へと足を運ぶ。


「あれ、どこ行くの?」

「部屋。外に行きたいんだろ?」


 俺は少し顔を熱くして言う。

 その一言を聞いた瑠実は、パアッと顔を輝かせる。


「……何だよ」

「いや、何でもないよ〜」


 「じゃ、下で待ってるから」と、瑠実はルンルン気分で俺の家を出て行った。

 なんだアイツ。


♢♢♢♢♢♢


「前回は渋谷に行ったから、今日は池袋に行ってみよー!」

「元気いいな」


 クリスマスは昨日で終わったはずだ。

 なのにこの活力ときたら、恐ろしや。

 俺らは駅のホームで電車を待つ。

 駅にはたくさん人がいるため、瑠実はマスクとメガネを掛けている。

 アイドルも大変だな。


「そういえば、池袋にどこか行きたいとこでもあるのか?」


 俺がそう聞くと、瑠実は「うん」と控えめな声で答える。


「クリスマスは昨日で終わっちゃったけど、池袋にあるおっきい公園でクリスマスイベントをまだやってるんだって。どうせだったら、クリスマスらしい思い出を残したいじゃん?」


 瑠実はそう言って俺の方にウインクする。

 俺の家に凸って来たのは、それが目的か。

 しばらくすると電車がやって来て、俺らはその電車へと乗り込んだ。


♢♢♢♢♢♢


「思ったより、人がいるな」

「そうだね……」


 電車の中はぎゅうぎゅうであり、俺らはぴったりとくっ付いていた。

 通勤ラッシュの時間帯だから仕方がないけど。


「若山、大丈夫か?」

「大丈夫だよ。ライブに比べればこれぐらい屁でもないから」

「比べる対象、多分間違ってるぞ……」


 その瞬間、電車がガタンっと大きく揺れる。

 その拍子に「きゃっ」と瑠実が小さく悲鳴を上げ、こちらに抱きついて来た。


「……」

「……ちょっと、美少女が抱きついてるのに何も感想はナシ?」

「言ったらキモいだろ……」


──────────

アイドルとデート、いいなあ。(切実)

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