第2話 アンゴVSソナティ



「俺も連れてけよー。」


アンゴは、メジャスの足を抱きながら駄々を捏ねた。


「だからな、何度言っても無理だ。お前はまだガキだ。大人になるまで待て。」


メジャスは呆れた顔でアンゴの頭を掴みながらそう言った。


「分かったよ。」


そう言ってアンゴは、体を宙に浮かせて100m程先に待つメジャス旅団の者達へと向かった。


「なんも分かってねぇじゃねぇか!」


メジャスは笑いながらアンゴを追いかけて走っていった。


「おい、アンゴ。」


メジャス旅団の元へとと辿り着いたアンゴは、副団長である「ゲッコウ・ソナティ」に止められた。


「ソ、ソナティ…!俺も行っていいだろ?宇宙へ!」


押し倒されたアンゴは、起き上がりながらソナティに言った。


「無理なもんは無理なんだ。団長だけじゃなく、俺たち皆が言うんだ。諦めた方がいい。」


右手をアンゴに向けてソナティは言った。


「わ、分かったよ。」


そう言ってアンゴは、体を浮かせて進もうとした。


「だからなんも分かってねぇじゃねぇか!」


笑いながらソナティは、アンゴの首元を掴んだ。


「そんなに俺たちと行きたいならな、俺を倒してみろ!そしたら、お前を副団長としてメジャス旅団に加入していい。宇宙へと連れてってやる。だが、お前が負けたら大人になるまでこの星で待て。そして、お前が旅団を作って旅に出ろ。それでいいよな、団長キャプテン!?」


「ああ、構わない。」


ようやく100mを走り終えたメジャスは、汗をポタポタ垂らしながら、かすれた声でソナティに言った。


「ったく、俺に100mなんて走らせんなよ。ゼェゼェ。」


「お前もそれでいいよな?アンゴ。」


「あぁ。かかってこい!俺が勝ったら本当に連れてってくれるんだろうな!」


「あぁ。もちろんだ!」


そう言ってソナティは、一瞬で姿を消した。


「ど、どこいったんだソナティ!隠れるなんて卑怯だぞ!!!!」


アンゴは叫んだ。


「俺から勝負をかけといて俺が隠れる訳あるか…?」


ソナティは、気付いたらアンゴの目の前におり、なお拳をアンゴに向けてそう言った。


バコーン!


「グハッ!!!!」


大きな音と共にアンゴは額から血を流してその場に倒れた。


「なんだ、その程度かアンゴ。そんなんじゃ絶対に宇宙になんか行けねぇぞ?」


「ハァハァ、まだだ!俺は絶対にメジャス旅団に入って宇宙に行くんだ!」


そう言ってアンゴは、体を宙へ浮かせてスピードを上げてソナティに突っ込んだ。


スカッ


ソナティを殴ろうとしたアンゴだったが、またすぐに消えてしまった。


「お前のそんなノロマなへなちょこパンチじゃ俺なんか倒せねぇぞ。遅いんだよ!''光の衝撃グロウインパクト''!!」


バン!!!


ソナティはそう叫んで浮遊していたアンゴの頭を思い切り殴った。


「ヴァ!!」


そしてアンゴはその場に頭から血を流して倒れ込みその場を動かなかった。


気絶していたのだ。


「いいか、アンゴ。俺はお前に言ってなかったが、''光人間''だ。お前に勝ち目など最初からなかったのだ!」


もちろんアンゴから応答はなかった。


「随分やったなぁ、ソナティ。」


メジャスは、ソナティに向かって歩いていきそう言った。


「あぁ、いくらアイツがガキだろうとアイツも男だ。男の勝負に手抜きなど存在しない。」


「相変わらずだな、ソナティ。

アンゴ!お前なら、立派な旅団を作れる!俺たちは待ってるぞ!また会おうじゃないか!」


倒れているアンゴに向かってメジャスはそう叫んだ。

この時、アンゴは、気絶しながらも右手を突き上げていたように見えた。


「よし、お前たち!準備はいいな!それでは次の惑星に向かうぞ!宇宙船スペースシップに乗り込め!」


「おお!」


そう言ってメジャス旅団は、宇宙船スペースシップに乗り込んだ。


━━━ここは、宇宙船スペースシップ


「本当にあんな別れでよかったのかい、団長キャプテン。」


メジャス旅団の団員「バンチョウ」がメジャスへそう聞いた。


「あぁ。俺だって友人を目の前で殴られているのを見て辛かったよ。ただな、アイツは、一度やると決めた事に対して諦めようとしないんだ。どれだけ反対があろうとも自分の心に決めたことに対して絶対に曲げたりしない。だから、アイツは挫折しないと分からない。負けないと分からない。でもな、アイツは強い。きっと俺たちよりももっと強い旅団を率いていく存在になるだろう。アイツなら行けると思うぜ、最終星ラストプラネットに!!」


真剣な表情でメジャスはバンチョウに言った。


「さあ!次の惑星へ行くぞ!お前達!」


「おお!!!」

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