ラストプラネット

@itsushimatsuki

【序章】 旅立ち編

第1話 一人の少年「ワンダー・アンゴ」

この広い宇宙の中で、未だ誰一人その地に足を踏み入れられたことがないと言われている「最終星ラストプラネット」。


その「最終星ラストプラネット」に行ったものこそがこの広い宇宙の覇者となる。


その宇宙の覇者になるべく、物凄い数の「旅団」が「最終星ラストプラネット」を目指して宇宙へと旅立った。


そしてその中の一人の少年も、「最終星ラストプラネット」に憧れ、宇宙へ行くことを決断していたのだ。


━━ここは、小さな惑星、プラダ星


「俺だって、旅団をつくって、宇宙を制する旅に出たいんだ!!!」


この星に住む小さな少年「ワンダー・アンゴ」は、街にある噴水の前でそう言った。


「バーカ、お前みてぇなガキが旅に行ける程この宇宙は甘くねぇんだよ!ナハハハハ!」


この惑星で一番強い旅団を率いる男「メジャス」がアンゴに向かって大声で笑った。


「そうだぞ、アンゴ。この宇宙にはな、化け物が一杯いるんだ。お前みたいなガキが簡単に出れるような場所じゃねえ。」


メジャス旅団のメンバーの内の一人である「バンチョウ」がアンゴに言った。


「俺だって化け物だ!ほら!俺は生まれつき体を自由に宙に浮かせることができる浮遊人間なんだぞ!!」


そう言ってアンゴは、体を浮かせて空へと飛び立っていった。


「なんでお前がそんな能力を持ってんだかなー。」


メジャスは、不思議そうな顔でそう呟いた。


そう。この宇宙では、生まれつき何らかの能力を持っている者達が多くいる。その中の一つである体を浮かせることのできる能力をアンゴは持っていたのだ。

そして、生まれつき能力がない者達でも、約五年間修行を積み重ねれば何らかの能力を手に入れることが出来る。


しかし、この宇宙で同じ能力の者は存在しない。だから、修行で得られる能力も完全ランダムである。

そして、生まれつき能力を持っている者達のほとんどが遺伝によるものだとされている。


「とにかく、お前が浮遊人間だろうとこの宇宙の旅に出ることは出来ない。責めてお前が大人になるまで待つんだ。」


メジャスは、アンゴにはっきりとそう言った。


「それならメジャス、俺を宇宙に連れてってくれよ!俺まだ宇宙にすら行ったことがねぇんだ!今度の旅に俺も連れてってくれよ!大人しくしておくからさ!」


待ちきれない様子のアンゴは、空から降りながら笑顔でメジャスに近ずきそう言った。


「あのなぁ、俺にも連れていかなければならない仲間達がいるんだよ。そう簡単にガキは連れて行けねぇ。」


メジャスは呆れた顔でアンゴにそう言った。


「頼むよメジャス、俺も行きてぇよ。」


アンゴが悲しい表情でそう言った時だった。


バン!!


「なんだ今の音は!」


「じ、地震か!?」


大きな物音にメジャス旅団の男達はざわめいた。


「おい、さっきからうるせぇんだよ、メジャス旅団の人達よー。」


大男が建物の屋根から飛び降りてメジャスに目を合わせてそう言った。


「悪かったな、もううるさくはしねぇからよ。」


メジャスが申し訳なさそうにそう言った。


「俺の気分を害しやがって…!メジャス!お前をぶっ殺す!!!」


その大男は目を思い切り開きメジャスに剣先を向けてそう叫んだ。


「俺は喧嘩は好きじゃないんだがな。」


そうメジャスが言った瞬間に、大男は剣を向け突進してきた。


「おいおい、危ないじゃないか。不意打ちは卑怯だぞ。」



そう言ってメジャスはジャンプして大男の剣に乗った。


「な、何!?」


「剣で俺に勝負を挑むってのは中々の度胸だな。その度胸だけは認めてやる。だがな、お前が俺に剣を向けてきた以上、俺も全力でお前の度胸に応える…!」


「何を生意気なこと言ってやがる!俺の剣から降りやがれ!」


そう言って長い剣を振り回そうとしたが、メジャスの力によって大男の腕は硬直してしまっていた。そして、メジャスは、腰につけていた剣を抜いて大男に向かって走り始めた。


「図体だけじゃなく態度もデカイとはな。まあいい。お前はこれで消え失せろ…!''死の斬撃デッドスラッシュ''!」


メジャスは、そう言って思い切り大男の脳天に向かって剣を振り下ろした。


「グハッ…!」


大男はデカい体を真っ二つに斬られ、噴水が血の海と化していた。


「つ、強ぇ!すげぇよメジャス!」


アンゴは驚いた表情でそう叫んだ。


「メジャスさん、アンタ一体何者なんだい。コイツは100万の男ですよ!」


この町の町長がそう言いながらメジャスに近づいた。


この宇宙では、その人物の強さを測るための指標であるユニバースというものがある。


そして、ユニバースは10万を越えるとかなりの実力があるとされており、この大男はなんと100万ユニバースであったと言うのだ。


「知っている…。確か名は『ナット』だったよな?」


「はい、そうです!私たち町民もコイツに困っていたんです!ありがとうございます!」


「良いってことよ。メジャス旅団の者たちよ、もうこの惑星に用はない。次の惑星へ行くぞ!」


「おぉ!!!」


その大歓声の中には何故かアンゴも混ざっていた。

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