第16話

逢いたいな……

祐希、今頃何してるのかな。

愛奈はその日も過密スケジュールを熟して、夜の10時までの仕事を終えると、自分のマンションの部屋に帰って来た。

そしてそのままベッドに倒れ込んだ。

祐希に逢いたい。

今すぐ声が聞きたい。

愛奈はバッグの中からスマホを取り出した。

そして、祐希の名前を押した。

2回のコールの後、祐希の声が聞こえて来た。

『はい』

「祐希。愛奈。お疲れ」

『愛奈⁉︎ありがとう。電話待ってた。元気か?』

「うん、元気。祐希こそ元気?」

『ああ。元気だよ。愛奈、少し疲れてるんじゃないか?』

祐希の声を聞いているうちに、自然と愛奈の頬に涙が伝って落ちた。

「祐希。逢いたいな」

『俺も逢いたいよ。愛奈』

「今すぐ島根に飛んで行きたい」

『何か辛い事でもあったのか?』

祐希の声に心配が過ぎっている。

「仕事は絶好調だよ。毎日バタバタして終わってる」

『学校は?行けてる?』

「森越は仕事と両立出来るから、其処は大丈夫」

『そっか』

「祐希、好き」

『俺も好きだよ。愛奈」

「祐希、大好き」

そう言いながら、愛奈の頬に涙が伝っていた。

『うん……』

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