第14話

将真のマンションは南麻布にある超高級マンションである。受付にはコンシェルジュが座っていて、セキュリティも完璧だ。皆帆は地下の駐車場に車を停めると、愛奈と共に受付に歩いて行った。

「こんばんは。あすかプロの河合皆帆と申します。矢崎将真さんにお会いしたいのですが」

「矢崎様より伺っております。河合様。そちらの方は碓氷愛奈様ですね」

コンシェルジュの女性が和かに応対してくれた。


将真の部屋は22階にあった。

チャイムを鳴らすと、インターフォンから将真の声がした。

「はい」

「碓氷です」

愛奈が話すと、直ぐにロックが解除された。そしてドアが開くと将真が出て来た。

将真は愛奈の隣に皆帆がいるのを見ると、少し顔を曇らせた。


「佐倉。愛奈が分からない所があるから教えて欲しいんだって」

「あ、そう。いいよ。何処が分からないの?」

「全部」

愛奈が思わず言った言葉に、佐倉は目を丸くしている。

「だって撮影続きで全然学校行けてないし、授業内容なんてさっぱり分からないから……」

愛奈はそう言いながら萎れている。

「ごめんなさい」

「それは河合に問題があるな。愛奈ちゃんはまだ高校生なんだから、学業との両立は大事だからね」

「そうそう。その点佐倉は敏腕だから俺はその辺はバッチリ」

「そんな事言っても何も出ないぞ。将真」

佐倉は横目で将真を見ながら言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る