第13話
矢崎将真は離れた席で、ノートを取っている愛奈をずっと見つめている。愛奈はその視線に全く気付いていない。芸能活動が忙しく、愛奈はなかなか学校に行く事が出来なかった。
「これ、見せてやるよ」
声がして、愛奈がノートから顔を上げると、其処には矢崎将真の姿がある。
「ありがとう。メチャ助かるー」
愛奈は満面の笑顔で応えた。
「今日さ、家に来ないか?」
「ごめん。行けない」
「勉強教えてやるよ。と言っても俺じゃないけどさ。ウチの佐倉に訊けば?」
「勉強なら皆帆に教えて貰うから大丈夫」
「河合も喜ぶと思うけどなー」
将真はそう言ってニタニタ笑っている。
「皆帆が?」
「お前、鈍すぎ」
「えー!佐倉さんが勉強教えてくれるって⁉︎」
将真の話を聞いて、皆帆は目を丸くしながら愛奈を見ている。
「そう。矢崎ちゃんがそう言ったんだけど。だから家に来ないかって」
「行きなさい!愛奈。勉強は大事よ」
皆帆の声に力が入っている。
「皆帆が連れて行ってくれるなら」
「仕方ないわね。愛奈の勉強には変えられないし」
皆帆は仕方なさそうに言っている。だがその顔には喜びが滲み出ていた。
その姿を見ながら、愛奈は含み笑いをしていた。
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