第14話 招待状
俺は現在、モンゴメリーの国王の部屋に入ったところだ。
「失礼します」
「おお!アルティ殿ではないですか!改めて、この度は娘を救っていただき感謝の気持ちでいっぱいです!何か、私に出来ることはあります?」
「はい、俺の方でお願いしたい事がありまして、鍛治師のダンカンさんはご存知ですか?」
「当たり前ですよ!世界一の鍛治師として有名な方で、確か王都メリーザにいたような…………」
「そうです。メリーザにいらっしゃるんですが、その方を俺の領地ステリンに呼びたいのですよ。俺が資金援助もしていて…………」
「本当ですか。しかし、世界一の鍛冶屋ですからね。少し難しいかも…………」
「分かりました。ありがとうございます」
俺がそう言った直後、急に後ろのドアが開き、ワンピース姿の小柄な少女が入ってきた。
「オラオラオラ!何をしとんじゃカス!人様に迷惑かけおってよ!」
「ヒィー!ナスターシャ様!!!申し訳ございません!」
すると、少女は俺の方に向いて頭を下げた。
「わざわざティナを助けてもらったにも関わらず、国王のこの失礼な態度、本当にすまないい!」
「いやいや、俺の方が無理を言いましたから大丈夫ですよ」
「しかし、ティナを助けてくださった方に恩返しするのは当然のこと!そなたの領地でダンカンに鍛冶屋を開かせてやってくれ!」
「はい、分かりました!ありがとうございます」
「礼は要らん。あと、ワレの名は”残酷たる暗殺者”ナスターシャ・バインシュタインじゃ。聖人の一人である。何かあったら頼ってくれ」
「は、はい!ありがとうございます!」
少女がまさか聖人だったとは!
「あ、そうじゃ、そなたは”自分の強さ”を知りたくないかね?」
知りたくない、と言えば嘘になる。
「実は少し気になっています。しかし、どうやって知るのですか?」
「簡単じゃ。そなたを鑑定すれば良い」
「しかし、鑑定はギルドで測定器を使わないと出来ないのでは?」
「いや、スキルがあれば出来る。じゃあ、鑑定するぞ」
ナスターシャが俺の体に手をかざすと、メモ用紙をポケットから取り出し、鑑定結果を走り書きして俺に渡した。
アルティ
レベル5607
総合力 72万2900
潜在スキル 【主神の使徒】(全属性超耐性・自動回復S・成長能力S・従者強化S・主神の加護)
伝説級スキル 【伝説の剣聖】
超級スキル【鑑定】
炎系魔法(神話級)
氷系魔法(伝説級)
風系魔法(上級)
精神魔法(伝説級)
回復魔法(神話級)
「しかしこれは驚いた!ものの数秒で【鑑定】を覚えるとは…………いや、何より成長のしすぎだ。前回、聖人会議で見たときは15万だった気がするんだが。まあ、そなたは今後世界を揺るがす存在となるだろうな」
「いやいや俺ごとき、そんなに大した事は無いですよ」
「バカモン!72万で大した事ないなら、世界のほぼ全員を占める72万以下の人は何になるんじゃ!」
「いや…………」
「まあ、これからは自分で鑑定が出来るようになるから、自分でするのが良かろう。ワレはしばらくメリーザにおるから、何かあったらいつでも頼るが良い」
「ところで、ナスターシャさんは何をされている方なのですか?」
「この国が我が領地の一角を占めるゆえ、監視しにきただけじゃ。ただの無職じゃよ」
そう言ったナスターシャは、静かに部屋を出ていった。
♢
翌日、俺はリディア、エリカに加えて世界一の鍛治師ダンカンを連れてメリーザを出発した。
「ダンカン、絶対にアルティ様のお役に立ちなさいよ」
「も、もちろんだ」
リディアは毎度、余計な事ばかり言いやがって…………
ダンカンさんに失礼だろ。
「あ、街が見えてきた!」
エリカがそう言った。
そしてステリンに到着。すると、ナギが焦った様子で俺に話しかけてきた。
「アルティ!オルマンの国王から、王都リュクサンブールへの招待状が来てる!」
「そうか」
どうやらひと息つく暇も無いようだ。
そしてナギから渡された招待状を読んだところ、スペシャルボアの肉、ギガントグリズリーの毛布、エクスポーションをもっと大量に持って来いとの事だった。
どうやらこの3つのものを巡って、王宮で闘争が起こっているらしい…………
しかし、大量にと言われても馬車だけじゃ積める量には限界がある。
「どうしたものか…………」
そう悩んでいると、突然何かスキルを得た気がした。自分に鑑定をかけてみると…………
アルティ
レベル5611
総合力 74万9800
潜在スキル 【主神の使徒】(全属性超耐性・自動回復S・成長能力S・従者強化S・主神の加護)
伝説級スキル 【伝説の剣聖】
超級スキル【鑑定】
神話級スキル【アイテムボックス】←NEW
(説明 アイテムボックスを使用すると、どんなものでも好きなだけ収納し、持ち運べる)
炎系魔法(神話級)
氷系魔法(伝説級)
風系魔法(上級)
精神魔法(伝説級)
回復魔法(神話級)
「なんかまた新しいスキル覚えちゃった!」
説明によると、【アイテムボックス】は物を好きなだけ持ち運べるようになるスキルらしい。
超便利なスキルだ。
これなら、スペシャルボアの肉などの持ち運びの問題を解決できるな。
その後、俺はダンカンさんにステリンを紹介する事にした。
まずはダンカンさんの新居を見せよう。ダンカンさんの新居はリディアやエリカ、ナギや村長の住む家がある、新しく区分けした高級住宅区画にあり、かなり豪華な屋敷になっている。
その新居に向かう途中、ダンカンさんはかなり驚いた様子で歩いている。
「この、光っているやつはなんだ?!」
「それは魔力灯だ。光魔法を付与した石を魔法石に接触させて光らせている」
「そ、そんな技術が!それは間違いなく、世界を大きく変えるとんでもない技術だ!」
「それは無いんじゃないかな」
「いや、凄まじい技術であることは確かだ。それに、そもそもこんな荒野のド真ん中に、ここまで発展した都市がある事自体、驚きだ!」
この都市は発展していると言えるのだろうか…………
しばらく歩き、ダンカンさんの新居に到着した。
「こ、これは凄い…………これがアルティ殿の邸宅か」
「いや、これはダンカンさんの新居だ」
「はぁぁぁ?!!!まさか…………オレは夢でも見ているのだろうか」
すると、ダンカンさんが俺に向かって急に土下座してきた。
「アルティ殿、いや、アルティ様には感服いたしました!今後一生の忠誠をここに誓います!!!」
「いや…………喜んでくれるのは嬉しいが、新居を渡すぐらい大した事ではない」
「アルティ様、ご謙遜のし過ぎですぞ。ところで、オレに出来ることがありましたら、何でもお申し付けください!」
「そうだな、俺の新しい装備をつくって貰うためにここへ呼んだのだから、今から紹介する工房でそれをつくって貰いたいな」
「もちろんです!」
「じゃあ、ついて来てくれ」
その後しばらくして、俺はダンカンさんを連れて工房に来た。
「工房も立派ですね!ここなら最高の装備をつくれそうです!」
「それは良かった。ところで、材料はこれで良いかな?」
俺は銀色に輝く巨大な金属塊やギガントグリズリーの毛皮、大量のSランクモンスターの魔法石をアイテムボックスから出した。
金属塊はミスリルゴーレムの残骸の一部である。
「こ、これはミスリル!!!しかし、金の10倍以上の価値のあるミスリルがなぜ、こんなに?」
「モンスターとの戦いで得たものだ」
「そうですか!ならば最強クラスのモンスターを狩れる戦闘力、つまり国家を動かせるレベルの戦闘力をアルティ様はお持ちという事ですな!」
「そんな大げさな事は無い。ところで魔法石もあるんだが、ミスリルに魔法を付与して魔法石をはめ、魔法の効果を武器に持たせることは出来ないか?」
「出来ますが、オレはミスリルに魔法を付与するなんて、出来ません。アルティ様の力を借りる事になりますが」
「分かった。じゃあとりあえず装備の原型が出来たら呼んでくれ」
「はい!」
ダンカンが金属を打ちはじめた。
俺は工房を出て、自分の邸宅に向かった。
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