第12話 モンゴメリー王国へ
こ、こんなところに大都市が…………凄いですね!」
「凄くて当然です。かのアルティ様がつくられた街なんですから」
リディアめ、余計なこと言うなぁ!
この街の人口は1000人程度で、大都市には程遠いだろう。
「とりあえず温泉旅館に案内する」
「温泉?」
「お湯に入ることだ。それによって気持ちをリラックスさせる事ができる」
「なんか、良さそうですね!」
その後、モンゴメリーの王女を温泉に案内した。
ついでに、リディアらも温泉に入っていった。今回はナギも女湯に入れた。
俺はというと、一人で男湯に向かった…………訳ではなく、村長や普段俺を慕ってくれている冒険者たちと入った。
「やっぱアルティ様は天才っす!ただでさえギルドの報酬は超破格、大きい家を無償でもらえる、公共サービスも抜群なのに、こんなに気持ちの良いものまで思いつくなんて…………」
「そうですな!この地上の楽園と、アルティ様という偉大極まる天才領主の存在が世界に広まれば、世界に激震が走りますな!」
「これぐらいで激震が走ってもらっては困る。それに俺は天才でも何でも無いし」
「またまたご謙遜を!この街がどれだけ凄いかを理解してほしいものですな」
その後、俺は温泉から出てモンゴメリーの王女を料亭に案内した。
そして運ばれてきた料理を王女が口にすると、目を輝かせた。
「お、美味しい!!!ここまでの料理、生まれて初めてです!温泉も素晴らしかったし、ここは言わば地上の楽園ですね!」
「大したことは無いんだけど、褒めてもらえるのは嬉しいね。ところで王女さん、名前はなんて言うんだ?俺はアルティという」
「私の名前ですか。私の名前はティナ・ハロワー・モンゴメリーです。ティナって呼んで下さい」
「ありがとう、ティナ。じゃあひとつ聞きたい事がある。ティナは誘拐されたと言っていたが、誰に誘拐されたか覚えてる?」
「あの日はただ歩いていただけなのですが、急に後ろから屈強な男たちに押さえつけられてっ…………」
ティナが泣き出してしまった。誘拐された事がトラウマなのだろう。
「変なことを聞いて悪かった。これで…………どうだ?」
俺はティナに、心を落ち着かせる精神魔法をかけた。今、思い浮かべて即興で編み出したものだ。
潜在スキル【主神の使徒】のおかげか、下級とはいえ新しい魔法を簡単に覚えれるのである。
「これは…………なんか落ち着きました。凄いです、アルティ様!」
「凄くないよ、俺は当然のことをしただけだ」
「いや、アルティ様は本当に凄いです!ところでちょっと思い出したのですが、その誘拐した男たち、確か全員鎧に剣の紋章が描かれていました」
剣の紋章…………
なんか見たことがあるような気がするが…………でも思い出せない。
「イマイチよく分からないな。一旦モンゴメリー王国の王都にいくべきだろう。ティナの父親が心配しているだろうから」
「そうですね。父様の元に行きます!」
♢
オルマン国王バーンズは一人で頭を抱えていた。
「アルティめ、流石にこれはやりすぎじゃ無いのか…………」
先日、ステリンから数々の品が贈り物として送られてきたのだが、そのどれもが王室献上品以上に高品質なものだったのだ。
スペシャルボアの肉は、大量にあったにも関わらず、すでに我の妻をはじめ王宮の女性たちが狂ったように食いはじめ、すぐに無くなってしまった。
しかしあれは我も食ったが、確かに依存症に罹るのが納得いくほど美味しかった。
ギガントグリズリーの毛布は、今まで何も流行らなかった王宮で流行り出し、あまりの気持ち良さに我も愛用している。
エクスポーションに至っては、あまりの効きの良さに軍部が1本を聖金貨で買うとか、トチ狂ったようなことを言い出した。
実際にハイポーションさえ効かない死にかけの兵士に使用したら一瞬で生き返るどころか、生気に満ち溢れる姿に変貌した。
あの時は『神の薬を創れるのかよ…………』とツッコみたくなった。
「これらの品々を外交カードに使用されれば、国家転覆しかねんな…………」
そう危機感さえ抱いている。しかし、本当の問題は違った。
「これには驚いたな。【主神の使徒】がこれほどとは…………」
見ているのは、アルティのステータスだ。
元々ナギに調べさせようとしてたものの、アイツが面倒くさがるから、わざわざ我が旅人になりすまして鑑定しに行った…………という愚痴は置いといて、これは凄まじかった。
アルティ
レベル5520
総合力 70万5700
潜在スキル 【主神の使徒】(全属性超耐性・自動回復S・成長能力S・従者強化S・主神の加護)
伝説級スキル 【伝説の剣聖】
炎系魔法(神話級)
氷系魔法(伝説級)
風系魔法(上級)
精神魔法(伝説級)
回復魔法(神話級)
…………あまりにもぶっ飛びすぎている!
前回の総合力15万でも驚いたが、今回の総合力は70万と、4倍以上に膨れ上がっている!
地方都市のギルドマスタークラスである冒険者ランクAで総合力が1万程度、聖人一歩手前の国家最強格の冒険者であるSSランク冒険者で10万程度なのに、70万ってどういうことなのか…………
ちなみに我の総合力は73万。
つまりアルティは俺に迫る勢いで総合力を伸ばしているのだ!
そして、スキルに関してだが、【主神の使徒】の効果が今回は分かるようになった。
これは我の鑑定能力の向上によるもの…………ではなく、何らかの要因で【主神の使徒】を本人が”使いこなせるようになった”事によるものだろう。
そして効果の内容だと、”従者強化S”が一番気になる。
おそらく従者を強化する効果だろうか。ならばナギを含め、アルティと一緒にいる人たち全員が強化されている可能性がある。
「従者が強化されているならば、あんだけ大量のSランクモンスターの素材が入手できても不思議ではない。強化された従者を総動員して狩らせれば良いからな」
ともかく、アルティやその周りををさらに詳しく調べる必要がある。
「とりあえず、アルティを王都に呼ぼう。招待状を送る事にするか」
我は招待状を書き、ステリンへと送った。
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