魔王軍は銃の怖さを知っていたので絶望する

「黙祷!ガッツに礼!」



 ガッツさんが亡くなりました。

 私に投石を教えてくれた少年です。


 理由は、孤児達が立てこもる屋敷に使者として赴きました。


「俺も孤児だい!説得する」


「・・・お願いします」


 しかし、両手を挙げて近づくガッツさんに。


 バン!


 撃ちやがった。


「「「ギャハハハハハハハ!」」」

「バ~カ!」




「どうするサイトー!突撃するか?」


「アルキデス。突撃はしない。土塁で囲って日干し作戦だ。降伏を認めない。遠くからフルオートで撃ちまくってくれ。その間、勇敢なガッツさんを回収しましょう。ポーションを使いまくります」


「「「はい!」」」




 銃士に命じて、撃ちまくり。

 ガッツさんを回収しました。しかし、すでに遺体でした。



「土魔魔道師さんたちは土塁を補修・・」


 一週間後、孤児達は出てきましたが・・・ガリガリですね。


 降伏なのに銃を持っている。


「撃て!」


 ダン!ダン!

「ギャアアアアーーー」

「降伏ってのをするよ・・」


 私は撃てと命じます。

 皆、撃ち続けます。

 屋敷に突入しましたが、もう、死体だらけです。


「小さい子から餓死をしたのか?もう、この集団は終わっていた」


 さすがに、黙祷をしました。



 およそ一週間でノブヨシ君の残党は消え去りました。


 街から歓迎をされ。

 私達は、メリングの街に帰りました。


 しかし、メリングの冒険者ギルドで信じられない報告を受けました。


「え、賞金が支払われない?!討伐部位を渡しましたよね!」


「・・・申し訳ない。王宮から連絡はありません。本当にノダか?の一辺倒です」


「「「「ヒドい!」」」

「もう、やだ」



 いや、これで良かったのかもしれない。

 チラホラ、魔王軍の侵攻が噂されています。

 実際、この領地の領主も出兵しました。


 しばらくたつと。



 また、王国から使者が来ました。



「魔王軍との戦いがあるから出陣をしろ」


「嫌です。金支払えないじゃない?」


「う、王国騎士団を討伐に向かわすぞ」

「はい、どうぞ・・・」ニヤッ


 笑ってこっちは銃を隠し持っている風を装います。実際隠していますがね。

 使者は帰っていきました。


 皆は魔王軍との戦争の噂ばかりします。

「どーする?」

「犯される?」


 皆、不安だ。


「今できることは訓練です。ひたすら訓練とクエストです」


「「「はい!」」」



 銃は一括管理です。

 個人に持たせると盗難の危険があります。

 もし、銃が盗まれたら、弾丸が20発残っていたら、20人死ぬ可能性がある事になります。


 冒険者ギルドの一室を借り。

 鍵を取り付け銃と弾丸を保管します。


「帳簿の管理は受付嬢さんにお願いして、夜間発砲は禁止、そう言えば、クエストは夜間はやらないな」


 役割が決まってきました。


 アルキデスさんがメリング戦闘団の指揮官、ミシュラとローズマリーが補助。

 そして、クエストを割り振り。銃を出したり。出さなかったり。

 リリーは、私の側近で訓練を担当してくれます。


 その間、私はあることをします。

 ドワーフの親方にある機械の製造をお願いします。


「出来たぜ。これで金貨10枚だが。半分でいいや。その代わり。この玉をくれ」

「いいぜ。抜いた後ならば」


 何をするかというと。

 弾丸が納まっている薬莢を解体します。

 薬莢の中には火薬が二種類あります。


 一つは炸薬、これは撃鉄で叩けば爆発します。爆発しやすいのです。

 もう一つは装薬、薬莢の中にびっしり詰まっていて、炸薬の爆発で発火し、弾丸を飛ばします。


 私は、銃弾を万力の原理のように薬莢を抑えて、弾本体を抜き出します。

 すると、装薬が出てきました。


 そして、装薬をコピーで増やし。ある物を作ります。



 ☆回想


「斉藤さん。地雷って、地面に埋め込まれる物だけじゃないですよ」

「それは、聞いた事があります。クレイモアですね」

「そうだ。ソ連版のクレイモアがあるかもしれない。つまり、どこも安心出来ないってことさ」


 ・・・・・・





 そうです。

 地面に設置し。ワナ線に引っかかったら爆裂し。広範囲に破片を飛ばす爆弾です。

 自衛隊なら指向性散弾と言います。


 ワナ線だけではなく、こちらで発火させる方法があります。



 炸薬を発火具として使用して、

 縄に装薬を練り込ませて火を通り安くし。

 異世界クレイモアに到達したら本体中に仕込んだ炸薬に到達し。装薬がびっしり詰まった異世界クレイモアが爆発する。


 見た目には鉄の弁当箱にしか見えません。


 こんな原理を考えました。



「ふう。忙しい。リリー、様子はどうだ」

「ウン、皆、200メートルなら100発100中だよ」


「そうですが。メリング戦闘団97名、全員大丈夫ですか?」


「ウン、皆、ヒィ、ヒィ言っている」


「そうか」



 やがて、物流が滞り。

 やたらと高額な対魔王軍クエストが乱発されます。


 メリング戦闘団はここを離れません。



「魔王軍が近くまでやってきたよ。およそ1000体だよ!」


「ここに来るって事は、戦争は終結ですね。王国の負けだ。ではメリング戦闘団は準備を行いましょう」


「「「はい!」」」



 この街の城壁は高くありません。


 なんとなく会戦になる場所が分かります。


 私達は半日もかからない草原に布陣し。

 97名と、魔道師とともに迎え撃ちます。

 褐色の肌と角が見えるくらいの位置に近づきました。



 ドロドロドロドロ~~~~~~


 魔王軍の進軍太鼓だ。



 笑い声が聞こえます。


「「「ギャハハハハハ」」」

「ガキだけじゃねえか」



「さあて、目に物見せてやります。配置につけ!」


「「「「オオオー!」」」



 不用意に数百の魔族兵が突っ込んで来ました。

 ここでは異世界クレイモア、異世界爆弾は使いません。


 銃撃で十分です。しかし、一瞬で殺さなければなりません。



「撃て!!」


 ドン!


 すると、魔族兵に向かって右真横と。正面から89式5.56ミリをフルオートで撃ちます。およそ。数秒で弾倉が空になりました。

 すぐに、付け替え・・・


「やめ!」


 ドン!ドン!



 はまりました。一瞬で数百の魔王軍が壊滅しました。


 良かった。これで恐れて逃げてくれれば・・・

 しかし、いつも現実は非常なのです。


「逃げろ!撤退だ!」

「銃を隠し持っていやがった!」


 魔王軍の残りは、何のためらいもなく、逃走をしました。

 これは手強い。

 奴らは銃の怖さを知り尽くしています。


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巻き込まれて召喚されたと判断されたサラリーマンのおっさん。戦いを拒否し追放され絶望しながら出世する。ミリタリーチート狩りと呼ばれ、王にまでなった話 山田 勝 @victory_yamada

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