巻き込まれ召喚ではなかったと判明して絶望する

 ブロロロロロ~~~~


 私は建物の中にリリーさんといます。

 リリーさんが予備戦力です。


 車列が来ました。

 もう、ここまで来たら命令を出せません。

 後は各個の役割です。




 C国がロクに軍備のない国に攻め込んだときに、トラックで人員を運んだので、民兵に狙い撃ちをされ。大損害を発生しました。


 それからC国は装甲車に力を入れ。アフリカに輸出するまでになりましたが、対戦車地雷を踏んだら、中の人員が助からない代物だった。

 軍人が抗議し、C国の商社マンにお前乗って見ろと訴えるニュースがありました。


 軍人の発想は兵器が撃破されても人員が無事ならばいいのです。

 ミリオタは逆の発想です。兵器、兵器で・・・・



「ヤバい。車両止めが間に合わない!リリーさん行くよ!」

「うん・・・」



 正面に飛び出て、狙撃です。

 この場合、私も行きます。


「サイトー・・・」

「いいから、的の分散になります。これも軍略です」


 何か安全な所にいるのが嫌なのです。しかし、幸い警戒員はいませんでした。幌がかかっているタイプです。


「正面右、ガラスを撃て!」

「・・・うん」



 バン!


 パリン!


 そうです。国内用は防弾ガラスではないのです。


「・・・血が飛び出ているのが・・・分かる」


 車は草原の中に入り止りました。

 後ろのトラック二台は止ります。


 その時、草むらの蛸壺陣地から冒険者達が飛び出します。


 あらかじめ教えておいたタンクの場所とフロントにファイヤーボールを集中砲火です。



「「「「ファイヤーボール!」」」


「弓を撃て!」


 シュン!シュン!



 ボオオオオオオーーーーー



 車は後ろから人員が出入りします。そこは徹底的に教えました。

 一台、燃えない。幌だけ燃えています。



「オラ達がいくど!」

 あれは、ルーキーの大麦村の三勇士に、投石のガッツさんだ。



「援護する!」


「ここを開ければいいだか?」


「開けただ!魔道士さん撃つだ!」



 タンクの開け方まで教え込みました。訓練八割ということでしょう。

 さすが、小部隊で動くことを毎日している人達です。

 まるで、元寇の時の鎌倉武士のように即興で集団戦を行います。



 中の人が出てきますが、火だるまです・・・・



「撤退、待避壕に走れ!」



「さあ、リリーさん。私達も待避壕に避難しましょう」


 もう、弾丸は一弾倉を切りました。


「・・・こ、子どもがいるぞ!」

「まさか、私達、人質ごと殺したの?」



「いや、これは私の責任です。・・・違う。銃を持っています。孤児に銃を配っていると聞きました」



 ・・・・・・・


 30分経過して、死体に向け。矢を放ちます。

 死体のフリをしている者がいるかもしれないからです。



「ノダ発見!生きています!」


「リリーさん行きましょう」



 あれから、一年ぶりの対面です。

 彼は寝ています。仰向けです。


「ウグ、グハ・・・」


 彼だけ戦闘服を着ていたから辛うじて生きているようです。戦闘服は燃えない素材を使っていますから・・・パジュエロの後ろに乗っていたようですね。

 そこでくつろいでいたようです。


 ミリオタの正体は何だ?

 第一次世界大戦中のドイツの子供向けプロパガンダの絵本の登場人物ビリィ少年か?戦争に憧れて、兵器を訓練無しで使い連戦連勝する。まあ、夢オチですがね。


 いや、今更です。


 私は野田君に話しかけました。




「ね。車は危険でしょう」


「・・・わからないよ。戦いは嫌・・だけど、戦わなければ・・・殺されるスキルだよ」


 自ら敵を倒さなければポイントを得ることが出来ない。まるで、資本主義ですね。



「申し訳ない。もう一つ教え忘れていたことがありました。戦いって、一人でやるものではないのです。軍隊は集団行動が基礎です」



「・・・だから、サイトー、スキル『同期の絆』・・・」

「ええ、分かっています」

「・・ちょっと、危険だよ」


 私は右手を差し出しました。野田君も差し出します。

 握手です。


 握手をすると、


 ボア~~~


 私のステータス画面に何かスキルが浮かび上がります。


‘’スキル、3Dコピー、プリンター獲得・・・’‘


 なるほど、武器をコピー出来れば、野田君が戦い続けなくても良い。

 野田君もスキルを獲得しているようです。


 絶望する。私は巻き込まれ召喚ではなかったのです。

 野田君のバディとして召喚されたのです。



「ハハ、これで、僕が戦わなくても、ポイントが入るようになった・・よ。さあ、ポーションを・・・」



「リリーさん。銃を貸して下さい」

「・・・うん・・」



「これ、悲しいけど、戦争なのです」

「えっ」


 バン!


 せめて、魂は平和な日本に帰りますように。



「サイトー・・・」

「良いんです。生かして置いたら、更に戦役が広がるかもしれません。銃が配られ、コピーされ、野田君は城に囲われる事になるでしょう・・・」



「コピー!」


 ボア~~~!


 私の持っている64式がコピーされました。魔素で作られるようです。


「しかし、このスキルは秘密です。私達だけの秘密です」



「さあ、銃を集めて、街に報告です。但し、野田君は首を取ったら、体を埋葬して下さい。所持品は取らないように」


「「「はい!」」」




 ☆☆☆都市アモン



「な、何だって!ノダを、討ち取ったって?」

「魔道車の残骸と首を確認しました」



 アモンの街に行きました。

 行く途中、銃を見ると、人々は逃げ出します。


「リリーさん。銃は隠しましょう」

「・・・うん」


「あ、門に大勢人々がいる・・垂れ幕がある」


 メリング戦闘団大歓迎!


「「「ウワワワワワワーーーーーーー」」」



「街の代官のダイクンです!娘のサビーナです」

「こんにちは。英雄さん!」


「・・・サイトー」

「ハハ、どうも」


「早速ですが、街に、不良孤児がいます。ノダが銃を配り・・・」


 冒険者が徴用という言葉を教えて、商品を強奪しています。

 食料品店、服屋、限度を知りません。



「なるほど・・・」


 地球でも少年兵問題があります。奇抜な格好を好むそうです。まるで、これは自分ではない。怪獣だと意思表明をしているようだとありましたね。


 まだ、自我が固まっていない子どもに戦争はいけないな。根拠はないけども。


「で、野田の残党の本拠地は?」


「はい、街を見下ろす丘の上の領主様の屋敷を占拠しています」


「分かりました」



 孤児は助けたい。これは現代人のエゴなのか?


「さすがに、孤児が降伏したら、助けましょう」

「いえ、略奪をしています。その際、銃で殺しています」


「そうですか・・奴隷として売るのはどうですか?遺族にお金を渡す」


「う~む・・」


 代官は悩んでいます。子供の奴隷は二束三文です。

 住民感情を考えると難しいかもしれません。


 部隊を二つに分けますか?

 いや、今の段階で分けるのは良くありません。


 夜のうちに、屋敷を土塁で囲い。兵糧攻めをする体勢を取ってから、街の孤児を捕まえましょう。



「まず。巣を除去します。魔道士を集めて下さい」



 夜中、屋敷の周りに土魔法で土塁を築かせました。

 およそ一メートル。


 それを補強します。

 勝利は一瞬、準備に時間をかけるから、一瞬で済むのです。


「何だ。馬鹿だな。土だよ!」

「アハハハハ、騎士や傭兵でも僕たちにかなわなかったよ」

「何か。首を晒しているけど、ノブヨシ様が負けるわけないよ」


「自分たちが負けたとは少しも思っていないようですね」


 しかし、メリング戦闘団で初めて戦死者が出ます。


「オラ、孤児出身だぁ、村の皆が助けてくれたから生きてこれただ。オラに降伏の使者をやらせるだ」

「ええ、許可します」


 ズドーーーン!



「え、丸腰で手をあげている者を撃った・・・仕方ありません。こちらも撃ちます。弾はいくらでもコピー出来ます」


「「「はい!」」」


 リリーさんの他に4名、銃手を養成していました。



「いいですか?フルオートでどこでもいいから撃って下さい。そうですね。土塁を少し崩しますか?」


 ダダダダダダダダダダーーーーーーーー


 これは一瞬で弾倉が空になります。


 並行して、街に出て、孤児を説得しますが、皆、私の話を聞きません。



「ドキつい言葉を・・・使わないとダメ。少しは心に響くよ」


 メッシリさんの助言を受けて、まるで、演劇のようにマントを羽織り。野田君の首を掲げ。


【ア~~ハハ、俺はサイトー、ミリタリーチート狩りのサイトーだ。お前ら銃をおいて出てこい!】


 これから、一人称は私から、俺になっていきます。


 絶望する。巻き込まれ召喚でなくて絶望する。

 コピーだけなら、このまま埋もれることが出来たのに・・



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