評価されて絶望する
私も何とか一日40キロ歩けるようになりました。
冒険者に随伴出来るようになったのです。
今日は『希望の翼』の方々に随伴です。
「稲妻よ!響け大地に!」
ピカッ!ドカーン!
「ギャアアアーーー」
「リリーは、近距離で援護、ローズマリーは俺と突撃だ!」
「はいですわ!」
「うん!」
私とミッシラさんは後方で待機です。リリーさんは、『希望の翼』に短弓で近距離援護で入りました。
ついに、『希望の翼』は一角グリスリーを討伐出来るようになりました。これを討伐したら、新人卒業です。日本の熊も茂みから襲われたら銃を持っていても危ないって言っていた。
日本の猟師さんに今になって感謝の念が沸き起こる。
あれ。遠くで灰色の何かが動いている。
「大変です!丘の上に、一角グリスリーの群れ、距離500、5頭です!接敵まで最短で20秒!逃げましょう!討伐したグリスリーは収納します!」
「分かった!ミッシラ、足止めの土塁を!」
「分かったのだからね!土よ!」
・・・・・
「サイトーさん。よく分かったね」
「いや、ポーターなんて皆様が戦っている最中、見張りしか出来ません」
「いや、そうじゃない。何故、距離と来る時間が分かった?」
「それは・・・」
説明した。一角グリスリーを最大時速100キロと見積もり。秒速約27メートル計算。
「距離は、指を使って測りました」
簡単に言うと、ミルが単位の測り方だ。指でグリスリーを測る。
一ミル=0.001インチ=0.0254㎝。
この世界、単位は、メートル、デシリットルだ。転生者が持ち込んだらしい。しらんけど。
大雑把に言えば、
計算式があって。一角グリスリーを3メートルと見て、
距離=3×1000÷ミル
ミルは、指で測った。手を前方に精一杯伸して、人差し指の大きさが30ミル。一角グリスリーが指の半分以下だったので6ミルにして500メートルだ。
距離・・これは、射撃で習った。
☆某国射撃場
『吉田さん。全然、当たりませんよ』
『アハハ、照準器がズレている。これは200メートルの的だ』
『あの銃についているこの目盛りは?』
『ミルだよ。こうやって、指で大雑把に測る方法がある。小銃は300メートル以内の敵と戦うように設計されている』
自動小銃を初めて撃った。体感的には200メートルを超えると、狙わなければ当たらない
『いいか、弾に限りがある。こうやって、地面を撃って、土煙で修正をする方法もある。見とけ』
バン!バン!バン!
土煙が的の前に起き。次第に的に的中する。
カン!カン!
『弾は弾倉に20発しかないから、計算してやるんだ。このタイプは三連斉射、セミオートがついていないから、引き金を柔らかく引かないと、すぐ装弾不良を起すぞ。さあ、演練だ』
『サバゲの銃ではどうなりますか?』
『それはそれで競技として尊敬するけど、別物だ。
自衛隊でも10年以上前に訓練で導入した部隊あるよ。しかし、すぐにやめた。何か違う。軽過ぎる。弾が多すぎるし軽い。屋内でしか訓練できない。朝霞でシミュレーション訓練場が出来たな。そっちが訓練になる。ワシは実銃で的を撃つ方が性に合っている。人は嫌だな』
だいたい、5ミル=1.25ミリか?帰ったら、ミル物差しを作ろう。
この世界、単位はメートル、デシリットルだ。
転移者が持ち込んだらしい。
そう言えば、私のカバンの中に、小さい定規があった。
ペットボトル・・・取って置けば良かった。
・・・・・・
冒険者ギルドに帰ったら、ギルマスが直々にやってきた。
「サイトー、書簡だ!ノダからだ・・」
野田君を呼び捨て、ギルマスも嫌っていますね。
手紙は・・・
「斉藤、こっちに早急に来てくれ・・と書かれています」
「で、行くの?」
「ミッシュラさん。行きません。そもそも魔族領のどこに?私は王宮を追放されましたよ」
野田君、苦しいようですね。これは・・・負けますか?撤退するしか方法はありませんよ。
☆☆☆魔族領
「皆、銃は大事に使ってよ。ポイントは、僕が撃たなきゃ、入らないよ」
「分かりましたわ。従軍ドワーフを要請していますが、二週間はかかりますって」
「はあ、ポーターは?整備出来る?」
「・・・・こりゃ、何で動いているのです。魔素を全く感じません」
銃は撃ったときの火薬の排気とバネで動いている。
武器の整備も行うポーターであったが、
この世界、エンジンの概念がなかった。
全て、魔法であった。
また、銃は高度な工業製品である。ポッチを押して部品を分解・組み立てる手順もある。
現代人の野田の方が理解しやすかっただろう。
まるで、鉄砲伝来の時に、ネジの概念がない種子島の鍛冶職人のように苦戦をしていた。
「サイトーは?」
「お手紙は出しましたわ。もう、ギルドに届いているはずですわ。でも、今更サイトー?王命でしたら呼び出せますわ」
「いいから・・・・」
・・・スキル、『同期の絆』を獲得した。転移同期と協力すれば、部下が獲得したポイントを僕に集められると説明文に書かれている。
転移同期とは斉藤だ。多分、何か能力を獲得したに違いない。
普通、自分から言わないか?年上のくせに使えない。
王命なんて出したら、まるで僕が無能みたいじゃないか?
日々、魔族のクセに賢くなっている。
今までは特攻してきたけども。
シュン!シュン!シュン!
「矢だ。ロングボウだ!300メートル先だ!」
「撃て!」
ダン!ダン!ダン!
「当たったか?」
「すぐに、草むらに隠れましたわ。ノブヨシ様、一端帰りましょう」
「・・・サイトーが悪い。あいつ、隠していた!」
「魔王軍だ!丘の上に・・・鑑定、3万!包囲されますよ!」
「遠巻きにして、土の壁を作っている」
「いくら、ノブヨシ様でも、動く銃は五丁、ミニミが一丁・・・」
砲が欲しい。でも、ポイントはトラックや燃料、弾で消費した。
「前から、魔王!ダークエルフのサラです」
「一人で来ますわ。一端、逃げた方がいいですわ」
「トラック隊は?」
「ちょうど、素材を乗せて、アモンの街に出発しましたわ」
【お~い。お前は勇者か?どちらでも良い。よくも妾の眷属を襲ってくれたな。非戦闘員までも!約定破りにつき。魔王軍を編成した!】
今の魔王は最弱の魔王サラだ。だから召喚の儀式が行われた。
やれる。
【一騎打ちを所望する!】
「望むところだ!」
・・・・・
バン!バン!バン!バン!バン!・・・カチャ!カチャ!
「ヒィ、ウワワワワワワーーーー、卑怯だ!魔法を使うなんてーーー」
な、何だ。これは、銃が全く効かない!無反動砲、迫撃砲が欲しい。戦車も、誰か、マニア、でも、サバゲでなかったよ。
「皆様、ノブヨシ様を車でさらうわ!」
「「「はい、アルロッテ様!」」」
・・・・・・・
一角グリスリー討伐から数日後、
私は、正式に、『希望の翼』勧誘されました。彼らはまだ『駆け出しの街』にいます
「アルキデスさんは中級の街に行かないのですか?」
「中級の街に行きたいが、サイトーさん次第だよ。長期の遠征も入ってくる。サイトーさんの収納能力が欲しい。補給関係をしてくれる人がいないと無理だ」
「それは・・・考えさせて下さい」
重いな。
「早く来なさいよね!」
「フン、サイトーはお自己評価お低いのですわ」
いいな。評価してくれるって、しかし、がっかりさせるのが怖い。
ジィー
「うわ。リリーさん!」
「サイトー・・・役に立つ女嫌い?」
その目で見つめられたら不安になる。
絶望する。評価されて応えられないかもと思う自分に絶望する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます