体力がなくて絶望する
☆☆☆メリング冒険者ギルド
私は王都から馬車で7日の冒険者ギルドで放された。
初心者向けの街らしい。
駆け出しが沢山いる。
この街の周辺は、山、森、草原、川がある。地形がそろっている。
最強の魔獣が一角グリスリーで、そいつをパーティーで倒せたら中級の街に行くのが慣習らしい。
私は追放前に強烈な自己主張をしたが、冒険者ギルドではやめておこう。
物語だとここから異彩を放つが、逆だな。
普通は追放されてから強烈な自己表現をするものだ。
「お、臆病者が来たぜ」
「ノダ様を見習えよ」
クスクスと聞こえてくるが、別にいい。その通りだし。
さあ、登録して初仕事だ。
と思ったら、掲示板の前で列が出来ていた。駆け出しだ。
「君たち、どうしたの?」
「・・はい、文字が読めないので、受付の方があくまで待っています」
「何?読んであげましょうか?」
「助かります」
・・・・・・
そうか、この世界識字率は低いのか。
読んであげたら感謝された。
「「「有難うございます」」」
畑を荒らす中型の魔獣の駆除だ。
私も登録し、一緒に参加させてもらった。
「私は収納があるから、何でも入れて下さい」
「はい!」
しかし、甘かった。
距離は20キロだ。往復40キロ、朝、日の出前に出発し、夕方には帰るか。野宿する行程だ。
「はあ、はあ、はあ、すまない。無理です」
「サイトーさんは休んでから行きなよ」
「そう、場所は分かるわよね。一本道だから」
「じゃあ、帰り魔獣を運んでもらおう」
思ったよりも早く終わった。ついた頃には魔獣が積まれていた。
こいつら、体力お化けだ。俺がいなかったら担いで帰ったのか?
「村から荷馬車を借りる予定でした」
「なるほど」
私の膝はヒーヒー言っている。お願いした。
「帰りは50分歩いたら10分休む。それでお願いします」
「分かったわ。時間は誰が計る?」
「私、腕時計を持っています」
「「「オオオオーーー」」」
「スゲーよ。元貴族?あ、ごめん」
「良いんですよ」
おっさんのルーキー冒険者の過去は詮索しないのが決まりらしい。
世知辛い。絶望した。
「ねえ。この歩き方、体力に余裕が生まれるね」
「今度からそうしようぜ」
「面目ない」
彼らは謙虚だ。いや、知識に貪欲なのだ。この世界、平民が手っ取り早く現金を稼ぐ場所が冒険者ギルドだ。金を稼ぐことに貪欲だ。私も見習おう。
魔物を提出して、報告書は私が書いた。これで、大銅貨5枚(5千円)だ。
いや、どんだけブラックですか?
仕方ない討伐に参加していないし。
あ、そう言えば、私は通勤途中に召喚された。カバンの中に・・・あるか。白紙のA4用紙が
「あった!!」
「コピー!」
ボア~
青く光り空間から白紙の紙が出てきた。
「これは、売れるか?」
「はい、100枚で、大銅貨3枚でどうですか?」
「もちろん、それでいいです」
一枚30円か。販売価格100円くらいだから、まあ、妥当な卸売り値でしょう。
とりあえず現金収入は確保出来たが。
今の私の実力では荷物持ちも出来ない。絶望した。
ならと、クエストを読んだあげたり。文字を教えたりして仲良くするように努めた。
何気ない雑談が人間関係の潤滑油になるのだ。
ベテラン新人は、私を疎ましく思うが、若者たちは受け入れてくれた。
「ヘヘン!名前の書き方を教えてくれたお礼に、このガッツ様の投石術を教えてやるよ」
「どうも、お願いします。先生!」
こいつはニキビのある10代だが、皆、先輩であり。先生だ。
知識に貪欲になろう。
受付嬢からは感謝された。
「クエストの読み合わせ助かります。サイトーさん」
「いや、その代わり冒険者の事務を教えて下さい」
「はい」
受付嬢は女性だ。口説いている訳ではない。
雑談が出来るくらいまでにはなった。
魔物の素材の運搬と事務が主要な仕事だ。
クエストの読み合わせもギルドから仕事で微々たる額だがお給金をもらえるようになった。
時々、まだ、ここでくすぶっている中堅冒険者にカラまれたが。
「お前か?文字を知っているからってイキっている奴は?」
「やめて下さい。当職は準ギルド職員です」
「ああ~ん?」
「やめとけバルト」
「チィ」
権威を思いっきり使う。
そんなときに、野田君たちが冒険者ギルドにやってきた。
絶望する。
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