アンナ人事

「アンナ、この子供が分かる?」


 レミュエルは子供を前に出し、両肩を掴んでアンナ人事へと見せる。


「予想はできる。大方、愛妾ミシェルとの子だろう」

「え?なんで分かるの?」

「分かったわけじゃない。大方と言ったはずだ。それで、どうすればいいか聞きに来たのか?」

「そう。だけど提案がある。この子は容姿がいい。だから、子供の産めない貴族へ売るのはどう?悪くはないと思う」


 アンナは山のように積み重なった資料を読み漁っている。この間もひたすらに資料とにらめっこしていた。そして、一枚の資料を渡す。


「アンソニー・グリッター。誰?」

「貴族だ。出世に興味がなく、現状維持を望んでいる。その上、子ができない。条件としては悪くないと思う。特に、王家との繋がりが全くないのがいい」

「ミーシャはどう思う?」


 ミーシャは考える間もなく即答した。


「私としても問題ありません。アンナ人事が言った通り、王家との繋がりがないのがとても理想的です」

「――――――そうか。なら話はつけておく。今日は私の家へ泊まれ。一日二日程度なら大丈夫だ。レミュエル、悪いが部屋へ案内してあげてくれ。少しまだやることがある」

「分かった」


 レミュエルはミーシャを引率し、アンナの自室から出た。アンナは再度、資料の読み込みを開始した。


「世も末だな」

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