作戦会議
倒れた魔物たちを確認しつつ、勇者たちは息を整え、辺りの様子を窺った。暗黒の大地がどこまでも広がり、荒れ果てた岩肌と赤黒く淀んだ空が重苦しい空気を作り出していた。周囲には安らげる場所などないように見え、全員が険しい顔をして立ち尽くしている。
「ここで立ち止まっていても、きりがないわね…。」エレナが疲れた顔でつぶやいた。
「このまま進むべきだが…どこへ向かうかが問題だな。」レオが辺りを見回しながら考え込む。
「ひとまず、安全な場所を探すのが先決かもな。回復しないと、また魔物が襲ってきたら危ないし。」ライアンが拳を握りしめ、険しい表情を浮かべた。
「そうね…魔界での戦いは普通の戦闘とは違う。何が出てくるかも分からないし…。」ソフィアが慎重な声で付け加えた。
カインが地面にしゃがみ込み、何かを確かめるように土をつまんでみる。「だが、ここで見つかる水や食料は、俺たちが慣れているものとは違うかもしれない。場合によっては魔力が毒になることもある。信頼できる安全な場所がなければ、この先どうなるか…」
「じゃあ…この辺りで少しずつ進みながら、隠れられるような場所を探すってのはどうだ?」レオが提案する。
「それはいいかもね。」ソフィアが頷く。「広い空間にいると、数で押されると対応が難しいし、まずは身を隠しやすい地形を探そう。」
「そもそも、この土地がどれだけ広いのかも分からないから、最初に無理に移動して力を使い果たすのも危険だ。」カインが地図も何もない状況を振り返り、冷静に判断する。
ライアンがやや不安げな表情で尋ねた。「でも、そもそも俺たち、本当にここから脱出できるのか…?」
その言葉に、一瞬、全員が黙り込んだ。魔界に突如放り込まれたという現実は、どこか非現実的に感じられていたものの、その未知の恐怖が彼らの心をじわじわと侵食していた。
しかし、レオがその沈黙を断ち切るように、力強い声で言った。「大丈夫さ。俺たちは勇者として選ばれたんだ。きっとここから生き延びて、無事に帰れる。だから、互いを信じて進もう。」
その言葉に触発されたように、仲間たちの目にも再び光が宿る。全員が小さく頷き、レオを中心に再び円を描くようにして立った。
「それじゃあ、まずは周囲を確認しながら進む形で行こう。何か異変を感じたらすぐに知らせるんだ。」エレナが指示を出し、全員が警戒態勢を整える。
「分かった。」他のメンバーもそれぞれ武器を握り直し、緊張した面持ちで準備を整えた。
荒れ果てた大地の中を、彼らは慎重に一歩ずつ進んでいった。闇の中での探索は、彼らの意志と結束を試す試練のようだったが、彼らは決して諦めずに前を向き、互いを頼りにしながら未知の領域へと足を踏み入れていくのだった。
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