第7話 女はオオカミ

表向き、蓮姫はそらを学校案内する事となった。

もちろん、そらも良く知る学校なので、案内の必要など無いのだが。


「ねえ、そらちゃん」

「なに?」

「さっき、私の事大切な人って言ってくれたじゃん」

「あっ、ゴメン。咄嗟とっさになんて言っていいか分からなかったからつい・・・」

「いやいや、別に気にしなくていいよ。なんなら、毎日言ってくれてもいいんだよ!」

「そ、それはちょっと・・・」


蓮姫は、完全にカップル気分でいる。


「ねえ、そらちゃん。もしかしたら、周りから私たちは最高のカップルに見えるんじゃない?」

「そうなのかな?」

「ぜったいそうだよ!きっと、この後体育倉庫に隠れてあ~んなことやこ~んなことするって思われてるよ!」

「それは無いと思うけど・・・」


蓮姫は、徐々に鼻息を荒くしていく。


「も、もういいから蓮姫。知ってる学校だし」


そらは、何か嫌な予感がしたので学校案内を終わらせようとした。

しかし、蓮姫の無駄な勢いは止まらない。


「そ、そんな遠慮せずに」


蓮姫は、ヨダレを垂らしている。

盛りの付いた犬のようにヨダレを垂らしている。


「いや、大丈夫だから。もう、教室に戻ろうか」


そう言って、そらはちょっと逃げるように教室へと戻って行った。

蓮姫は、袖でヨダレを拭きながら冷静になった。汚ねぇ。


「しまった!私としたことが、ちょっと冷静さを失なっちゃった」


ちょっとどころではありません。


「でも、そらちゃんは本当にこのまま男の子として生活していくのかな。いずれ大学生になって、就職して。

誰かお嫁さん貰って幸せな家庭を築いていく。そんな生活が待ってるのかな・・・」


蓮姫はふと、そらの未来を想像した。

つい先日まで女の子として生活していた幼馴染が、突然男の子になってしまい、

その運命を受け入れなければならない。

それが、どれほど過酷な環境かは火を見るよりも明らか。

そんな、そらの事を考えた蓮姫は


「なら私が嫁になってやるけんのおおおおお!!!!」


自分の欲望に従っていた。

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