第8話 三匹が来る
とりあえず、そらの学校案内も終わった形になったので、教室へ戻ることにした蓮姫。戻る途中、同級生のギャル3人組が蓮姫に近づいてくる。
「うわ、あれはとなりのクラスの日高さん。と、エトセトラ2人」
となりのクラスにいる日高結衣と、その他2人のギャル。
蓮姫のような人間にとっては、とても苦手な人種3人組だ。
「よし、出来るだけ目を合わさないように教室入ろう」
と、頑張って目を逸らしていた蓮姫だったが、
「ねえ、安藤さん。ちょっといい?」
思いっきり声をかけられた。
蓮姫は、幻聴であってほしいと必死で願ったが、幻聴ではなかった。
「な、なに日高さん・・・」
蓮姫は怯えるような目をしながら、日高に聞く。
「あんたの幼馴染の樫谷君ってさ、ほんとうにあの樫谷そらの従弟なの?名前まで同じとか、そんなことありえる?なんか腑に落ちないんだけど」
「えっと、それは・・・」
色々疑ってくる日高。
しかし、本当の事は決して言えない。
「あたしさ、樫谷とはライバルだと思ってたんだよね。あいつさ、めっちゃくちゃ男にモテまくってたじゃん。あたしだってさ、結構自信あんだよ。でもさ、あいつには勝てなかったんだよ。だから、いつか樫谷よりモテてやろうと思ってたんだけどさ、突然いなくなったから・・・」
「日高さん・・・」
日高は、少し寂しそうな目をしていた。
そらをライバルだと言ってはいるものの、心のどこかでは仲良くしたいという気持ちもあったのかもしれない。
あの事故が無ければ、日高も寂しい思いなどしなかったのに。
そんな日高を見て、蓮姫も少し悲しくなった。
「てかさ、安藤さん」
「ん?」
「あの従弟さあ」
「ん?」
「鬼イケメンじゃね?」
「・・・!?」
「いや、マジでヤバすぎるっしょ!あんなレベルの男子この世に二度と現れないって!!今なら私が一番のかわいい女子だし、絶対チャンスあるっしょ!!」
確かに、日高はかわいい顔をしてはいるが、なぜそんなに自信満々なのかは謎だった。というか、そらをライバルだの言っておきながら、いきなり色ボケし始めた。
「てか安藤さん、あんたまさか、樫谷君と付き合ってないよね?」
めちゃくちゃ圧をかける言い方をする日高。
「つ、付き合ってないよ。本当だよ。ただ、あの子も幼馴染だから親しいだけで」
「てことは、あんたが一番近い存在というわけよね」
「えっ、まあ、そうかな・・・」
「じゃあ、これからはあんたがライバルってことだよね」
「・・・えっ!?」
「絶対負けないし、樫谷君は私のものだから。少なくとも、あんた相手なら余裕で勝てそうだし」
「な、なんじゃと!?」
「じゃあ、これから樫谷君を遠慮なく口説きに行くから、邪魔しないでよ~」
そう言って、日高とギャルAとギャルBは去って行った。
となりの教室に戻っただけだが。
「ちくしょー!!何があんたなら余裕で勝てるだよ!私にはね、幼馴染という最強ステータスがあるんだよ!幼馴染は負けフラグ!?少年サ〇デーの作品見てみろよ、幼馴染勝ちまくってるじゃねえか!!
あたしは絶対に負けない。あんな奴に、そらちゃんを取られてたまるか!!」
と、気合を入れる蓮姫。
自分が誰よりもそらの傍にいた幼馴染という強みを武器に、日高には絶対に負けまいと誓うのであった。
幼馴染うんぬん以前に、そらは女子なんですけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます