第3話 一番偉い人来訪
突然、政府の関係者が来ると母に聞かされ、何が何だか分からない蓮姫。
「えっと、急に何で?」
「私が聞きたいわよ」
母も、良く分かってないらしい。
ただ、そらの件で話があるという事は伝えられていた。
「そらちゃんと、政府がいったい何の関係が・・・」
そうこうしている内に、1台のリムジンが家の前に到着している。
そのリムジンから、2人の男性が出てきた。
「あ、あの人は!?」
蓮姫は驚いた。
なぜなら、2人のうち1人の男性は総理大臣だったのだ。
「な、なんで
2人の男性と同時に、多くの黒スーツを着た人たちが入ってくる。
おそらく、SPの人たちだろう。
そして、総理とSP達は蓮姫の家に入ってくる。
「初めまして、安藤さん。私は、総理の芦田文明です。そして、私の横にいるのは弟の文武です」
どうやら、2人は兄弟だったらしい。
ただ、弟の方はまったく知らない人だった。
「あの、今日はどのようなご用件でしょうか?」
蓮姫の母が、芦田総理に尋ねる。
「電話でもお話したと思いますが、樫谷そらさんの事です」
「そらちゃんの、どういった件ですか?」
蓮姫が、食い入るように質問する。
「そらさんは、ご存じの通り交通事故に遭いました。損傷は激しく、とても助かる状態ではありません」
「・・・知ってます。私も、現場にいましたから」
蓮姫は、少し体を震わせながら言う。
「ですが、私の弟である文武が開発した細胞を極限まで再生させる機器を使うことで、そらさんを助ける事が可能となりました」
「えっ、そらちゃん助かるんですか!?」
「はい、助かりますよ。というか、もう助かりました」
「えっ?」
「すでに、そらさんのご両親からは了承を得ました。二つ返事でOKしてくれました」
「はぁ・・・」
「そして、そらさんは無事に助かったのは助かったのですが、一つ問題点がありまして」
「問題点・・・何ですか?」
「詳しくは、文武から」
総理の弟で、科学者の文武氏が説明を始める。
「私が開発した新機器は、細胞を極度に活性化する方法で治療する物なんです。
なので、完全に死亡していなければ、回復させる事が出来ます」
なんとも夢のような機械が開発されたようだ。
「しかし、この機械は公にはしていません。実は、まだ研究段階なのです」
「研究段階なのですか?」
「はい。なぜなら、この装置には思わぬ欠陥があったのです」
「えっ!?」
「それは、細胞を強引に再生させる過程で、染色体に影響が出てしまいます」
「はぁ・・・」
「つまり、性別が変わってしまうという副作用が起こってしまいます」
「・・・えっ!?」
「ですので、今のそらさんは、男の子になってしまっているのです」
「いや、そんな事、まさか・・・」
とはいえ、これほどすごい機器を開発する人だ。
それぐらいの現象が起こっても不思議ではない。
しかし、蓮姫は今一つ信じがたい。
すると、再び家のチャイムが鳴った。
「おっ、来たみたいですね」
総理が呼んだ別の客人なのだろうか?
玄関に、母親が迎えに行く。
「あの、他に誰か呼んだんですか?」
「他も何も、そらさんですよ」
「えっ、そらちゃんが今来たんですか!?」
「そうです。いや、今はそら君と呼んだ方が良いかもですね」
そして、蓮姫や総理のいる部屋に誰かが近づいてくる。
そして、そこに現れたのは、ものすごい美少年だった。
そう、刑務所に入れば、他の囚人から真っ先に狙われそうなほど美しい少年だった。
「あ、あの、もしかして・・・」
「そうです、彼女。いえ、彼が樫谷そら君です」
蓮姫は、一瞬言葉を失い、そして・・・
「あぎゅらびぼらんべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
一般ピーポーが普通はしないような驚き方をした。
これを、今後は
「いや、いやいやいや!確かにそらちゃんの面影はばっちりあるけど、これじゃ別人同然ですよ!」
そして、そらが口を開く。
「ごめんね、蓮姫。私、いや、僕、こんな姿になってしまって・・・」
「い、いや別にそらちゃんが悪い事なんて何もないよ!!むしろ、助かったんだから良かったじゃない!!」
「うん、ありがとう、蓮姫。すごく、嬉しいよ!」
そして、蓮姫は心の中でこう思った。
(いいんでないかい!?これはこれで、いいんでないかい!!)
まんざらでも無さそうだ。
「では、これから本題に入ります」
「えっ、今までのは前フリですか!?」
総理は、これからの事について説明を始める。
「これから、そらさんには男の子として生活してもらうわけですが、このままでは学校でもパニックになります。なので、そらさんは同姓同名の従弟として、学校に通ってもらいます。
ただし、このままでは誰も知り合いがいなくなり、性別も変わってしまったら何かと大変でしょう。
なので、蓮姫さんには、そらさんの生活に差支えが無いよう、サポートしていただきたい」
「は、はい」
「あなたは幼馴染だ。そらさんにとって、これほど安心して傍にいられる人物は他にいないでしょう。なので、よろしくお願いしたい。
あと、先ほども説明した通り、この装置については非公開の物。絶対に他言無用でお願いします」
総理からのお願いとは、こういう事だったのだ。
確かに、本来まだ使用してはならない装置だ。そらが助かったとは言え、実験的に使われた事実もある。
しかし、蓮姫はそれどころでは無かった。
(やべえよ、こんな美少年化したそらちゃんと一緒にいたら、絶対血迷うよ。
タイトル通り、血迷うよ。下手したら、R18指定な展開になっちゃうよ)
別の心配をしていた。
心配な反面、ちょっと喜んでいた。
だって、顔がニヤけていたのだから。
「こんな姿になった僕だけど、これからもよろしくね、蓮姫」
「も~ちろんですとももちろんですとも!」
蓮姫は、首を縦に激しく振った。
そして、そらの手を握り締めた。
よく見ると、蓮姫の鼻から少し血が出ていた。
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