第2話 そらのいない日常

事故現場に救急車が呼ばれ、そらはすぐに運ばれて行った。

しかし、ケタ違いの損傷だった。

誰が見ても、助かるとは思えない状態だった。


蓮姫はショックもあり、学校を休む事となった。

部屋に引きこもり、ずっとうずくまる。

部屋の電気も点けず、薄暗い部屋でずっとうずくまる。


「私が、私がコンビニに寄らなければ、そらちゃん助かったのかな・・・」


そらの事故が、自分のせいではないかと考えてしまう。

そして、涙が溢れかえる。


「いやだよ、いやだよそらちゃん。お願い、帰って来てよ・・・」


大声で泣きながら、何度も何度も願う。

大切な幼馴染と、こんな形で別れになるのは耐えられない。


蓮姫は、そらの無事をひたすら祈っていた。


その日は、昼も夜も食事を取らなかった。

ずっと、事故のショックを引きずっている。


「そらちゃん、そらちゃん・・・」


とても、立ち直れそうにない蓮姫。

時々、そらの名前をつぶやきながら、すすり泣いている。


「蓮姫、何か食べないと、体に悪いわよ」


蓮姫の母が、心配になって蓮姫に声をかける。


「いらない。何も食べたくない」

「蓮姫、そらちゃんが戻って来た時、あなたが弱っていたら、そらちゃんもがっかりするわよ。ここにおにぎり置いておくから、後で食べなさい」


そう言った蓮姫の母は、おにぎりが2つ乗った皿を蓮姫の横にそっと置いた。

そして、蓮姫の部屋を出て台所へと戻って行った。


蓮姫は、母が置いていったおにぎりを、一口だけかじった。

そして、そのまま眠りについた。


翌朝、目を覚ませば、そらがいつものように迎えに来てくれるのではと、昨日の事は夢だったのではと、少し期待していた。

しかし、事故は紛れもない事実。そらは、迎えに来ない。


「そらちゃん・・・」


蓮姫は、再びベッドの中へ潜り込んだ。

この日も学校を休み、蓮姫はひたすら部屋に引きこもっていた。

目が虚ろな状態で、ずっとベッドの中に入っていた。


さらに翌日、この日は土曜日。

学校も休みで、いつもならとても嬉しい1日の始まりのはずが、

蓮姫はずっと気分が沈んでいる。


「もう、あの道を通りたくない。あの事故を思い出しそうだし」


いつもの道が学校への最短ルートになるのだが、蓮姫は違うルートを探そうと考えていた。

多少遠回りでも、あの事故を思い出すぐらいならと。


すると、蓮姫の母が部屋にやってきた、


「蓮姫、すぐに着替えて」


蓮姫の母は、少し慌てた様子だった。


「どうしたの?」

「もうすぐ、来客があるのよ」

「来客?」

「そう。それも、政府の関係者の方が・・・」

「えっ、何で!?」


突然、政府関係者が家に来るという事態に、蓮姫は動揺を隠せなかった。

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