第1話 トラジックストーリーは突然に

いつもの通学路で学校へ行く蓮姫とそら。

道行く人が、チラチラと二人を見る。

というより、そらを見ているようだ。

美人のそらは、いつも注目されてしまう。


「そらちゃん、今日もモテモテだね~。さっきの男の子見た?何か、モジモジしながら声掛けようかどうしようかな態度取ってたよ。これは間違いなく、ラ~ブだね~!」


蓮姫が、そらをおちょくるような事を言う。


「や、やめてよ蓮姫。あんまり注目浴びるの、好きじゃ無いんだから」

「またまた~、本当は人に見られるの、好きなんだろ~」

「そ、そんなわけ無いでしょ!ていうか、何か今の言い方ちょっといやらしいよ」

「う~ん、やっぱり照れるそらちゃんは最高だね~!ナイスですね~!」

「もう、相変わらずなんだから」


これだけ美人の幼馴染がいれば、普通は比較されるのが嫌で、一緒にいるのを避ける子の方が多いだろう。

しかし、蓮姫の場合は幼馴染が超美少女である事を自慢に思っている。

これほど美人の幼馴染と親友なんだぞという、良く分からない優越感を味わえる事が楽しいらしい。

だが、こういうキャラだからこそ、そらと仲良くいられるのだろう。


「あっ」

「蓮姫、どうしたの?」

「水筒持ってくるの忘れちゃった」

「朝、慌ててたもんね」

「ちょっとそこのコンビニでペットボトルのお茶買ってくる」

「じゃあ、私は投函する物があるから、その先のポストのとこで待ってるね」

「分かった~」


蓮姫はコンビニへ行き、お茶を物色する。


「う~ん、この新しく出た明日葉茶でも試しに飲んでみようかな」


変わった商品に惹かれてしまうタイプの蓮姫。

こういう人、けっこういるよね。


「そうだ、ついでにお菓子買って、学校でそらちゃんと一緒に食べよ~!」


チョコ菓子と明日葉茶をレジに持っていき、お会計を済まそうとサイフを出した。

その時だった。


外から、何かがぶつかる大きな音が聞こえた。

外の様子が、とても騒がしくなる。


「な、何?」


蓮姫も、思わず外に出る。

すると、トラックが事故を起こしていた。

コンビニの少し先にある建物に突っ込んでいた。


「おい、誰か轢かれてるぞ!」


よく見ると、そのトラックが突っ込んでいるところは、ポストのある場所。

そのポストの場所は、そらが投函しに行ったところ。


すごく、胸騒ぎがする。


気のせいだ。


気のせいだよ。


そう言い聞かせながら、事故が起こったところまで行く。


「うそ、うそだよね・・・」


恐る恐るトラックの場所へ近づくと、トラックに押しつぶされたそらの姿があった。

それは、見るに耐え難い光景だった。


「い、いや、いやあああああああああああああああああああ!!!!」


蓮姫は涙が溢れだし、その場にうずくまった。

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