第15話 ずっと、ずっと、待っていた

「クトゥちゃん、ターメリック入れすぎ!」


「ええねん! それよりカレー粉の肉マリネはどうや?」


「好む無糖ヨーグルトでいいの?」


「ねぇねぇ、トマトの湯向きどうするの?」


 家政科室は元の賑わいが戻ったようにあれこれ邪神の幼体たちが、小さいエプロンと三角巾を付けて慣れない包丁で肉や野菜を切ったり、フライパンで材料を炒める。


 ほほえましい光景だ。


 ……しかし、だいぶ量が多いな。


「クトゥちゃん、炊飯器の電源入れたよ」


 ゴル・ゴロスがリーダー(?)らしきクトゥに報告する。


 

 俺たちは窓辺で中の様子を見ていた。


 ワーワー言いながら楽しそうだ。


 と、俺は病院着の裾を後ろから引っ張られた。


 場を失さぬようにこっそり抜けると、隣の部屋にクダニドがいた。


「先ほどの件をゼウスに進言したところ、了解を得ました」


 俺はその言葉に、安堵の表情を浮かべただろう。


 部屋には玉ねぎを炒めるにおいがする。


 

 元の場所に戻ると賑やかになっていた。


「赤ワインを入れるんやろ?」


「ローリエがいいよ」


「クミンパウダーは?」


 などなど鍋の前で邪神(の幼体)たちが色々討論している。


 

 そうこうしているうちにご飯が炊けた。


 カレーも(一応、出来て)みんなで食堂に行って食べることにした。


 平たい皿にご飯をのっけてカレーを乗せる。


 全員そろっていった。


「いただきます!」

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